(※追記(4月26日4時36分):冒頭で掲載しているリンク先が、本来貼付すべきエントリーではなくその1週間前のものとなっていました。つきましては差替を実施しています。心よりお詫び申し上げます。)
昨年夏以降再開したこのエントリー、今年に入ってからタイトルを一部変更しています。前週の内容はこちら。
ビルボードジャパンソングチャートの動向を分析する者として、真の社会的ヒット曲とはロングヒットする、年間チャートで上位に進出する作品と考えます。週間単位で上位に入るのは好いことですが、他方で所有指標が極度に強い曲は加算2週目に、また接触指標が所有指標的な動きをなぞる曲(主にLINE MUSIC再生キャンペーン採用曲)はキャンペーン終了後に指標が大きく後退し、総合でも急落することが少なくありません。
この急落は毎週のようにみられます。ソングチャートのトップ10は多いときで5曲程度が毎週入れ替わり、ロングヒットするか否かが極端に分かれる状況です。主にライト層の支持が反映されるストリーミング指標がロングヒット曲では強い一方、急落する曲はコアファンとライト層との乖離が大きいのですが、これらを1週分のチャートの順位およびポイントのみで判断することは、現状では難しい状況です。
そのため、このブログエントリーではビルボードジャパンに対しチャートポリシー(集計方法)の改善も提案していますが、あくまで自分なりのと前置きしつつもチャートの見方を提示したいと考えたのがエントリー再開の理由です。
<2025年4月16日公開分 ビルボードジャパンソングチャート
前週初めてトップ10入りした作品の、前週および当週におけるCHART insight>
※CHART insightの説明
[色について]
黄:フィジカルセールス
紫:ダウンロード
青:ストリーミング
黄緑:ラジオ
赤:動画再生
緑:カラオケ
濃いオレンジ:UGC (ユーザー生成コンテンツ)
(Top User Generated Songsチャートにおける獲得ポイントであり、ソングチャートには含まれません。)
ピンク:ハイブリッド指標
(BUZZ、CONTACTおよびSALESから選択可能です。)
[表示範囲について]
総合順位、および構成指標等において20位まで表示
[チャート構成比について]
累計における指標毎のポイント構成
・HANA「ROSE」
4月9日公開分 1位→4月16日公開分 2位
・AKB48「まさかのConfession」
4月9日公開分 3位→4月16日公開分 12位
・Mrs. GREEN APPLE「クスシキ」
4月9日公開分 6位→4月16日公開分 1位
・SHOW-WA「外せないピンキーリング」
4月9日公開分 7位→4月16日公開分 100位未満
当週におけるストリーミング等動向表はこちら。
前週の首位から2位に後退しながらもポイントを伸ばしたHANA「ROSE」、そして前週集計期間2日分で6位に入り当週首位に浮上したMrs. GREEN APPLE「クスシキ」については、一昨日付のブログエントリーにて紹介しています。
上記エントリーでは「クスシキ」および「ROSE」が米ビルボードによるGlobal 200にもランクインしたとお伝えしましたが、その後発表された4月17日公開分のGlobal Japan Songs Excl. Japan(4月19日付Global 200を基に日本市場分を除いた上で日本の楽曲を抽出したチャート)では2曲とも20位以内にランクインしていません。2曲のGlobal 200における獲得ポイントは日本の割合がかなり高く、海外から更に支持を得られるか注目です。
前週トップ10内に初登場した他の2曲は主にフィジカルセールスの強さが牽引した形ですが、当週はSHOW-WA「外せないピンキーリング」は当週総合100位圏外となった一方でAKB48「まさかのConfession」は12位と高位置に。ポイント前週比は43.7%と、フィジカルセールス加算2週目においては高水準といえます。
AKB48においては前作のフィジカルシングル「恋 詰んじゃった」が3位(2024年7月24日公開分)から23位に後退するも、ポイント前週比は42.1%と高い状況でした。当週は総合10位のポイントが今年度で最も低くなるなど全体的に低下傾向といえる中、ポイント前週比4割台を記録したAKB48はトップ20をキープできたと考えます。一方で当週もストリーミング指標は未加算であり、今後急落する可能性は否めません。
さて先週は、ラジオ指標が4週連続でトップ3入りを果たし、総合でも100位以内ランクインを続けたTREASURE「YELLOW」について、その背景を分析しました。
同曲の当週におけるCHART insightをみると(リンクはこちら)、実は前週と変わっていません。最終エントリーは前週4月9日公開分となっており、当週はラジオ、そしてそれ以外の指標でも300位未満となり加点されなかったことが解ります。
先述したエントリーでは、レコード会社によるラジオ施策がこの指標を高めることで総合ソングチャートでの複数週ランクインにつながったと記した上で、『とはいえ、ラジオ指標ばかり強くとも他指標が伴わないことには真の社会的ヒットとは言い難いと考えます』と結論付けました。特にサブスクが強くなければロングヒットは難しく、ストリーミング指標を伸ばすこと、施策が一指標に偏らないことが求められます。
サブスクが強く、ストリーミング指標が強くなければロングヒットや年間単位での上位進出が厳しいのが今の音楽チャートです。ともすればストリーミングがすべてではないと言われかねませんが、この指標ほどコアファン以上に、歌手のファンではないが曲が気になるというライト層からの支持を集められるものはありません。ストリーミングのロングヒットはライト層が長く注目していることの証拠と言って差し支えないのです。