ビルボードジャパンは本日、Number_i「GOD_i」のストリーミング1億回再生突破を発表しています。これは本日公開されるソングチャートの集計期間最終日に当たる3月1日までの再生回数に基づきます。
Number_i「GOD_i」自身4曲目のストリーミング累計1億回突破 https://t.co/rMV4HftVkU
— Billboard JAPAN(ビルボードジャパン) (@Billboard_JAPAN) 2026年3月3日
一方で、Number_iのストリーミング1億回再生突破曲におけるSpotifyの比率は高まっています。
<ビルボードジャパンのストリーミング1億回再生突破アナウンス時における
Number_i作品のSpotify再生回数>
・「GOAT」 47,277,850回
・「BON」 52,158,257回
・「INZM」 58,352,288回
・「GOD_i」 63,296,719回
Number_i「GOD_i」はリリースの前日付で日本のSpotifyデイリーチャート200位以内に初登場し(日本のSpotifyにおける一日の区切りが午前9時とみられるためフライング的な形でランクイン)、最新3月2日付まで常時200位以内ランクインを続けています。これにより日本のSpotifyにおける再生回数が判明可能となるのですが、1億回記録達成時のSpotify比率は徐々に高まっています。
Number_iの作品がSpotifyと他のサブスクサービスとで乖離が目立つことについては、弊ブログにて毎週土曜に掲載しているストリーミング表からも明らかです("CHART insightからヒットを読む"カテゴリーのエントリー参照)。それらを踏まえ、ブログでは以下の内容を発信しています。
<日本のSpotify動向から真の社会的ヒット曲を見極める方法>
① ビルボードジャパンでのストリーミング1億回再生突破時、Spotifyの割合は著しく高くないか
② Spotifyと他のサブスクサービスとで週間チャートの順位は大きく乖離していないか
③ Spotifyデイリーチャートにおいて他の曲よりも再生回数の増減が大きくないか
上記3点のうち①において、Number_i「GOD_i」よりも比率が高いのがJIN「Don't Say You Love Me」。日本でストリーミング1億回再生突破のJIN「Don't Say You Love Me」、一方でSpotify比率9割超の状況から考えること(2月15日付)でも記したように、ストリーミング1億回再生達成時の同曲の(日本の)Spotifyでの再生回数は93,396,053回に達しています。
【Spotifyデイリーチャート上位曲推移】
— Kei (ブログ【イマオト】/ポッドキャスト/ラジオ『imaoto on the Radio』) (@Kei_radio) 2026年3月2日
2026年1月5日付~3月1日付における主要曲の@SpotifyJPデイリー再生回数をグラフ化。最新日に20万回を超えた27曲を表示しています(前週同曜日と変わらず)。 pic.twitter.com/K6YmJdRKvq
そして同曲は②および③においても注視が必要です。JIN「Don't Say You Love Me」は2月26日付Spotifyデイリーチャートでおよそ5ヶ月半ぶりに首位返り咲きを果たし、その後は米津玄師「IRIS OUT」と首位の座が日々入れ替わっているのですが、日本のSpotifyにおける曜日特性から大きく外れた再生回数推移が「Don't Say You Love Me」で目立つことは、筆者が日々Xにて発信するSpotifyデイリーチャートの動向からも明らかです。

最新3月2日付までの日本のSpotifyにおけるJIN「Don't Say You Love Me」の再生回数推移グラフからは、同曲の安定が見て取れます。しかしながら日々の増減が大きいこと、また急上昇や急落が少なくない状況を自然とは言い難いというのが自分の見方です。本来はどんな人気曲でも緩やかに後退することが多く、また日々の増減もそこまで大きくはならないだろうと考えるに、ライト層の支持はどのくらいかが気になります。
接触指標群の上位安定はコアファン以上にライト層(歌手のファンではないが曲が気になる方)の支持が反映される形ですが、Spotifyによる割合の高さからはコアファン、特に音楽チャートに意識的なコアファンの集合体と定義するファンダムの前向きな聴取行動が考えられます。
