イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

前週トップ10初登場曲の最新動向と、TREASURE「PARADISE」が2週連続で10位を記録した要因について

昨年夏以降再開したこのエントリーですが、タイトルを”前週トップ10初登場曲の最新動向”とした上で、副題を新たに設けています。前週の内容はこちら。

 

ビルボードジャパンソングチャートの動向を分析する者として、真の社会的ヒット曲とはロングヒットする、年間チャートで上位に進出する作品と考えます。週間単位で上位に入るのは好いことですが、他方で所有指標が極度に強い曲は加算2週目に、また接触指標が所有指標的な動きをなぞる曲(主にLINE MUSIC再生キャンペーン採用曲)はキャンペーン終了後に指標が大きく後退し、総合でも急落することが少なくありません。

この急落は毎週のようにみられます。ソングチャートのトップ10は多いときで5曲程度が毎週入れ替わり、ロングヒットするか否かが極端に分かれます。主にライト層の支持が反映されるストリーミングがロングヒット曲では強い一方、急落する曲はコアファンとライト層との乖離が大きいのですが、これらを1週分のチャートの順位およびポイントのみで判断することは、現状では難しい状況です。

そのため、このブログエントリーではビルボードジャパンに対しチャートポリシー(集計方法)の改善も提案していますが、あくまで自分なりのと前置きしつつもチャートの見方を提示したいと考えたのが、エントリー掲載の理由です。

 

<2025年9月17日公開分 ビルボードジャパンソングチャート

 前週初めてトップ10入りした作品の、前週および当週におけるCHART insight>

 

※CHART insightの説明

 

[色について]

黄:フィジカルセールス

紫:ダウンロード

青:ストリーミング

黄緑:ラジオ

赤:動画再生

緑:カラオケ

濃いオレンジ:UGC (ユーザー生成コンテンツ)

 (Top User Generated Songsチャートにおける獲得ポイントであり、ソングチャートには含まれません。)

ピンク:ハイブリッド指標

 (BUZZ、CONTACTおよびSALESから選択可能です。)

 

[表示範囲について]

総合順位、および構成指標等において20位まで表示

 

[チャート構成比について]

累計における指標毎のポイント構成

 

・なにわ男子「アシンメトリー

 9月10日公開分 1位→9月17日公開分 65位

・ILLIT「時よ止まれ」

 9月10日公開分 4位→9月17日公開分 32位

 

・THE SUPER FRUIT「まにまに」

 9月10日公開分 7位→9月17日公開分 100位未満

・TREASURE「PARADISE」

 9月10日公開分 10位→9月17日公開分 10位

 

当週のストリーミング表はこちら。

 

 

前週トップ10内に初登場した4曲の当週動向を大きく分けたのは、ストリーミング加点の有無といえるでしょう。ILLIT「時よ止まれ」では当週初めてこの指標が300位以内に入っています。

他方、なにわ男子「アシンメトリー」はストリーミング未加点の状況が続いています。尤もデジタルはフィジカルから1週間遅れで解禁され、ダウンロード8位を記録していますが、フィジカルリリースまでにデジタルを解禁していればさらに数値を伸ばせたと考えられます。またデジタル解禁を遅らせなければ、ダブルAサイドながらフィジカルセールス指標未加算の「Black Nightmare」も総合100位以内に入ったかもしれません。

 

前週初のトップ10入りを果たした曲のうち、TREASURE「PARADISE」は総合10位をキープ。ストリーミング35→42位、ラジオ3→1位となり、この2指標が牽引した形です。一方でストリーミングは以前のエントリー(→こちら)で紹介したようにLINE MUSIC再生キャンペーンの影響が大きいといえます(ただしApple Musicにおける100位以内エントリーは注目すべきと考えます)。

そして、ラジオにおいては興味深い事象が生まれています。この指標はプランテックによる全国主要ラジオ局のラジオオンエアチャートに基づき、各ラジオ局の聴取可能人口等を加味して算出されるのですが、この指標の基となるオンエアチャートではTREASURE「PARADISE」は6位に。指標化後に1位となった点からは、この曲が聴取可能人口の多い放送局でパワープレイされたことを想起させます。

実際、TREASURE「PARADISE」においては首都圏ラジオ局であるinterfmにて、9月1~19日で述べ100回オンエアされていることが判明しています。

MUSIC SEARCH | インターエフエム [ 89.7MHz TOKYO ]

 (上記リンク先は、interfmのオンエア楽曲検索サイトにて、9月1~19日において”TREASURE”と検索した結果。流れた曲はすべて「PARADISE」となります。)

 

TREASUREがinterfmで強いという件は、今年の春における「YELLOW」でも同様でした。実はこの曲、同局でのパワープレイが終了した後にラジオ指標が300位未満に急落しています。

さて先週は、ラジオ指標が4週連続でトップ3入りを果たし、総合でも100位以内ランクインを続けたTREASURE「YELLOW」について、その背景を分析しました。

同曲の当週におけるCHART insightをみると(リンクはこちら)、実は前週と変わっていません。最終エントリーは前週4月9日公開分となっており、当週はラジオ、そしてそれ以外の指標でも300位未満となり加点されなかったことが解ります。

先述したエントリーでは、レコード会社によるラジオ施策がこの指標を高めることで総合ソングチャートでの複数週ランクインにつながったと記した上で、『とはいえ、ラジオ指標ばかり強くとも他指標が伴わないことには真の社会的ヒットとは言い難いと考えます』と結論付けました。特にサブスクが強くなければロングヒットは難しく、ストリーミング指標を伸ばすこと、施策が一指標に偏らないことが求められます。

 

(追記あり) 前週のトップ10初登場曲が真のヒット曲に成るか、CHART insightから読む (2025年4月16日公開分)(4月19日付)より

TREASUREは「PARADISE」でも同様の施策を打ってきたといえるでしょう。サブスクにおいてはApple Musicでランクインしていることを興味深く感じつつも、引用部分における「YELLOW」CHART insightでの累計ポイント構成比は奇しくも「PARADISE」と似ています。パワープレイが無くなるタイミングで「PARADISE」がどうなるかを注視すると共に、ビルボードジャパンにおいてはラジオ指標の見直し議論実施を願います。