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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

最新チャートは米津玄師「IRIS OUT」が9連覇、紅白出場歌手の作品も上昇…次週はINI「Present」の動向に注目

最新11月19日公開分ビルボードジャパンソングチャート(集計期間:11月10~16日)では米津玄師「IRIS OUT」が初登場から9連覇を達成。通算首位獲得週数においては歴代5位タイに浮上し、Aimer「残響散歌」に並んでいます(前週時点での通算首位獲得週数ランキングは通算首位獲得週数歴代6位タイの米津玄師「IRIS OUT」、今後はどこまで伸びるか…次週および年明けの動向を読む(11月13日付)にて掲載)。

冒頭の記事にもあるように、米津玄師「IRIS OUT」はダウンロード数やストリーミング再生回数が低下した一方でカラオケが増加。ヒットの最大の要たるストリーミングは再生回数前日比が5%近いダウンにとどまったのに対しポイント前週比は92.4%となっており、ラジオ指標の3→16位への後退が影響しているといえるでしょう。

それでも、前週の集計期間における平日が4日間だったのに対し当週は5日間。日本では平日よりも土日祝日のストリーミングが伸びるという環境にあって、米津玄師「IRIS OUT」は再生回数をキープできたといえるかもしれません。

(なおビルボードジャパンでは、Streaming Songsチャートをソングチャートのストリーミング指標に移行する際、サブスクサービスの有料会員による1回再生を無料会員によるそれよりもウエイトを大きくする形で算出しています。)

 

さて、下記は毎週土曜に公開しているCHART insightからヒットを読む カテゴリーのエントリーでも掲載するストリーミング表となるのですが、当週は前週より集計期間中の平日が多いにもかかわらず、前週よりストリーミング再生回数を伸ばした曲が少なくないことが解ります。そして総合ソングチャートにおけるポイントも前週より増加しているのです。

ストリーミング再生回数の前週比判明曲では、たとえばアイナ・ジ・エンド「革命道中」(総合6位)が再生回数前週比100.7%/総合チャートポイント前週比100.8%、BE:FIRST「I Want You Back」(同8位)が103.6%/105.8%、HANA「ROSE」(同11位)が104.4%/107.2%、M!LK「好きすぎて滅!」(同12位)が108.2%/101.9%と推移。輩出した歌手はいずれも、今年の『NHK紅白歌合戦』(以下"紅白"と表記)に出場します。

紅白出場歌手による作品では他にも、乃木坂46ビリヤニ」(総合16位)が総合ポイント前週比165.4%、FRUITS ZIPPER「はちゃめちゃわちゃライフ!」(同17位)が183.1%、Mrs. GREEN APPLEライラック」(同19位)が104.4%、BE:FIRST「夢中」(同23位)が102.2%、サカナクション「怪獣」(同24位)が111.5%、幾田りら「恋風」(同41位)が111.1%、ちゃんみな「SAD SONG」(同49位)が103.1%等、前週超えの曲が目立ちます。

無論、上昇曲においては紅白出場決定以外の背景もあるかもしれませんが、紅白出場歌手の作品が伸びている、もしくは前週割れになったとしてポイント下落幅を抑えているといっていいでしょう。

紅白効果は放送終了後の動向からも明らかであり、今年1月8日公開分のビルボードジャパンソングチャートを分析したエントリーでも紹介しています。お茶の間全体に浸透した、老若男女すべてに"ヒットした"と認識される曲が減ったという言説を、たとえば年配の歌手等著名人が複数発信しているのをみかけますが、紅白発表を機に聴取行動が生まれているのは事実であり、ならば年配の著名人もその行動を採ることを勧めます。

 

 

次週は米津玄師「IRIS OUT」の10連覇なるかに注目です。仮にポイント前週比が9割で推移した場合、同曲は次週11,035ポイントを獲得することとなります。そして次週はINI「Present」(当週総合33位)がフィジカルセールス指標初加算に伴い、上位進出が見込まれます。

フィジカルシングル『THE WINTER MAGIC』1曲目に収録され、ビルボードジャパンソングチャートにおいてフィジカルセールス指標の加算対象となる「Present」は、そのフィジカルセールスがいわゆるフラゲ日の段階で2025年度の週間最多を記録。フィジカルシングルの前作「WMDA (Where My Drums At)」は2024年11月6日公開分にてフィジカルセールス796,757枚/12,146ポイントを記録し、総合ソングチャートを制しています。

フィジカルセールスの上昇、また前作よりもストリーミングが好調に推移していることを踏まえれば、INI「Present」がポイント面で前作超えを果たす可能性は高く、米津玄師「IRIS OUT」の10連覇達成を阻むかもしれません。一方で、大事なことは瞬発力もさることながらそれ以上にロングヒットであり、上位進出以降の動向にも注視する必要があります。