ビルボードジャパンは3月にCHART insightを変更しました。
【お知らせ】Chart Insightをリニューアルしました。https://t.co/rrYw43Nssj
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2024年3月28日
変更点は下記の通りです。
<チャート画面>
・総合順位において前週順位との比較が可能に
・UGCチャートの追加(各チャートを構成する指標に含まれません)…
リニューアル直後には上記エントリーにて私見を掲載しましたが、以降も”総合チャートの順位が黒の折れ線グラフからグレーの棒グラフに変わったため見づらい” ”指標順位において21~100位にランクインした場合は掲載されない”、そして”円グラフのポイント構成比が累計に変化したとアナウンスしながらも当週(最新週)のままである”という問題は残っていました。
さて今回、その中のひとつがようやく解消されたことが解りました。しかしそれはそれでやはり違和感を覚えたことが、今回エントリーを掲載した理由です。
今回解消されたのは、円グラフの構成比を当週(最新週)のポイントから累計(チャートイン以降)のポイントに変更したという点。実はリニューアル以降も累計ではなく当週(最新週)のポイントが掲載されていましたが、9月18日14時頃から翌19日5時までの間に従来アナウンスされていた形に変更されています。
それでは、実際はどのように変化したのかを、手元にあるキャプチャ分で確認します。
<9月18日公開分ビルボードジャパンソングチャート トップ10作品のCHART insight>
※9月18日14時頃のスクリーンショット、および9月19日5時のスクリーンショットを上下に並べて掲載しています。
※OCHA NORMA「ちはやぶる」(総合4位)およびHKT48「僕はやっと君を心配できる」(総合5位)は当週初登場につき掲載していません。なお、WEST.「まぁいっか!」(総合2位)については前週以前に総合100位未満ながらチャートに登場しており、今回掲載しています。
※CHART insightの説明
[色について]
黄:フィジカルセールス
紫:ダウンロード
青:ストリーミング
黄緑:ラジオ
赤:動画再生
緑:カラオケ
濃いオレンジ:UGC (ユーザー生成コンテンツ)
(Top User Generated Songsチャートにおける獲得ポイントであり、ソングチャートには含まれません。)
ピンク:ハイブリッド指標
(BUZZ、CONTACTおよびSALESから選択可能です。)
[表示範囲について]
総合順位、および構成指標等において20位まで表示
・back number「新しい恋人達に」(総合1位)
・WEST.「まぁいっか!」(総合2位)
・Mrs. GREEN APPLE「ライラック」(総合3位)
・Mrs. GREEN APPLE「familie」(総合7位)
・こっちのけんと「はいよろこんで」(総合8位)
・Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」(総合9位)
・Omoinotake「幾億光年」(総合10位)
ビルボードジャパンがCHART insightの円グラフを当週(最新週)から累計へ、当初のリニューアル時に言及した形に変更したことで、ロングヒット曲でも小さくない変化を確認できます。主に、累計においてダウンロードやラジオの存在感が大きくなっているのはその変化といえるでしょう。一方で、フィジカルをリリースしている曲は、そのセールス指標の累計に占める割合が小さくなっていることも解ります。
さて、今回の変更によりCHART insightが使いにくくなったというのが率直な印象です。尤もリニューアル前から使っていたという慣れも一因ですが、たとえばback number「新しい恋人達に」は今週フィジカルセールス指標初加算に伴いポイントを大きく伸ばした形ながらCHART insightの円グラフが当週から累計に変更されたことで、そのフィジカルセールス指標の効果(に伴う最新週の伸び)が可視化されにくくなったと考えます。
加えて、これは以前から申し上げていることですが、Top User Generated Songsチャートの獲得ポイントが現在も円グラフに組み込まれています。歌ってみた等に代表されるユーザー生成コンテンツはソングチャートの動画再生やストリーミングといった指標に影響を与えるものの、総合ソングチャートの構成指標ではありません。しかしこれが総合チャートの累計ポイントに含まれることは紛らわしさを与えかねません。
そして、ビルボードジャパンが今回の変更(円グラフの表示を当週(最新週)から累計に表示を変更したこと)についてアナウンスすべきではと強く感じています。半年前のリニューアルが完全ではなかったことについても言及が必要になるのですが、それを認めることも含め完全なリニューアルを果たしたことを発信する必要があるでしょう。このことはチャート管理者としての責任や信頼に関わると考え、昨日noteに記しています。
それらを踏まえ、ビルボードジャパンに対しCHART insightに関する提案を以下に記載します。
<CHART insightリニューアルに関する改善提案>
※ 前提として、今回の変更についてきちんとアナウンスすることを希望します。
① 円グラフについて、累計ポイントと当週(最新週)のそれとを切替表示できるようにする
② 円グラフについて、当週(最新週)より前の週についても、その週毎のポイント構成比を表示できるようにする
③ 総合チャートの順位について、以前のように黒の折れ線グラフで表示する(現行では見辛く感じるため)
④ 構成指標の順位について、100位未満(300位圏内)は表示されるものの21~100位は未表示のため、後者も表示できるようにする
⑤ 紅白出場にも大きく影響するとみられるトップアーティストチャートについてだけでも、有料会員が確認可能な100位までを無料にて公開する
⑥ 有料会員のみが知り得る情報についてSNSやブログで公開していいか、その判断基準を明確化する
最後に。今回のCHART insight変更に伴い、社会的ヒットに至るかを判断することができにくくなったというのが私見です。
フィジカルセールスに強い曲が社会的ヒットに至るかの見極めを上記エントリー(カテゴリー)にて紹介していますが、累計ではその分析ができにくくなったと考えます。また歌手側およびファンダム(コアファンの中でもチャートをより意識する方)がCHART insightを踏まえて推す曲の動向を考えることが以前より難しくなるのではとも感じています。
これまで、非会員の皆様へ総合順位は20位まで、各指標の順位は100位まで公開していましたが、全指標20位までに変更しました。100位までご覧になりたい方は、Chart insight proのご利用をお願い致します🙇…
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2024年3月29日
上記は今回のエントリー冒頭で紹介したビルボードジャパンによるポストの続きとなるものです。ビルボードジャパンのCHART insightリニューアルの目的には有料会員の増加もあると思われますが、リニューアルに伴い使い勝手が良くなったかと言われれば断言できかねます。そして、気になる歌手のみならず、その歌手(の曲)と他の歌手(の曲)とを比較することも推奨してほしいというのが私見です。
(なお、ポストにおける『なおProにご入会いただければ、各楽曲の21位〜100位までの順位をSNS等で投稿していただいても構いません。ぜひ、気になるアーティストのチャートアクションを分析していただき、リスナーの皆さんとシェアしてみてください』という段落からは、有料会員のみが知り得る内容でも公開して好いと捉えることは可能ではと感じています。その点も踏まえ、先述した提案(⑥の部分)を記した次第です。)