(※追記(4月18日5時29分):Amazon Musicの週間ソングチャートが掲載された記事に当初誤りがあったことが判明しました(ミュージックマンによる記事はこちら)。つきましてはストリーミング表に修正内容を反映し、同表を修正版に差し替えています。)
4月15日公開分のビルボードジャパンソングチャート(集計期間:4月6~12日)では前週首位に立った=LOVE「劇薬中毒」が15位へ後退。乃木坂46「最後に階段を駆け上がったのはいつだ?」がフィジカルセールス初加算に伴い、前週の25位から首位に躍り出ています。
今回の結果からは坂道シリーズ(坂道グループ)の週間単位での強さがみえてきます。一方でその地位は、厳しい物言いですが脆いとも考えます。
本作は、乃木坂46の41stシングルで初週666,662枚を売り上げてセールス1位、ダウンロード9位、ストリーミング19位、ラジオ22位を獲得。本作で31作目の首位を獲得した。
【ビルボード】乃木坂46「最後に階段を駆け上がったのはいつだ?」が総合首位、M!LK「爆裂愛してる」が続く https://t.co/p3kJVrOrsP
— Billboard JAPAN(ビルボードジャパン) (@Billboard_JAPAN) 2026年4月15日

(上記CHART insightは有料会員が確認可能なもので、20位未満の指標順位も明示されています(ビルボードジャパンでは有料会員が知り得る情報の掲載を許可しています)。また、以下に紹介するCHART insightも同様に、有料会員が確認可能なものとなります。)
乃木坂46「最後に階段を駆け上がったのはいつだ?」ではフィジカルセールス(CHART insightでは黄色で表示)の初加算時にストリーミング(青)が上位に就いています。

他方ストリーミングにおいて、LINE MUSICと他のサブスクサービスとで差が際立つことが上記ストリーミング表から解ります。LINE MUSIC(4月14日火曜までが集計期間)では週間2位を記録した一方、Spotify(4月9日木曜まで)では200位以内、Amazon Music(4月11日土曜まで)では50位以内、Apple Music(4月12日日曜まで)では100位以内にランクインしていません。この状況は、LINE MUSIC再生キャンペーン開催に伴うものと考えます。
・【スマホ用壁紙絵柄追記】41stシングル「最後に階段を駆け上がったのはいつだ?」リリース記念・LINE MUSICプレゼントキャンペーン実施決定!(3月21日付)より
(ホームページ内をキャプチャしたものを掲載しています。問題があれば削除いたします。)
さらに注目は、LINE MUSICでの週間順位です。LINE MUSICのチャートでは楽曲の収録先が異なる場合は別々にランクインする形が採られていますが、乃木坂46「最後に階段を駆け上がったのはいつだ?」は先行公開された単曲版(→こちら)が最新チャートで2位の一方、複数種のフィジカルシングルに収録されたカップリングを網羅した”Special Edition”(→こちら)の収録版は週間100位以内に入っていません。
この点からはコアファンとライト層やグレーゾーンとで乖離している可能性のみならず、コアファンがプレゼント応募も兼ねて先行公開版主体に聴く一方で”Special Edition”収録版はあまりチェックしていないという可能性が浮かび上がります。
ストリーミングの問題は後述しますが、乃木坂46「最後に階段を駆け上がったのはいつだ?」では先行公開された単曲版にて開催するLINE MUSIC再生キャンペーンがフィジカルセールス指標初加算週でも継続しているゆえ、フィジカルセールス初加算時にストリーミング指標が安定し総合ソングチャートで最上位進出を果たした形です。そしてこのチャート推移は乃木坂46の前作もさることながら、他の坂道シリーズでも見られます。
・乃木坂46「ビリヤニ」
2025年12月3日公開分 1位 (11,323ポイント獲得)
初週フィジカルセールス 736,722枚
LINE MUSIC再生キャンペーンはこちら
