イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

前週トップ10初登場曲の最新動向、そして"接触2指標は比例傾向にある"という特徴について

昨年夏以降再開したこのエントリーですが、タイトルを”前週トップ10初登場曲の最新動向”とした上で、副題を新たに設けています。前週の内容はこちら。

 

ビルボードジャパンソングチャートの動向を分析する者として、真の社会的ヒット曲とはロングヒットする、年間チャートで上位に進出する作品と考えます。週間単位で上位に入るのは好いことですが、他方で所有指標が極度に強い曲は加算2週目に、また接触指標が所有指標的な動きをなぞる曲(主にLINE MUSIC再生キャンペーン採用曲)はキャンペーン終了後に指標が大きく後退し、総合でも急落することが少なくありません。

この急落は毎週のようにみられます。ソングチャートのトップ10は多いときで5曲程度が毎週入れ替わり、ロングヒットするか否かが極端に分かれます。主にライト層の支持が反映されるストリーミングがロングヒット曲では強い一方、急落する曲はコアファンとライト層との乖離が大きいのですが、これらを1週分のチャートの順位およびポイントのみで判断することは、現状では難しい状況です。

そのため、このブログエントリーではビルボードジャパンに対しチャートポリシー(集計方法)の改善も提案していますが、あくまで自分なりのと前置きしつつもチャートの見方を提示したいと考えたのが、エントリー掲載の理由です。

 

<2025年10月29日公開分 ビルボードジャパンソングチャート

 前週初めてトップ10入りした作品の、前週および当週におけるCHART insight>

 

※CHART insightの説明

 

[色について]

黄:フィジカルセールス

紫:ダウンロード

青:ストリーミング

黄緑:ラジオ

赤:動画再生

緑:カラオケ

濃いオレンジ:UGC (ユーザー生成コンテンツ)

 (Top User Generated Songsチャートにおける獲得ポイントであり、ソングチャートには含まれません。)

ピンク:ハイブリッド指標

 (BUZZ、CONTACTおよびSALESから選択可能です。)

 

[表示範囲について]

総合順位、および構成指標等において20位まで表示

 

[チャート構成比について]

累計における指標毎のポイント構成

 

・FRUITS ZIPPER「はちゃめちゃわちゃライフ!」

 10月22日公開分 2位→10月29日公開分 36位

・米津玄師「1991」

 10月22日公開分 3位→10月29日公開分 5位

・原因は自分にある。「パラノイドランデブー」

 10月22日公開分 5位→10月29日公開分 13位

・HANA「My Body」

 10月22日公開分 6位→10月29日公開分 4位

BUMP OF CHICKEN「I」

 10月22日公開分 7位→10月29日公開分 18位

 

当週のストリーミング表はこちら。

 

今回紹介した5曲のうち、当週最高位に就けたのはHANA「My Body」でした(6→4位 ポイント前週比72.1%)。米津玄師「1991」(3→5位 ポイント前週比65.3%)を上回っているのみならず、ストリーミング指標においてはトップ10内に4曲がランクインしています。尤も米津玄師さんは同指標トップ3を引き続き占めており、この両者がMrs. GREEN APPLE共々今年を代表する歌手に成ったと言っても過言ではないでしょう。

 

当週挙げた5曲のうち総合100位未満に後退する作品はありませんでしたが、FRUITS ZIPPER「はちゃめちゃわちゃライフ!」がApple Music以外、原因は自分にある。「パラノイドランデブー」がLINE MUSIC以外のサブスクサービスで、週間チャートに入っていないという状況です。後者については所属するEBiDAN自体がLINE MUSIC再生キャンペーンを徹底しており、その動きをなぞっているといえます。

そしてこの2曲を含め、ロングヒットに至るかどうかは接触指標群であるストリーミングと動画再生の比例度合いからみえてくるかもしれません。

(上記CHART insightは有料会員が確認可能なもので、20位未満の指標順位も明示されています。ビルボードジャパンでは有料会員が知り得る情報の掲載を許可しています。)

最新ソングチャートをストリーミング指標、動画再生指標の上位順に並べ変えたCHART insightを上記に。ここから、接触指標群が比例傾向にあることが見て取れるでしょう。なお動画再生指標においてはアイドルやダンスボーカルグループの作品が強くなる傾向にあります。またMrs. GREEN APPLEライラック」においてはリカレントルールの適用に伴いストリーミング指標が下がっています(Streaming Songsチャートでは5位)。

この点を踏まえ、ストリーミング指標で好位置に就けたアイドルやダンスボーカルグループの曲が動画再生指標で高くない場合、ロングヒットし社会的ヒットに至るかは注視することが必要と捉えています。

 

先述した2曲をみると、FRUITS ZIPPER「はちゃめちゃわちゃライフ!」はストリーミング44位/動画再生13位となっている一方、原因は自分にある。「パラノイドランデブー」はストリーミング35位/動画再生300位未満となっています。また後者についてはこれまで一度も動画再生指標を獲得していないという状況です。

アイドルやダンスボーカルグループが動画再生指標を獲得できていないのは気になるところです。動画再生指標のカウント対象となるISRC(国際標準レコーディングコード)が動画に未付番という可能性も考えられますが、コアファンがLINE MUSIC再生キャンペーンに集中し、且つコアファンやライト層の動画再生が強くないというのが私見。キャンペーン終了後、「パラノイドランデブー」がどう動くかを注視する必要があります。