最新5月28日公開分(集計期間:5月19~25日)のビルボードジャパンソングチャートでは前週初登場で首位を獲得したFRUITS ZIPPER「KawaiiってMagic」が100位未満に後退。Number_i「GOD_i」がフィジカルセールス指標初加算に伴い、2月5日公開分以来通算2週目の首位を獲得しています。
本作はNumber_iの2ndシングル。1月27日に配信リリースされ2月5日公開チャートで総合首位を獲得していたが、5月19日にCDがリリースされた影響で再び総合首位を獲得した。それぞれの指標を見てみると、初週400,505枚を売り上げてセールス2位、ダウンロード1位、ストリーミング43位、ラジオ1位、動画18位に。Number_iが総合首位を獲得するのは今回で4度目、3作目となる。
【ビルボード】Number_i「GOD_i」が再びHot100を制す、ちゃんみな「SAD SONG」が大きく浮上 https://t.co/bZ8K2Tigi4
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2025年5月28日
Number_i「GOD_i」は5月19日月曜にフィジカルをリリース。フィジカルセールス指標は日向坂46「Love yourself!」(498,635枚)に次ぐ2位となり、フィジカルシングルの前作「GOAT」(初週481,475枚)に続き初週40万枚超えを達成しています。また「GOD_i」はラジオ指標でも首位に返り咲いており、同指標の基となるプランテックのオンエアチャートでは次のように紹介されています。
シングルリリースを迎えた今週いっきに941%増のオンエアとなり首位へと上り詰めた。
FMを主体に帯放送のコーナー/番組といった定期枠で大量に積み上げたオンエアは、調査対象の51.6%のステーションでの獲得と若干局地的。その反面、リクエストオンエアは東名阪で確認できるなど、広い範囲でファンダムの影響がうかがえる点はさすがだ。
前週12日にもTOKYO FMにて“カップリング曲解禁スペシャル”と称し複数番組に出演するなど、限定的ながら長期にわたるラジオ施策によりシングルリリースに向けて注目度が高まっていったかっこうだ。セールスも好調の様子。
ラジオ指標では男性アイドルやダンスボーカルグループによる強さが目立ちますが、これは『FMを主体に帯放送のコーナー/番組といった定期枠』での大量オンエアという、主に歌手側の施策が背景にあります。フィジカルセールス初加算時における最大化を目的としているのですが、そのフィジカルセールス指標加算2週目にはセールス共々ラジオでも大きく後退することは少なくありません。
さて、「GOD_i」のフィジカルシングルカップリング曲は「HIRAKEGOMA」を除き、『「i_DOG」は59位、「Psycho」は65位、「ロミジュリ」は74位、「Frisco」は78位』に初登場を果たしています(『』内は冒頭で紹介したソングチャートの記事より)。いずれもダウンロード13位以内、ストリーミング91位以内に入り、また動画は公式オーディオのみながら4曲すべてが動画再生指標300位以内に入り加点されているのも注目点です。
シングルパッケージではなく(のみならず)単曲ダウンロードでの購入、さらにはデジタルリリース週に6万ダウンロード超えを果たした「GOD_i」が当週も26,943DLを記録する等の動きは、他の歌手の作品ではあまりみられません。これにより「GOD_i」はBE:FIRST「Spacecraft」(2月12日公開分 16,125ポイント)に次いで今年度2位となる14,493ポイントを記録、またNumber_iのソングチャートランクイン数は20曲に達しています。
この動向から、「GOD_i」の首位初登場時に記した内容を想起した次第です。
結果的に「GOD_i」はNumber_iにおいて4曲目となる1万4千ポイント超えを達成しています。ラジオでは多数のリクエストもみられること、また今年度最多の週間ダウンロード数や動画作成指標の首位獲得、加えてミュージックビデオのリリース日における解禁等からは、チャート初登場週におけるポイント最大化を歌手側も、そしてファンダムも意識していると捉えていいでしょう。
