イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

秋元康による作詞作品の最新ソングチャート動向、および指原莉乃への作詞依頼から考えること

最新1月14日公開分のビルボードジャパンソングチャートでは、秋元康さんが作詞を担当した4曲が50位以内に登場。その4曲の動向について、CHART insightを用いて自分の見方を紹介します。

なお今回紹介するCHART insightは有料会員が確認可能なもので、20位未満の指標順位も明示されています。ビルボードジャパンでは有料会員が知り得る情報の掲載を許可しています。

※CHART insightの説明

 

[色について]

黄:フィジカルセールス

紫:ダウンロード

青:ストリーミング

黄緑:ラジオ

赤:動画再生

緑:カラオケ

濃いオレンジ:UGC (ユーザー生成コンテンツ)

 (Top User Generated Songsチャートにおける獲得ポイントであり、ソングチャートには含まれません。)

ピンク:ハイブリッド指標

 (BUZZ、CONTACTおよびSALESから選択可能です。)

 

[表示範囲について]

総合順位、および構成指標等において20位まで表示

 

[チャート構成比について]

累計における指標毎のポイント構成

 

 

最新1月14日公開分のビルボードジャパンソングチャートでは、SHOW-WA「東京ジャンクション」が4位に初登場。フィジカルセールス指標の基となるTop Singles Salesチャートでは初の首位を獲得し、初週セールスにおいてもキャリア初となる10万枚を突破しています。

当週はラジオ指標も26位と高く、彼らが徐々に浸透してきていることを示しているといえる一方、ダウンロードは100位未満(300位圏内となり加点対象)、ストリーミングおよび動画再生は300位未満(加点対象外)と、デジタル指標群が強くはありません。それでもフィジカルセールスの強さは演歌歌謡曲界では特筆すべきことといえるのではないでしょうか。一方でデジタル未加点が続けば、次週は急落する可能性も考えられます。

 

SKE48による昨年9月リリースのフィジカルシングル表題曲「Karma」が当週43位に再登場。100位以内ランクインは4週ぶり、通算6週目となりますが、前回そして今回の100位以内登場時にはフィジカルセールス以外の指標が加点されていません。もっといえば、この曲においてはデジタル指標群の加点が一度もありません。

SKE48「Karma」がソングチャート100位以内に登場した週はいずれもフィジカルセールスの強さが牽引。このようなチャート動向を辿る曲は結果的に、コアファンやファンダム(チャートに意識的なコアファンの集合体と定義)と、ライト層(歌手のファンではないが曲が気になる層と定義)やグレーゾーンとで乖離が大きいと考えます。実際、このような作品のフィジカルにはイベント等参加券が封入されていることが多い状況です。

「Karma」は下記”ヒットの8段階”表では第2段階にとどまるものと考えます。

ビルボードジャパンはTop Singles Salesチャートをフィジカルセールス指標へ当てはめる際、一定枚数を上回る週間セールスに減算処理を施していますが、それにより複数週を集計期間とするチャートにて累計セールスと指標化後の順位に乖離が生じます。週間ではなく累計セールスに減算処理を行うことが必要ではと以前から提案しているのは、その乖離を無くすべきと考えるゆえです。

 

さて、現在の音楽チャートにおいては楽曲単位、そしてアルバムにおいてもストリーミングが重要となります。ストリーミングはライト層やグレーゾーンの継続的な支持が可視化される指標ですが、そのストリーミングにてコアファンやファンダムの熱量が大きく反映された曲が高位置に登場することは少なくありません。その熱量の背景には、LINE MUSIC再生キャンペーンの存在があります。

LINE MUSIC再生キャンペーンを積極的に採用しているのが坂道グループであり、1月14日公開分のビルボードジャパンソングチャートでは日向坂46「クリフハンガー」が37位、乃木坂46「My respect」が46位に、それぞれ初登場を果たしています。

日向坂46「クリフハンガー」はストリーミング指標34位、乃木坂46「My respect」は同35位と好調に映ります。前者は最新フィジカルシングル表題曲、後者は最新アルバムのリード曲ですが、ミュージックビデオが公開されている前者は動画再生指標も23位と好調です。しかしながら再生キャンペーンに伴いLINE MUSICで強い曲は他のサブスクサービスで強くないことが多く、今回の2曲も同様です。

毎週土曜公開のエントリーにて掲載しているストリーミング表、その最新週分をみると「クリフハンガー」「My respect」共にLINE MUSICと他のサブスクサービスとで順位が乖離していることが解ります。サブスクサービス毎に集計期間は異なりますが、たとえばSpotifyでは現時点にて2曲ともデイリー200位以内に入ったことはありません。ゆえにこの乖離傾向は続くものと思われます。

アイドル/ダンスボーカルグループにおけるビルボードジャパンソングチャートの【ヒットの8段階】(改訂版)(2025年3月5日付)で記したヒットの8段階表では、LINE MUSIC再生キャンペーンで人気の曲は期間終了までヒットが継続しながらもその終了直後には急落する傾向を踏まえ、第2段階にとどまると記しました。今後坂道グループがどのような展開を行い、ライト層やグレーゾーンに向けて広めていくかに注目です。

 

 

さて、指原莉乃さんがプロデュースを担当する=LOVEの楽曲が好調です。最新1月14日公開分のビルボードジャパンソングチャートにおいて「とくべチュ、して」は100位以内登場43週目にして28位をキープ、「ラブソングに襲われる」は登場18週目で59→51位に上昇。そして当週は「絶対アイドル辞めないで」も100位未満から92位に上昇しています。いずれの曲でも作詞を手掛ける指原さんは、AKB48等のかつてのメンバーです。

直近のフィジカルシングル「ラブソングに襲われる」におけるフィジカルセールス指標の安定から、同曲にてフィジカルの施策が行われていることが考えられます。一方で3曲共に、ストリーミング指標が総合での上位安定や上昇に貢献していることが見て取れます。さらに「とくべチュ、して」ではカラオケが47→27位に急浮上し、コアファン等の範囲を超えた楽曲の浸透が想起可能。この指標については先日注目したばかりです。

 

その=LOVEを手掛ける指原莉乃さんに対し、秋元康さんはAKB48の作詞を依頼しています。下記は先月上旬の記事となります。

指原は、自身がプロデュースするグループ「=LOVE」の「とくべチュ、して」で第67回日本レコード大賞「作詩賞」を受賞。秋元氏は「やっぱり一番はじめに、指原先生が日本レコード大賞をいただいたので」と経緯を話した。

この依頼はサプライズで行われたため、秋元さんがどこまで本気なのかは解りかねます。しかしながら=LOVEの楽曲が広く浸透し、ライト層等にも伝わってきているという実績(先述したチャート動向)を踏まえれば、依頼に嘘はないものと捉えています。=LOVEの勢いが続けば今年の『NHK紅白歌合戦』(NHK総合ほか)に初出場を果たしてもおかしくなく、AKB48等に関わる秋元さんには焦りがあるのかもしれません。

とはいえ、今の音楽作品のバズは歌詞のみならず、振り付けやSNS展開等も含めたトータルの形で生まれることが多いといえます。無論そこには楽曲自体の力も影響しますが、仮に秋元さんが指原さんに依頼するならばトータルプロデュースという形でお願いしほうが好いというのが私見。秋元さんがその形にて指原さんに依頼するかどうかが、秋元さんが手掛ける歌手全体の今後のスタンス(施策等)にも影響するものと考えます。