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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

こっちのけんと「はいよろこんで」、最新チャート動向から紅白出場の可能性を考える

今月はじめに『NHK紅白歌合戦』(NHK総合ほか 以下”紅白”と記載)の出場歌手予想を公開したところ多くのアクセスやリアクションをいただき、心より感謝申し上げます。いただいた声の中に、予想に含めていなかったこっちのけんとさんが出場するのではという指摘が複数みられました。

そのリアクション、そして予想掲載後における「はいよろこんで」のチャートアクションを踏まえれば、こっちのけんとさんの紅白出場の可能性は高まったのではと感じています。

 

こっちのけんと「はいよろこんで」は最新9月11日公開のビルボードジャパンソングチャートにて10→5位に上昇、同曲最高位タイに達しています。

上記は「はいよろこんで」のCHART insight。注目は獲得ポイントにおいて最大を占めるストリーミング指標(青で表示)が8→6位(同指標最高位タイ)、そして動画再生指標(赤)が3→1位(同指標通算5週目の首位)と、接触指標群が復調していることにあります。ストリーミング指標はサブスクサービス等の再生回数を基に算出されますが、その再生回数は前週から10%近く、大きく上昇しています。

 

最新のビルボードソングチャートの記事(→こちら)でも触れられていますが、こっちのけんと「はいよろこんで」の上昇はTHE FIRST TAKE出演効果といえるでしょう。8月30日金曜に公開されたTHE FIRST TAKE動画は最新9月11日公開分のビルボードジャパンソングチャート(集計期間:9月2~8日)で動画再生指標初の1週間フル加算対象となり、そして動画人気はオリジナルバージョンの動画やサブスクへの接触にも波及します。

(ビルボードジャパンは基本的にオリジナルバージョンと言語のみ異なる場合を除き合算しないというチャートポリシー(集計方法)を採用していますが、動画再生指標は動画に付番されたISRC(国際標準レコーディングコード)がオリジナル版と同じならば合算されます。弊ブログではビルボードジャパンに対しリミックス等も含めすべて合算対象とする米ビルボード方式を提案していますが、今回はTHE FIRST TAKE効果が出た形です。)

 

またビルボードジャパン総合ソングチャートには加算されませんが、こっちのけんと「はいよろこんで」は最新9月11日公開分におけるTop User Generated Songsチャート(”歌ってみた”や”踊ってみた”に代表されるユーザー生成コンテンツ(UGC)の人気を示す)で2→1位、TikTok Weekly Top 20チャート(TikTokの人気を示す)では3位をキープ。前者で10週、後者では13週に渡り20位以内エントリーを続けています。

Top User Generated SongsチャートやTikTok Weekly Top 20チャートで人気となり、カラオケでも強く、そして総合ソングチャートでもヒットする曲にはSpotifyデイリーチャートで共通の特徴がみられます。日本における7月27日土曜付のSpotifyデイリーチャートはパリオリンピックの影響を受けながら、下記ポストで紹介した作品が前日より再生回数を伸ばしていましたが、これらは”活用”で人気を博す作品です。

Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」(再生回数前日比105.2% 4→4位)についてはUGC("踊ってみた"等に代表されるユーザー生成コンテンツ)やTikTok、カラオケといった活用での人気が高く、子どもたちが休みとなる土日に伸びることが以前から示されていました。活用の人気曲においてはYOASOBI「アイドル」も再生回数前日比103.9%を記録、24→21位に上昇しており、夏休みに入ったことが影響したものと考えます。

活用については【ビルボードジャパン最新動向】YOASOBI「アイドル」3連覇、ポイント上昇に貢献した"活用"の重要性(2023年5月4日付)等にて紹介していますが、この活用での人気曲は学校が休みとなる土曜において、他の曲に比べて伸びる傾向にあります。実はこっちのけんと「はいよろこんで」においても、土曜における再生回数の伸びが前日に比べて大きい状況が続いているのです。

日本のSpotifyデイリーチャートにて再生回数が前日から顕著に伸びた曲を日々Xにて紹介しているのですが、こっちのけんと「はいよろこんで」の土曜における上昇を3週連続で採り上げています。この状況から、この曲の活用人気の高さが証明されたといえるかもしれません。ともすれば近いうちに、ビルボードジャパンソングチャートのカラオケ指標でトップ20入りすることも考えられます。

 

 

こっちのけんと「はいよろこんで」はビルボードジャパンソングチャートで8週連続トップ10入りしています。フィジカルセールスに強い曲が短期的に「はいよろこんで」を上回りながらも翌週にダウンすることが目立つ点(CHART insightからヒットを読む カテゴリーの記事一覧 - イマオト参照)からは「はいよろこんで」が週間最高位以上にヒットしていると考えてよく、その点でも紅白に近づいたといえるでしょう。

また、こっちのけんとさんが出演したTHE FIRST TAKEは毎年のように紅白に映像を提供しています。THE FIRST TAKEが今年公開した動画では「はいよろこんで」が現時点でこのチャンネル5位となる再生回数を誇っており、紅白とTHE FIRST TAKEとの良好な関係性という点からも「はいよろこんで」は紅白の可能性が高まったといえるかもしれません。

そしてビルボードジャパンが昨秋開始したGlobal Japan Songs Excl. Japan(米ビルボードのGlobal 200から日本市場分を除き、そこから日本の楽曲を抽出したチャート)にて、こっちのけんと「はいよろこんで」は最新9月12日公開分で3→2位に上昇(同曲最高位タイ)、11週連続で20位以内にランクインしています。これはこの曲が世界でも聴かれていることの証明です。実際、ミュージックビデオは今週9000万回再生を突破しました。

紅白は昨年”ボーダレス”をテーマに掲げ、また他の音楽番組以上にネットを巧く活用しています。THE FIRST TAKEも海外での視聴が多いことを踏まえれば尚の事、「はいよろこんで」は紅白と相性が好いといえるでしょう。

こっちのけんとさんは今週土曜の『Venue101』(NHK総合)に出演し、「はいよろこんで」を披露します。ともすればこのNHK出演も、紅白が近づいた証明と感じています。

 

 

こっちのけんとさんの紅白出場の可能性については9月18日公開分以降における「はいよろこんで」のチャート動向を見守る必要はありますが、今回のエントリーも踏まえた2回目の紅白予想を後日掲載します。