イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

SixTONESがTHE FIRST TAKEに登場…この状況は異例か、それともジャニーズ事務所2022年の意志の投影か

本日のブログは一昨日放映された『NHK紅白歌合戦』について書く予定でしたが、昨日公開されたこちらの動画に触れないわけにはいきません。

ジェシーさんのショート動画を貼付したツイートの発信以降、各メンバーの登場動画、そしてSixTONES6名全員の登場シーン動画を紹介したツイートが登場。そして18時には、「Imitation Rain」を披露することがアナウンスされました。

プレミア公開における同時接続者数は、目視の段階ではありますが最大で12万5千弱。”#THEFIRSTTAKE”は22時台にTwitterにおける日本のトレンドでトップとなり、今回の動画が如何に注目されたかを大きく物語っています。

 

それにしても、今回のTHE FIRST TAKEには驚かされます。

何よりまず驚いたのは、サブスクのみならずダウンロード自体解禁していないSixTONESが登場したということ。所属歌手の多くが配信を行っていないジャニーズ事務所所属歌手が登場すること自体異例と言えます。Twitterアカウントも持ち合わせていないため、THE FIRST TAKEの告知ツイートに通常記される歌手のアカウント名は掲載されていません。

そのTHE FIRST TAKEは元日配信を昨年も行っていましたが、グループ魂「君にジュースを買ってあげる♥」が配信されたその日は金曜でした。THE FIRST TAKEは通常水曜および金曜に配信されるため、今回のように土曜に公開されることも異例です。元日においては曜日に関係なく配信するという目的があったとも考えられるのですが。そして先述したメンバー毎の登場シーン紹介ツイートも、自分は記憶にありません。

 

これら異例の事態が生まれたのには、いくつかの理由が予想されます。

THE FIRST TAKEには2022年のスタートダッシュを決めたい、箔を付けたいという思いがあったのはずです。そしてそれはSixTONESにとっても同様でしょう。1月5日にニューアルバム『CITY』をリリースするSixTONESソニーミュージック所属。以前も記したようにTHE FIRST TAKEはソニーミュージック発のコンテンツと考えられ、SixTONESとTHE FIRST TAKEとのスムースな連携、元日配信という状況を可能にしたと考えます。

(上記はSixTONES『CITY』の収録曲ダイジェスト映像。)

 

それでもジャニーズ事務所所属歌手は、先述したようにほぼ全てが未だデジタルに明るくありません。ただその中にあって、SixTONESをはじめ2010年代後半にデビューしたグループはそれぞれ、歌手別のYouTubeチャンネルを用意しています。SixTONESSnow Manそしてなにわ男子は元日に新たな動画を発信しており、2022年も積極的に動画を発信していくという姿勢が見て取れます。

(さらにはジャにのちゃんねる、Johnny's Gaming Roomも動画を配信していますが、グループの枠を超えたチャンネルにつき上記には掲載していません。ただ、ジャニーズ事務所側が動画配信に積極的になったことは強く感じ取ることが可能です。)

 

昨年の大晦日に開催された【ジャニーズカウントダウン2021→2022】の最中、”世代交代”というワードがトレンド入りしていました。実際に自分はライブを拝見していないため、この言葉がどんな意味を持っていたか厳密には解りかねます。ただ、投票で決まるジャニーズ初夢ユニットの順位において、3組とも2010年代後半にデビューしたグループから首位のメンバーが輩出されているのが気になりました。

上記ブログエントリーでは、2021年度ビルボードジャパンソングスチャートの期間内に初登場したジャニーズ事務所所属歌手の、主にシングル曲における一覧表を掲載していますが、2010年代後半デビュー組の動画再生指標が強いことが解ります。またYouTubeのみならずTikTokも活用したなにわ男子「初心LOVE」が2連覇を達成した意義は大きく、できる範囲内でデジタルを最大限に活用するグループの勢いを実感できるのです。

SixTONES側にはおそらく、アルバムリリースのタイミングにて様々な動画で訴求したいという思いがあったことでしょう。動画の効果や重要性も熟知しているはずであり(上記ブログエントリーにてSixTONESのファーストアルバム『1ST』(2021年)を中心とした動画戦略とその効果を記載していますが、その経験が活きているものと考えます)、それがTHE FIRST TAKE出演に至った理由なのかもしれません。

 

 

であるならば、個人的に気になることがあります。

まずはTHE FIRST TAKEで披露された動画の音源がリリースされるかどうかについて。動画の大半は音源が既に配信されています。現在デジタル解禁されていないSixTONESですが、しかしこの話は間違いなくあったことでしょう。とはいえ、たとえばYOASOBIはTHE FIRST TAKE披露曲を音源化していないため、音源の配信は必須ではないのかもしれません。

(なお、ビルボードジャパンソングスチャートでは基本的に、アレンジの異なるバージョンはオリジナルバージョンと合算しないというチャートポリシーがあり、THE FIRST TAKEで披露された音源のダウンロードやストリーミングは合算されません。ただし動画再生指標においては合算される仕様です。余談ですが、個人的にはすべて合算したほうが好いということを以前から記しています。)

そしてやはり、SixTONES自体がデジタル解禁するのかが気になります。THE FIRST TAKEは海外での人気も高く、先月には『227カ国・地域の人が視聴し、海外の視聴者は全体の3割を超える』と記事で紹介されています(「一発撮り」海外でも人気呼ぶ 新しい音楽表現の場に: 日本経済新聞(2021年12月13日付)より)。海外の視聴者がSixTONESを気になり掘り下げたとして、デジタル未解禁と知ったら悲しむのではないでしょうか。

また、THE FIRST TAKEはサブスク聴取やミュージックビデオの視聴、ダウンロードの所有といったデジタルコンテンツの遷移につながります。これは様々な動画のビルボードジャパンソングスチャートにおけるアクションをみれば明らかですが、SixTONESはデジタル解禁がない限り「Imitation Rain」や、おそらくもう一本配信されるであろう曲においても、複合指標に基づくチャートでの上昇は他の歌手の作品より厳しいでしょう。

 

このような状況にあって、昨日SixTONESがTHE FIRST TAKEに登場しました。個人的には、デジタル未解禁歌手の登場をチャンネル側が特例とするならばそれは好ましくないと厳しくも捉えており、近い将来必ずデジタル解禁することを前提の上で彼らが登場したものと期待しています。そして、今回の動画が好調ならば尚の事、ジャニーズ事務所側が順次、ゆくゆくはすべての所属歌手においてデジタル解禁に取り組むと信じます。