・日向坂46「クリフハンガー」
2026年2月4日公開分 3位 (10,623ポイント獲得)
初週フィジカルセールス 587,953枚
LINE MUSIC再生キャンペーンはこちら
・櫻坂46「The growing up train」
2026年3月18日公開分 1位 (10,607ポイント獲得)
初週フィジカルセールス 597,740枚
LINE MUSIC再生キャンペーンはこちら
日向坂46「クリフハンガー」は総合首位を逸するも、坂道シリーズによる直近のフィジカルシングル表題曲はフィジカルセールス指標初加算時に1万ポイントを超えています。さらに、フィジカルセールス指標初加算時にダウンロード指標(CHART insightでは紫で表示)も伸びる傾向にありますが、これはフィジカルリリースの際にデジタルにて先述した”Special Edition”が用意されたことが影響しているとみられます。
他方、ストリーミング指標はLINE MUSIC再生キャンペーンの終了直後に急落していることが、上位進出の翌週における後退ではなく断絶と呼べる状況から読み取れます。各指標は300位までを対象としており、ここからはコアファンと(ロングヒット曲を支える)ライト層やグレーゾーンとの乖離が読み取れるのみならず、コアファンにおいてもキャンペーンが無い限りは継続聴取していないのではという状況が浮かんできます。
よって、乃木坂46「ビリヤニ」や日向坂46「クリフハンガー」、櫻坂46「The growing up train」はいずれも、ストリーミング指標の加点がなくなったタイミングで総合ソングチャートでも100位未満に急落しています(総合順位は棒グラフで表示)。週間単位では強いながらも中期ではそうではないため、社会的ヒットと呼ぶことは難しいというのが自分の見方です。いずれの曲も”ヒットの8段階”表では第3段階にとどまると考えます。
今回の件をまとめると、次のようになります。
<坂道シリーズにおけるフィジカルシングル表題曲
ビルボードジャパンソングチャートでの強さと課題>
◯ 週間単位での強さの背景
・初週フィジカルセールスの多さ (50万枚以上)
・先行公開された単曲版でのLINE MUSIC再生キャンペーン開催
・上記キャンペーンを少なくともフィジカルリリース初加算週まで継続
・”Special Edition”リリースに伴うダウンロード指標の再上昇
◯ ヒットが継続しない背景
・LINE MUSIC再生キャンペーン終了直後の急落
→ コアファンとライト層/グレーゾーンの乖離、コアファンの継続聴取の少なさ
・動画再生指標が基本的に高くないこと
→ 接触指標群(ストリーミングおよび動画再生)は本来比例する傾向
コアファンの継続聴取の少なさ、ライト層/グレーゾーンによる聴取の少なさ
※ 動画再生指標はCHART insightにて赤で表示されます。
LINE MUSIC再生キャンペーン採用曲はそのほとんどがLINE MUSIC以外のサブスクサービスでヒットせず、また企画終了直後にLINE MUSICでも急落します。音楽チャート分析者としては再生キャンペーン採用曲全体に対し指標化時に減算処理を施すことが必要と考え、2026年度開始を前に、ビルボードジャパンへの改善提案をまとめる (その1:チャートポリシー変更に関して)(2025年11月24日付)参照)等にて提案しています。
同時に、昨年末のエントリーにて提案したように、フィジカルセールス指標のウエイト等見直しも必要と考えます。乃木坂46「最後に階段を駆け上がったのはいつだ?」が今後数週で急落するならば、ビルボードジャパンには議論のテーブルを用意することを希望します。
ビルボードジャパンに対しては同時に、単週だけではなく月間や各四半期等のチャートを紹介する等、”複数週を集計期間とするチャートをチェックすることの重要性を説く”よう願います。筆者が毎週土曜、前週のソングチャートでトップ10入りした曲の翌週動向を紹介するのはそれが理由です(CHART insightからヒットを読む カテゴリーのエントリーにて確認できます)。




