最新10月22日公開分のビルボードジャパンソングチャートでは、FRUITS ZIPPER「はちゃめちゃわちゃライフ!」が2位初登場、原因は自分にある。「パラノイドランデブー」が41→5位に上昇しています。KAWAII LAB.およびEBiDAN(恵比寿学園男子部)という、今最も勢いがあるといえる組織(プロジェクト)に所属する2組の作品は、共に自己最高となる初週フィジカルセールスがトップ5入りの要因といえるでしょう。

一方で、当週のCHART insightをみると、「はちゃめちゃわちゃライフ!」そして「パラノイドランデブー」には大きな違いがみられます。
(なお上記CHART insightは有料会員が確認可能なもので、20位未満の指標順位も明示されています(ビルボードジャパンでは有料会員が知り得る情報の掲載を許可しています)。また、以下に紹介するCHART insightも同様に、有料会員が確認可能なものとなります。)
FRUITS ZIPPER「はちゃめちゃわちゃライフ!」および原因は自分にある。「パラノイドランデブー」は、最新10月22日公開分ビルボードジャパンソングチャートの記事にてこのように紹介されています。
続く2位は、FRUITS ZIPPER「はちゃめちゃわちゃライフ!」が初登場。4thシングル『はちゃめちゃわちゃライフ!/JAM』のリード曲で、自身最多となる初週381,464枚を売り上げてセールス1位、ダウンロード43位、ストリーミング38位、動画16位を獲得した。なお、FRUITS ZIPPERのこれまでの“Hot 100”の最高位は「KawaiiってMagic」の首位で、トップ10に入るのは今作が2作目となる。
(中略)
5位は、原因は自分にある。「パラノイドランデブー」がチャートイン。ユニバーサルミュージックとのパートナーシップを締結してから初のシングルで、自己最多となる初週234,269枚を売り上げてセールス2位、ストリーミング28位、ラジオ54位となった。
【ビルボード】米津玄師「IRIS OUT」がHot100で5連覇、自身最長連覇記録タイ https://t.co/kyfko5ZTiP
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2025年10月22日
記事では構成指標が100位以内に入った場合に明記される傾向にありますが、原因は自分にある。「パラノイドランデブー」においてはダウンロード指標(CHART insightでは紫で表示)が100位未満ながら300位以内となり加点されています。一方で同曲は動画再生(赤)が300位未満につき未加点となり、加えて「はちゃめちゃわちゃライフ!」共々カラオケ(緑)は加点されていません。


FRUITS ZIPPER「はちゃめちゃわちゃライフ!」そして原因は自分にある。「パラノイドランデブー」は共に、フィジカルリリースの前にデジタル解禁を実施。ストリーミング指標(CHART insightでは青で表示)が強く、2曲とも40位以内に入った一方で「パラノイドランデブー」では前週より順位が下がっているという現象が発生しています。

10月22日公開分のビルボードジャパンソングチャートに対応したストリーミング表(毎週土曜掲載のCHART insightからヒットを読む カテゴリーのエントリーにて貼付)をみると、主要サブスクサービスの週間順位には共に偏りがみられるものの、原因は自分にある。「パラノイドランデブー」ではLINE MUSICが突出していることが解ります。これは同サービスにおける再生キャンペーンが大きく影響した形です。
・4thシングル「パラノイドランデブー」リスニングキャンペーン開催決定! - 原因は自分にある。(10月5日付)より
※ キャンペーン終了後にページが削除される可能性を踏まえ、キャプチャした画像を貼付しています(問題があれば削除いたします)。
EBiDAN所属歌手においてはLINE MUSIC再生キャンペーンが徹底され、また再生回数ハードルも高いことが通常と捉えています。加えて今作では単曲リリース分のみが対象であり、シングルパッケージ(上記記事では『作品ページ』と記載)掲載分が対象外であるという点も重要です。LINE MUSICは同じ曲でも単曲版とシングルパッケージ版とで別々にランクインすることは当週におけるFRUITS ZIPPER「はちゃめちゃわちゃライフ!」からも見て取れ、この分けるという形がLINE MUSICにおけるチャートポリシー(集計方法)だと解ります。ゆえに単曲版に集中させ、上位進出を図っているものと思われます。
(しかしながら単曲版とシングルパッケージ版収録分ではビルボードジャパンにて合算されることから、筆者はLINE MUSICに対し合算した上でのチャート表示を求めています。)
原因は自分にある。「パラノイドランデブー」はLINE MUSICで2週続けて上位進出を果たしていますが、コアファンがLINE MUSICに集中する一方でライト層(歌手のファンではないが曲が気になる方)やグレーゾーンがそもそも多くない可能性がLINE MUSICと他サービスとの乖離からみえてきます。この点はソングチャートにおけるストリーミングと、動画再生やダウンロードとの順位が大きく乖離していることからも想起可能です。

