イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

前週トップ10初登場曲の最新動向、およびM!LK「好きすぎて滅!」のポテンシャルについて

昨年夏以降再開したこのエントリーですが、タイトルを”前週トップ10初登場曲の最新動向”とした上で、副題を新たに設けています。前週の内容はこちら。

 

ビルボードジャパンソングチャートの動向を分析する者として、真の社会的ヒット曲とはロングヒットする、年間チャートで上位に進出する作品と考えます。週間単位で上位に入るのは好いことですが、他方で所有指標が極度に強い曲は加算2週目に、また接触指標が所有指標的な動きをなぞる曲(主にLINE MUSIC再生キャンペーン採用曲)はキャンペーン終了後に指標が大きく後退し、総合でも急落することが少なくありません。

この急落は毎週のようにみられます。ソングチャートのトップ10は多いときで5曲程度が毎週入れ替わり、ロングヒットするか否かが極端に分かれます。主にライト層の支持が反映されるストリーミングがロングヒット曲では強い一方、急落する曲はコアファンとライト層との乖離が大きいのですが、これらを1週分のチャートの順位およびポイントのみで判断することは、現状では難しい状況です。

そのため、このブログエントリーではビルボードジャパンに対しチャートポリシー(集計方法)の改善も提案していますが、あくまで自分なりのと前置きしつつもチャートの見方を提示したいと考えたのが、エントリー掲載の理由です。

 

<2025年11月12日公開分 ビルボードジャパンソングチャート

 前週初めてトップ10入りした作品の、前週および当週におけるCHART insight>

 

※CHART insightの説明

 

[色について]

黄:フィジカルセールス

紫:ダウンロード

青:ストリーミング

黄緑:ラジオ

赤:動画再生

緑:カラオケ

濃いオレンジ:UGC (ユーザー生成コンテンツ)

 (Top User Generated Songsチャートにおける獲得ポイントであり、ソングチャートには含まれません。)

ピンク:ハイブリッド指標

 (BUZZ、CONTACTおよびSALESから選択可能です。)

 

[表示範囲について]

総合順位、および構成指標等において20位まで表示

 

[チャート構成比について]

累計における指標毎のポイント構成

 

・櫻坂46「Unhappy birthday構文」

 11月5日公開分 2位→11月12日公開分 7位

・LE SSERAFIM feat. J-HOPE「SPAGHETTI」

 11月5日公開分 3位→11月12日公開分 15位

・BE:FIRST「I Want You Back」

 11月5日公開分 4位→11月12日公開分 9位

中島健人「IDOLIC」

 11月5日公開分 6位→11月12日公開分 100位未満

Travis Japan「Disco Baby」

 11月5日公開分 7位→11月12日公開分 97位

 

 

当週のストリーミング表はこちら。

 

上記で採り上げた5曲は"上位にとどまる"か"急落する"かで大きく分かれています。他方、当週はフィジカルセールスが10万を上回る作品が存在せず、たとえば週間3位、4位および5位のポイントは今年度最低になっています。当週20位以内にとどまった3曲はしかしながらポイントが前週比5割未満となっており、仮にポイントをキープできていたならばより存在感を高められたといえそうです。

 

 

前週は11~20位に2曲が初登場を果たしていますが、そのうち離婚伝説「ファーストキス」(20位)はラジオの後退およびストリーミング指標未解禁に伴い当週は総合100位未満に急落。他方、M!LK「好きすぎて滅!」(15位)は当週14位に上昇し、ポイント前週比は先述した楽曲群よりも高い97.7%で推移しています。

M!LK「好きすぎて滅!」はストリーミング指標の基となるStreaming Songsチャートでキャリア初となるトップ10入りを果たしています(ストリーミング指標では11→8位に上昇)。

またトップ10圏内では、新たにM!LKの最新曲「好きすぎて滅!」が前週13位からさらに順位を上げ、10位に登場。M!LKの楽曲が当チャートでトップ10入りを達成するのは今回が初となる。

同曲においては12月8日までLINE MUSIC再生キャンペーンが開催中(企画内容はこちら)。高いハードル設定も相まって同サービスでは週間チャートで連覇を果たしているのですが、他方Apple Musicでは最新の週間チャートで87位に上昇し、Spotifyにおいてもデイリー200位以内に入ったことから、「好きすぎて滅!」はLINE MUSICに偏っていながらも少しずつ浸透していることが推測できます。

 

M!LKについては今週のエントリーで「イイじゃん」以降のチャートアクションを紹介し、『NHK紅白歌合戦』(NHK総合ほか)に出場する可能性について述べたばかり。そして昨日、念願の紅白出場を果たした形です。

「好きすぎて滅!」はLINE MUSIC再生キャンペーン終了までに他のサブスクサービスで聴かれるようになれば、年末の長時間音楽特番におけるパフォーマンスも相まってチャートアクションが安定し、「イイじゃん」等にも波及していくかもしれません。