最新1月14日公開分のビルボードジャパンアルバムチャートではKing & Prince『STARRING』が3連覇を達成。その紹介の際、ロングヒット作品にストリーミングが欠かせないということを記しています。
ビルボードジャパンアルバムチャートにおいて2024年最終週に組み入れが開始されたストリーミング指標の存在は、たとえば日本や海外のヒップホップ作品の可視化につながっています(日本でのヒップホップ人気を、ビルボードジャパンアルバムチャートが証明していることについて(2025年7月13日付)参照)。
他方、洋楽のヒットはそこまで可視化されていないとみる向きもあるかもしれませんが、最新アルバムチャートで初めて総合100位以内にランクインしたオリヴィア・ディーン『The Art Of Loving』の動きは注目すべきと考えます。
イギリス出身のオリヴィア・ディーンによるセカンドアルバム『The Art Of Loving』が世界でヒットしています。最新1月24日付米ビルボードアルバムチャートでは最高位となる3位をキープし、また1月17日付米ビルボードソングチャートではオリヴィア・ディーンの作品が全歌手で最多となる7曲ランクインしています(なお1月24日付米ソングチャートは日本時間の明日発表予定です)。
【米ビルボード・アルバム・チャート】ザック・ブライアン『ウィズ・ヘブン・オン・トップ』で2作目の首位獲得、ザ・キッド・ラロイ初登場6位 https://t.co/TMCLtLvWaF
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2026年1月19日
Olivia Dean has seven songs on this week's #Hot100 chart, the most among all artists:
— billboard charts (@billboardcharts) 2026年1月14日
No. 4, Man I Need
No. 15, So Easy (To Fall In Love)
No. 28, A Couple Minutes
No. 69, Nice To Each Other
No. 71, Let Alone the One You Love
No. 91, Baby Steps
No. 99, I've Seen It
このブログでは「Man I Need」が米ソングチャートで初のトップ10入りを果たす直前、オリヴィア・ディーンについて採り上げています(最新の英ソングチャートで最多トップ10入りのオリヴィア・ディーン、米でも上昇していることについて(2025年10月25日付)参照)。同曲が英から米、そしてグローバルへとヒット規模が拡大していることは、米ビルボードによる最新1月17日付のグローバルチャートからも明らかです。
This week's top 10 on the Global 200 (chart dated Jan. 17, 2026).
— billboard charts (@billboardcharts) 2026年1月12日
Details: https://t.co/DfOqc0nEtT pic.twitter.com/4YuFrLovrt
This week's top 10 on the Global Excl. U.S. chart (dated Jan. 17, 2026).
— billboard charts (@billboardcharts) 2026年1月12日
Details: https://t.co/DfOqc0nEtT pic.twitter.com/83Zxoz5PGt
そして日本では、オリヴィア・ディーン『The Art Of Loving』が最新1月14日公開分のビルボードジャパンアルバムチャートで75位にランクイン。初の総合100位以内エントリーを果たした今作の上昇に貢献しているのがストリーミング指標であることは、下記CHART insightからも明らかです(ストリーミングは青、ダウンロードは紫、フィジカルセールスは黄色で表示)。

(上記CHART insightは有料会員が確認可能なもので、20位未満の指標順位も明示されています(ビルボードジャパンでは有料会員が知り得る情報の掲載を許可しています)。また、以下に紹介するCHART insightも同様に、有料会員が確認可能なものとなります。)
日本では「Man I Need」よりも「So Easy (To Fall In Love)」がラジオでヒットしていますが、ビルボードジャパンソングチャートではラジオ以外の指標が週間300位以内に入らず加点されていないという現状です(下記CHART insightにてラジオ指標は黄緑で表示)。それでも「So Easy (To Fall In Love)」は、そのラジオ指標が昨年末から上昇に転じています。

そして『The Art Of Loving』は昨年10月29日公開分以降、アルバム全体ではストリーミング指標が300位以内に入り加点対象に。そして最新1月14日公開分のビルボードジャパンアルバムチャートではこの指標が68位に急浮上し、総合では75位に上昇した形です。
1月14日公開分ビルボードジャパンアルバムチャートにおいてオリヴィア・ディーン『The Art Of Loving』は、サウンドトラック『ズートピア2 (原題:Zootopia 2)』(総合13位/ストリーミング指標9位)、テイラー・スウィフト『The Life Of A Showgirl』(26位/25位)、サウンドトラック『KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ (原題:Kpop Demon Hunters)』(29位/30位)に続く洋楽でのヒット作品となっています。
実際、洋楽がアルバムチャートで上昇したとしても順位は高くなく、ソングチャートに至ってはその存在感がさらに小さくなると言われればそれまでなのですが、しかしながらオリヴィア・ディーン『The Art Of Loving』がストリーミングでの加点を続けているという点からは同作品への需要が見て取れると共に、何かしらのきっかけでさらに伸びるのではという可能性を感じています。
Here are the #GRAMMYs nominees for Best New Artist 🏆
— billboard (@billboard) 2025年11月7日
All things Grammys: https://t.co/oT2yEtyygR pic.twitter.com/bqqZ84PeQm
そのひとつのきっかけとして考えられるのが、現地時間の2月1日日曜に開催される第68回グラミー賞の動向。オリヴィア・ディーンは最優秀新人賞にノミネートされており、また『The Art Of Loving』の国内盤は今週金曜にリリースされます(国内盤発売はグラミー賞に合わせてのものかもしれません)。受賞すればオリヴィアの注目度はさらに高まり、日本のメディア(音楽以外も扱う情報番組等)が取り上げる可能性も考えられます。
そしてグラミー賞の動向は日本のラジオでのオンエアにも影響しますが、そのラジオではオリヴィア・ディーン「Lady Lady」が昨夏トップ20入りを果たしていました。同曲は『The Art Of Loving』収録曲ながら英で最高38位と決して好成績とは言い難いのですが、アルバム収録曲に早々に注目し、オリヴィア・ディーンが世界でブレイクする前にオンエアした日本のラジオ業界には先見の明があると言っていいでしょう。

(オリヴィア・ディーン「Lady Lady」のCHART insightは2025年10月8日公開分が表示最終週となります。)
あくまで個人的にですが、オリヴィア・ディーンの音楽性からはオランダ出身のジョヴァンカを想起した次第。特にJ-WAVEでヒットしたことについてはジョヴァンカ、新譜は今夏リリース予定(2013年1月26日付)で紹介していますが、オリヴィアのサウンドもまたラジオヒットしやすいものと考えるに、そのラジオが『The Art Of Loving』の国内盤リリースやグラミー賞のタイミングで推すことで、日本で更に浸透するものと考えます。
最後に、”日本人の洋楽離れ”が指摘されたタイミングで記した2年前のエントリーを再掲します。日本のラジオ業界内部にて好い曲を広めたいという誇りを持つ方が(オリヴィア・ディーンに限らず)好い曲をきちんと紹介していくことを願うと共に、ラジオ業界内外にかかわらず日本人の洋楽離れを疑問視する方が、ただ憂うだけではなくアイデアを出し、そして行動することを願うばかりです。