近年はSpotifyを活用したStationheadのみならずSpotify自体でも、歌手側が積極的にリスニングパーティーを開催することが増えていますが、特にアイドルやダンスボーカルグループにおいてはファンダムの自発的なリスニングパーティー開催が散見されます。無論そのような施策は自由ですが、重要なのはヒットがライト層にも拡がり、他のサブスクサービス、また他指標にも波及し、総合チャートでロングヒットすることです。
Number_iに話を戻すと、「GOAT」「BON」「INZM」の3曲すべて、日本のSpotifyにて昨年10月4日付を最後にデイリーチャート200位以内に登場していません。社会的ヒット曲は再生回数が減少してもその後退が緩やかであり、また200位を割ったとしてもその後再浮上することが考えられるのですが、この状況からはファンダムの聴取先がセカンドアルバム以降の作品に移行したこと、そしてライト層支持は多くないものと推測可能です。
Number_iは現在、日本のSpotifyにて「GOD_i」「未確認領域」「LAVALAVA」そして今年リリースの「3XL」がデイリー200位以内に登場していますが、サードアルバムリリースに伴いセカンドアルバム(デラックス版含む)収録曲が後退し、「GOAT」等のようにデイリー200位以内に戻らない可能性も考えられます。一方でこれまでの実績から、ファンダムが「未確認領域」以降の曲も1億回再生突破に向け意欲的に動くものと考えます。
Number_iに関しては、今年1月にリリースされたプレイリストアルバムについて紹介したエントリー(リリース内容や音楽チャート動向を踏まえ、Number_iによるプレイリストアルバムへの私見を記す(2月16日付))にて、下記ポストを最後に掲載しています。
一方でそのような施策がライト層にリーチし、新たなコアファンを(ライト層からの昇華の形で)作らない限り、コアファンの絶対数は減り、ファンダムの熱量は下がると考えます。ゆえに、そのような"ライト層へのリーチ"が果たしてできているのか、歌手側のみならずファンダムも考えることが必要でしょう。
— Kei (ブログ【イマオト】/ポッドキャスト/ラジオ『imaoto on the Radio』) (@Kei_radio) 2026年1月7日
このことはNumber_iに限らず、たとえばLINE MUSIC再生キャンペーンを採用する歌手やファンダムに対しても当てはまります。再生キャンペーン採用曲は他のサブスクサービスと大きく乖離する傾向がほとんどゆえです。一方でファンダムによる熱量が高い曲の持続力はSpotifyのほうが圧倒的に長いといえるのですが、それでも乖離の発生は同様です。
最後に。今回のようなSpotifyに再生回数が偏った曲の存在が、ビルボードジャパンのチャートポリシー(集計方法)変更につながる可能性はゼロではないと考えます。この点について、Number_i「INZM」のストリーミング1億回再生突破時に掲載したエントリーから引用します。
次に、”ビルボードジャパンがSpotifyのウエイトを下げる可能性がある”ということです。
ビルボードジャパンは3年前、LINE MUSIC再生キャンペーンに伴いStreaming Songsチャートを制した曲が他のサブスクサービスと著しく乖離する場合、そしてAWAに関しては再生回数全体に対し、指標化の際にウエイト減少を施す措置(チャートポリシー変更)を行っています(AWAへの問い合わせに対する回答、そしてビルボードジャパンの二度のチャートポリシー変更についての再考(2022年5月16日付)参照。
Spotifyは米ビルボードによるグローバルチャートでもカウント対象となっているため、AWAのように再生回数全体に対しウエイト減少を施す可能性は高くないでしょう。しかしながら、ウエイト減少の議論は必要と考えます。
そして、チャートポリシーが変更される/されないにかかわらず、ひとつのサブスクサービスに偏ったヒットを社会的ヒットとみなすか、歌手側そしてファンダムも自問自答することが何よりも重要です。
例えばSpotifyのみのチャートでその年のストリーミングヒットを紹介する年末の音楽特番には、ひとつのサービスのみでの結果だと強調するよう願います。またサブスクサービスと推し活を組み合わせた一般投票部門を用意するMUSIC AWARDS JAPANに対し、投票が過熱に至らないかを注視することを求めます。何より重要なのは、複数のデジタルプラットフォーム、そして複合指標から成るソングチャートでのロングヒットです。