イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

坂道シリーズにおける首位獲得の背景、そしてビルボードジャパンソングチャートの首位が毎週入れ替わることについて

6月17日公開分のビルボードジャパンソングチャート(集計期間:6月8~14日)では、前週首位に立ったJI BLUE「景色」が7位に後退。櫻坂46「Lonesome rabbit」がフィジカルセールス指標初加算に伴い、前週の38位から首位に浮上しています。

(上記CHART insightは有料会員が確認可能なもので、20位未満の指標順位も明示されています(ビルボードジャパンでは有料会員が知り得る情報の掲載を許可しています)。また、以下に紹介するCHART insightも同様に、有料会員が確認可能なものとなります。)

 

櫻坂46「Lonesome rabbit」は、サカナクション「夜の踊り子」(2位)のおよそ倍となるポイントを獲得しています。

(6月17日公開分ビルボードジャパンソングチャートはこちらから確認可能です。)

 

 

坂道シリーズ(坂道グループ)のフィジカルシングル表題曲では施策が徹底されています。デジタル先行解禁時からフィジカルセールス指標加算2週目までLINE MUSIC再生キャンペーンを開催し、フィジカル初加算時にストリーミング指標が高位置に就くことで週間1万ポイント超えにつなげています((追記あり) ソングチャートを制した乃木坂46の動向からみえてくる、坂道シリーズの週間単位での強さと課題について(4月16日付)等参照)。

『Lonesome rabbit』リリース記念・LINE MUSICプレゼントキャンペーン実施決定! | ニュース | 櫻坂46公式サイト(5月18日付)より

 

(※ キャンペーン終了後にページが削除される可能性を踏まえ、キャプチャを行っています。問題があれば削除いたします。)

櫻坂46「Lonesome rabbit」のLINE MUSIC再生キャンペーンについては下記をご参照ください。

 

一方で坂道シリーズのフィジカルシングル表題曲における施策には、いわば副作用が存在します。CHART insightにて青で表示されるストリーミング指標が、黄色で示されるフィジカルセールス指標の加算3週目にて300位未満へ急落し加点対象から外れることが極めて多いのです。この点は3週前に総合首位を獲得した日向坂46「Kind of love」においても同様であり、ストリーミング指標がいわば断絶していることが解ります。

ロングヒットの要となるストリーミング指標が急落(断絶)する可能性を見極めるには、LINE MUSICと他のサブスクサービスとで乖離が発生していないか、またストリーミングと比例傾向にある(アイドルやダンスボーカルグループの楽曲では順位面でストリーミングを上回ることの多い)動画再生指標が高くはないかを確認する必要があります。なおCHART insightでは、動画再生指標は赤で表示されます。

毎週土曜のエントリーにて掲載しているストリーミング表を上記に。櫻坂46「Lonesome rabbit」は主要サブスクサービスの週間チャートでLINE MUSICのみランクインしている状況であり、他のサービスと乖離しています。そして動画再生指標は前週から上昇するも、100位未満→95位という状況です。

 

櫻坂46「Lonesome rabbit」においてはLINE MUSIC再生キャンペーンの影響力がなくなる再来週のチャートにて、総合100位以内に入っているかをまずは注視する必要があります。

 

 

もうひとつ注視したいのは週間2位のポイントについて。サカナクション「夜の踊り子」が獲得した5,613ポイントは今年度のみならず、ビルボードジャパンソングチャートが8→6指標となった(ルックアップおよびTwitter指標が除外された)2023年度以降において、週間2位登場曲の中では最も低いポイントとなります。

背景にはストリーミング上位曲の再生回数減少が挙げられます。サカナクション「夜の踊り子」はストリーミング指標の基となるStreaming Songsチャートを制していますが、このチャートでの再生回数推移をみると当週は1位および10位共に2026年度において2番目に低くなっています。全体的な再生回数は上昇していると思われますが、ストリーミングで圧倒的な支持を集める曲が登場していないといえる状況です。

 

ゆえに2026年度において、特に第2四半期以降は所有指標(特にフィジカルセールス)に強い曲が代わる代わる総合首位に立つも、翌週は所有指標の後退を接触指標が補完できないために後退するという流れが生まれています。一方でフィジカルセールスに強い曲、たとえば週間10万枚以上が見込まれる作品は今後もほぼ毎週登場するとみられ、ストリーミングに強い曲が登場しない限りは今後も首位曲が毎週入れ替わると推測されます。

 

ビルボードジャパンはこのような状況を【二層構造】と表現しています。

所有指標に強い曲の上位進出と急落、そしてストリーミングに強い曲の安定とロングヒット…相反するともいえるこれら二種類のヒットの仕方をビルボードジャパンは上半期ソングチャートの記事で、"二層構造"という表現を用いて紹介しています。

週間首位は米津玄師、Mrs. GREEN APPLE、Number_i、Snow Man、M!LK、BE:FIRST、嵐、King Gnu、=LOVE、乃木坂46ら多彩なアーティストが入れ替わりながら獲得し、総合上位はストリーミング主導のロングヒット曲が占めるという二層構造が今年もチャートを特徴づけた。

 

この二層構造は上半期ソングチャート分析エントリーでも採り上げています(2026年度上半期ビルボードジャパンソングチャートの記事から表を作成、そこから見えてくること(6月7日付)参照)。この解消を願いつつ、仮に進まないならばフィジカルセールス指標のウエイト減少等、チャートポリシー(集計方法)変更をビルボードジャパンは議論して好いのではと考えます。そのためにはチャートの見方も積極的に発信すべきでしょう。

 

前週トップ10初登場曲の当週動向、そしてビルボードジャパンによる"二層構造"表現への私見(6月13日付)より

ストリーミングでもロングヒットするようなフィジカルセールスに強い曲、そしてストリーミングで圧倒的な支持を集め続ける曲の登場が待たれますが、ビルボードジャパンにはこの二層構造、そしてチャートの見方や真の社会的ヒットについて説明を徹底するよう強く願います。真の社会的ヒットについてはCHART insightも用いて、動画等で解りやすく説明することを望んでいます。