イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

THE FIRST TAKEを機にちゃんみなの存在感が高まった音楽チャート、一方で新設音楽賞の影響は

2020年からポッドキャストBillboard Top Hits (通称:ポッドチャート)】を発信し、現在は毎週木曜13時に最新エピソードを公開しています。昨日アップした最新回はこちら。

今回はポッドキャストでも紹介した、最新のビルボードジャパントップアーティストチャートについて採り上げます。

 

 

最新5月28日公開分のビルボードジャパンソングチャートでは、ちゃんみな「SAD SONG」が53→11位に急伸。2週前には100位未満だったこの曲が、オーディション”No No Girls”ファイナリスト10名とコラボしたTHE FIRST TAKEの公開を機に上昇した形です。

上記はビルボードジャパンソングチャートにおけるちゃんみな「SAD SONG」の、有料会員が確認可能なCHART insight。青で表示されるストリーミングは91→37→3位となり総合順位の上昇に大きく貢献するも、動画再生指標(赤)は300未満(2週連続)→100位未満300位圏内と低い状況です。ここからは、THE FIRST TAKE動画が引き続き加点されていない可能性が考えられます。

(総合チャートおよび構成指標における20位未満の順位はCHART insight有料会員のみが確認できます。ビルボードジャパンでは有料会員のみ知り得る情報の掲載を可能としています。)

THE FIRST TAKE動画がビルボードジャパンソングチャートの動画再生指標に加点されていない可能性については前週も言及しており(上記参照)、THE FIRST TAKEやレコード会社側の見直しは急務です。他方、THE FIRST TAKE動画が動画再生指標に加点されないようチャートポリシー(集計方法)が変更されたならば、ビルボードジャパン側がその旨を発信すべきと考えます。

THE FIRST TAKE動画が動画再生指標で加点されていれば総合トップ10入りの可能性は極めて高く、その未加点は勿体ないと感じつつもストリーミングの急伸から「SAD SONG」の勢いが十分感じられます。

 

そしてTHE FIRST TAKE効果以降、ちゃんみなさんのアーティストパワーは高まっています。

5月28日公開分のビルボードジャパンソングチャートでは、「SAD SONG」を筆頭にちゃんみなさんの作品が4曲ランクイン。「ハレンチ」が85→58位、「Never Grow Up」が93→67位、そして「B級」が100位未満(300位圏内)→93位に上昇しています。いずれの曲も総合順位以上にストリーミング指標の順位が高いことが特徴です(順に3位、53位、52位、76位を記録)。

また同日公開分のアルバムチャートでは『Never Grow Up』が12→7位に上昇し最高位を更新したほか、『ハレンチ』は11位をキープ、そして『Naked』は60→36位に急伸しています。こちらでもストリーミング指標が順に5位、9位そして33位となり、総合順位の上昇に寄与しています。

その結果、ソングチャートとアルバムチャートを合算したビルボードジャパンのトップアーティストチャート(Artist 100)では、ちゃんみなさんが12→5位に上昇。ストリーミング(9→3位)に加えて動画再生が18→12位、ダウンロード(紫で表示)が25→19位、カラオケ(緑)も45位→21位に上昇しています。接触のみならず所有が伸びている点からはコアファンの増加が想起され、活用されている点からは多方面からの支持が見て取れます。

 

ちゃんみなさんの勢いはHANAにも波及。上記はCHART insightからヒットを読む カテゴリーのエントリーで掲載しているストリーミング表の最新版(この表を基とするエントリーは5月31日付エントリーにて公開予定)。この表からも解るように、当週はオーディション”No No Girls”から登場したHANAによる3曲すべてのポイントが上昇しています。この点もまた、THE FIRST TAKE効果と捉えて間違いないはずです。

 

 

ちゃんみなさんの音楽チャートにおけるアーティストパワー増大に際し、ストリーミングがとりわけ大きな影響を与えていることは間違いないでしょう。

ソングチャートのストリーミング指標はStreaming Songsチャートを基にしていますが、このチャートの記事(上記参照)ではTHE FIRST TAKEのほか、今回の集計期間内に開催されたMUSIC AWARDS JAPAN、特にテレビ中継された22日のGrand Ceremonyにおけるパフォーマンスについても言及されています。

(上記はMUSIC AWARDS JAPANの公式YouTubeチャンネルが公開する動画一覧。ブログ執筆時点となる5月30日4時現在のものをキャプチャしています。)

しかしながらブログ執筆時点の段階で、MUSIC AWARDS JAPANでのちゃんみなさんによるパフォーマンス動画は未だ公開されていません。パフォーマンスの評判は耳にしてもMrs. GREEN APPLE同様にアップされていないため、昨日まで配信されたNHKプラス以外では後追いでの確認手段がありませんでした。仮にYouTubeで公開されていたならば、新設音楽賞の影響が音楽チャートにも間接的ながら反映されたものと考えます。

 

 

MUSIC AWARDS JAPANは動画公開において、5月25日に開催されたアメリカン・ミュージック・アワード(AMAs)の発信を参考にするよう願います。AMAsでは授賞式の開催中に歌手による受賞コメントがSNSにて動画付きにて発信されたのみならず、終了直後にはパフォーマンス動画も公開されています。

そしてAMAsの動画は、音楽チャートにダイレクトに影響を与えるでしょう。

AMAsでは、米ビルボードによる最新5月31日付グローバルチャート(Global 200およびGlobal Excl. U.S.)で首位を獲得したアレックス・ウォーレン「Ordinary」も披露されましたが、上記動画は歌手側のYouTubeチャンネル発となります(同じ動画はAMAsの公式YouTubeチャンネルからも公開(→こちら))。歌手側のチャンネルから発信されることで、動画再生分が基本的に米やグローバルのストリーミング指標に加点されます。

歌手側への動画の迅速な貸与は、チャート反映につながります。また動画を観た方がパフォーマンスに魅了され、それが披露されたAMAs自体への信頼度を高めるものと考えれば、動画の貸与ならびに公開は音楽賞にとって中長期的に大きな意味を持つはずです。ならばMUSIC AWARDS JAPANにおいても現在公開する動画の歌手側への貸与、そして未だ公開されていないパフォーマンス映像の公開は必須ではないでしょうか。

 

MUSIC AWARDS JAPANの開催ならびに動画公開は音楽チャートに反映されているとして、しかしながら『NHK紅白歌合戦』(NHK総合ほか)ほどの影響力は持ち合わせていないと感じています(紅白効果については紅白効果、Mrs. GREEN APPLEのさらなる上昇…直近2週分のビルボードジャパンソングチャートについて(1月9日付)を参照)。動画の迅速な公開および貸与があれば、チャートへの影響はより明確に可視化されたはずです。