一方で、LINE MUSICにおける長期間の再生キャンペーンや高いハードルの設定は、ストリーミング指標および総合ソングチャートでの長期滞在の可能性を高めます。この点は超特急「NINE LIVES」から推測可能であり、同曲は初登場から4週連続でトップ40入りを果たしています(同曲のキャンペーンについては「お願いバッハ!」「NINE LIVES」の動向を踏まえ、LINE MUSIC再生キャンペーンをあらためて問う(10月5日付)参照)。
しかしながら「NINE LIVES」も原因は自分にある。「パラノイドランデブー」同様に動画再生(CHART insightでは赤で表示)やダウンロード(紫)は強くなく、初週のみ300位以内に入っているという状況です。ストリーミング表におけるLINE MUSICでの偏りも含め、コアファンとライト層等との乖離を確認することができるといえます。
「パラノイドランデブー」より前にLINE MUSIC再生キャンペーンが終了する「NINE LIVES」が、企画終了直後にストリーミング指標、そして総合ソングチャートでも急落するならば、「パラノイドランデブー」でも同じ流れをたどるでしょう。フィジカルセールスも強くなったEBiDAN所属歌手の作品群ですが、コアファンとライト層等との乖離を如何にして小さくするかが今後の課題だということは、以前から述べている通りです。
一方、FRUITS ZIPPER「はちゃめちゃわちゃライフ!」では前フィジカルシングル表題曲と異なる流れをたどっています。

FRUITS ZIPPERの前フィジカルシングル「KawaiiってMagic」もデジタル先行リリース。フィジカルセールス指標(CHART insightでは黄色で表示)の初加算時に総合首位を獲得していますが、その際この指標以外の加点はありませんでした(ソングチャート首位初登場、FRUITS ZIPPER「KawaiiってMagic」の指標動向を注視する(5月22日付)参照)。そして首位獲得の翌週には総合100位未満へと急落しています。
KAWAII LAB.所属歌手(FRUITS ZIPPER、CANDY TUNE、SWEET STEADYおよびCUTIE STREET)はTikTok等のバズに伴いストリーミング主体にロングヒットすることで知名度が上昇、コアファンが増加したこともあってかリリース毎にフィジカルセールスも上昇しています。他方そのフィジカルリリース曲はデジタルが強くなく、週間単位では高位置に付けたとしてもロングヒットしないというのが主流となっていました。
・https://x.com/FRUITS_ZIPPER/status/1978360533205307516(10月15日付)より
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FRUITS ZIPPERは今作「はちゃめちゃわちゃライフ!」にてLINE MUSIC再生キャンペーンを実施。こちらはフィジカルセールスのタイミングで解禁されたシングルパッケージ収録版のみが対象となるのですが、その前から解禁されていた単曲版もLINE MUSICで上昇し、そしてApple Musicでも週間59位にランクインを果たしています。
✨🏆Billboard JAPAN 今週の総合ソング・チャート "JAPAN Hot100" 🏆✨
— FRUITS ZIPPER【Official】 (@FRUITS_ZIPPER) 2025年10月22日
【Billboard JAPAN 今週の総合ソング・チャート "JAPAN Hot100" 】にて
FRUITS ZIPPERが第2位にチャートイン🎧✨
『はちゃめちゃわちゃライフ!』で
ふるっぱーのみんなとたくさんの記録を更新していくゾ🍑💥… https://t.co/sTbSNoeOfc pic.twitter.com/WOisD7eCCa
✨🔥Billboard JAPAN 急上昇チャート“Hot Shot Songs”🔥✨
— FRUITS ZIPPER【Official】 (@FRUITS_ZIPPER) 2025年10月22日
【Billboard JAPAN 急上昇チャート“Hot Shot Songs” 】にて
FRUITS ZIPPERが第8位にチャートイン🎧✨
SNSでもみんなが盛り上げてくれるおかげです🍑💥
🎧FRUITS ZIPPERを聴くhttps://t.co/LOAoZb04CZ
💜仲川瑠夏 @luna_fz0703… https://t.co/COqEGJ5sSq pic.twitter.com/ODtdWLfXdw
✨🔥Billboard JAPAN 今週のアニメ・ソング・チャート“Hot Animation”🔥✨
— FRUITS ZIPPER【Official】 (@FRUITS_ZIPPER) 2025年10月22日
【Billboard JAPAN 今週のアニメ・ソング・チャート“Hot Animation”】にて
FRUITS ZIPPERが第2位にチャートイン🎧✨
アニメクレヨンしんちゃんをもっともっと一緒に盛り上げるゾ🍑💥
🎧FRUITS ZIPPERを聴く… https://t.co/xobV7kIDKN pic.twitter.com/1NSDUjPxSa
FRUITS ZIPPERはトップ10内にランクインしたビルボードジャパン各種チャート毎に異なるリアクションを実施しています。このような細やかな配慮がコアファンとのエンゲージメント確立や強化につながり、土台を強くすることにつながっているのかもしれません。LINE MUSIC再生キャンペーンの影響も大きいとして、ストリーミング、動画再生そしてダウンロードが比較的上位に入っていることは注目に値するといえるでしょう。
LINE MUSIC再生キャンペーン採用曲においては、その終了後におけるチャート動向を見極めることが重要です。2曲が真の社会的ヒットに成ったかどうか、企画終了を待って判断する必要があります。

