イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

back number「新しい恋人達に」が首位返り咲き…2週連続でポイントを伸ばした要因とは

最新9月18日公開分(集計期間:9月9~15日)のビルボードジャパンソングチャートでは前週首位に返り咲いたMrs. GREEN APPLEライラック」が3位に後退。back number「新しい恋人達に」が8週ぶり、通算2週目の首位を獲得しています。

back number「新しい恋人達に」は当週フィジカルセールス指標が初加算。フィジカルセールスは25,170枚を記録していますが、総合2位のWEST.「まぁいっか!」の246,731枚とは大きく異なります。しかしながら指標構成の違いが、総合チャートでの差につながっています。

 

<9月18日公開分ビルボードジャパンソングチャート

 1位および2位のCHART insight>

 

※CHART insightの説明

 

[色について]

黄:フィジカルセールス

紫:ダウンロード

青:ストリーミング

黄緑:ラジオ

赤:動画再生

緑:カラオケ

濃いオレンジ:UGC (ユーザー生成コンテンツ)

 (Top User Generated Songsチャートにおける獲得ポイントであり、ソングチャートには含まれません。)

ピンク:ハイブリッド指標

 (BUZZ、CONTACTおよびSALESから選択可能です。)

 

[表示範囲について]

総合順位、および構成指標等において20位まで表示

 

[チャート構成比について]

最新週における指標毎のポイント構成

 (CHART insightが今年3月に改定されて以降は累計ポイントにおける構成比に変更した、とビルボードジャパンは説明していましたが、実際は最新週におけるポイント構成比のままでした。ビルボードジャパンは9月18日夕方から9月19日5時までの間に、円グラフの表示を最新週から累計に変更しています。)

 

・1位 back number「新しい恋人達に」(7,398ポイント)

(指標構成:フィジカルセールス6位、ダウンロード2位、ストリーミング2位、ラジオ12位、動画再生19位、カラオケ100位未満(300位圏内))

・2位 WEST.「まぁいっか!」(7,019ポイント)

(指標構成:フィジカルセールス1位、ラジオ36位、動画再生73位)

※2曲で用いたCHART insightは、9月18日14時の段階で表示されていたものです。その後9月19日5時までにCHART insightの円グラフは当週から累計のポイント構成比に表示が変更されています。この点については後日ブログエントリーを設けますが、今回はリニューアル前のグラフを掲載しています。

 

WEST.はデジタル未解禁のため「まぁいっか!」にてダウンロードやストリーミング指標を獲得できない点も大きいのですが、「新しい恋人達に」は『ストリーミングが前週比102%、ラジオが489%、動画が154%、カラオケが112%』増加しています(『』内は冒頭で紹介したビルボードジャパンの記事より)、そして首位初登場以降ダウン傾向にあったポイントは、この3週で3,793→4,729→7,398と急上昇しています。

「新しい恋人達に」の復調に大きく貢献したのがストリーミング。9月11日公開分ではこの指標の基となる再生回数が前週比122.0%と大きく増加しています。前週のStreaming Songsチャートの記事(→こちら)では、「 新しい恋人達に」が主題歌に起用されたドラマ『海のはじまり』(フジテレビ)が終盤を迎えたことが今後のさらなる増加につながる可能性を示唆していますが、そのドラマ効果が既に反映していたといえます。

(※radikoタイムフリーは期間が終了しています。)

そしてフィジカルシングルのリリース日にはファンクラブ会員向け配信→ミュージックビデオ公開→ラジオ生放送出演と立て続けにスケジュールが組まれていました。コアファンを主体とした施策が主体ですが、ミュージックビデオを待ち望んだライト層(ドラマファン含む)の支持にもつながったことは間違いありません。

さらに、フィジカルセールスはダウンロードの上昇も呼び込みます。back number「新しい恋人達に」のダウンロードは前週の5,398DLから当週は6,546DLに増加。所有の選択肢拡大が影響した形であり、もっといえばフィジカルリリースがデジタルの駆逐につながらず共存するということが、「新しい恋人達に」の動向からみえてきます。この動きからもライト層の拡充を見て取ることが可能でしょう。

 

back numberはビルボードジャパンソングチャート制覇について発信しています。日本の音楽業界でビルボードジャパンの成績を紹介する歌手は今もまだ多くはないのですが、フィジカルリリースに合わせて施策を厚くすること、そしてそもそもフィジカルリリースのタイミングをドラマの終盤に沿わせることも含め、back number側がきちんとチャートを意識していることがよく解ります。それが今回の首位につながった形です。