ブログエントリーでは好調を踏まえた上で、次週以降の動向に注目と記しました。社会的ヒットに至る曲はストリーミングでロングヒットを続けており、ファンダムのみならずライト層(曲は気になるが歌手のファンというわけではない方)を如何に惹き付けコアファンへと昇華させるかが重要と考えるのですが、「GOD_i」は首位初登場の翌週に13位へ後退。そして今後、上位で安定するかについては疑問を抱いています。
上記はCHART insightからヒットを読む カテゴリーのエントリーで掲載しているストリーミング表の最新版(この表を基とするエントリーは5月31日付エントリーにて公開予定)。Number_i「GOD_i」は前週木曜までの1週間を集計期間とするSpotifyでは週間12位に入っていますが、日曜までが集計期間のApple Musicでは95位、LINE MUSICやAmazon Musicでは一定順位以内にランクインしていません。
そのSpotifyでは最新5月27日付まで、「GOD_i」のフィジカルシングル収録6曲をはじめ「GOAT」「BON」および「INZM」が50位以内にランクインを続ける一方、他のサブスクサービスでのランクインはApple Musicでの「GOD_i」(95位)にとどまります。歌手側やファンダムのStationhead活用、また今回はSpotify自らがフィジカルリリース日にリスニングパーティーを開催したことも影響していますが、偏りは大きいという状況です。
この偏りは、当週ストリーミング再生回数が可視化された10曲と比較するとよく解ります。ちゃんみな「SAD SONG」(ストリーミング指標3位、総合11位)は他の曲よりSpotifyの割合が小さいものの、他は25%前後(高くても30%弱)なのに対し、Number_i「GOD_i」はおよそ6割をSpotifyのみで獲得していることが解ります。
Number_iのフィジカルシングル前作にあたる「GOAT」では、フィジカルセールス指標初加算週でのストリーミング再生回数に占めるSpotifyの割合は43.9%に。また「GOD_i」の初登場時は他のサブスクサービスでも週間チャートに登場し(Number_i「GOD_i」がビルボードジャパンソングチャートを制覇…注目は次週の動向 - イマオト(2月6日付)参照)、同週のストリーミング全体に占めるSpotifyの割合は37.4%となっていました。
「GOD_i」がデジタルリリースから日が経っていること、またデジタルリリース直後は他のサブスクサービスでもヒットしていたことは考慮する必要がありますが、それでも当週における「GOD_i」再生回数全体に占めるSpotifyの割合は気になります。フィジカルリリースや施策も影響しているとして、翌週以降この割合が小さくならなければ(他のサブスクサービスでより聴かれなければ)、総合でのダウン幅は大きいかもしれません。
先述したように、日本のSpotifyデイリーチャートでは今も「GOAT」「BON」「INZM」がデイリー50位以内にランクインを続けており、「GOD_i」もその流れに加わればソングチャートでの長期エントリーはあり得るでしょう。ファンダムによる再生回数割合が高いという仮定が正しいならばそのファンダムの熱量には感心する一方、ライト層に浸透させ新規のコアファンを誕生させることに積極的に成る必要もあるのではと考えます。
上記は当週のフィジカルセールス上位5曲における売上枚数の推移を示した表ですが、Number_i「GOD_i」の後半4日分における売上枚数が極端に少ないことが解ります。「GOD_i」のフィジカルリリースが月曜だったことも影響していると考えますが、その販路が所属事務所TOBEの公式ストアに限られるためにライト層が曲を気になっても購入するのを躊躇う傾向もあるかもしれないと感じています。
Number_iは先週、それこそ最新のビルボードジャパンソングチャート集計期間内に行われたMUSIC AWARDS JAPANに出席し、オープニングVTRにも登場しています。露出の多かった週ゆえ、Number_iが気になった方は多いのではないでしょうか。ならば尚の事、フィジカル購入に至る導線は複数用意するほうが好いというのが私見です。