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紅白効果、Mrs. GREEN APPLEのさらなる上昇…直近2週分のビルボードジャパンソングチャートについて

ビルボードジャパンは昨日、1月1日公開分(集計期間:2024年12月23~29日)および1月8日公開分(集計期間:2024年12月30日~2025年1月5日)のソングチャートを発表しました。今回は2週分の動向を紹介します。

 

<直近2週分のビルボードジャパンソングチャート トピック>

 

 

1月1日公開分ビルボードジャパンソングチャートについて

1月1日公開分(集計期間:2024年12月23~29日)のビルボードジャパンソングチャートはロゼ (ROSÉ) & ブルーノ・マーズ「APT.」が2週連続、通算5週目の首位を獲得しています。

当週はクリスマス前後となり、集計期間前半3日分(2024年12月25日まで)にポイントを積み上げたクリスマス関連曲が上位に進出しています。

クリスマス関連曲で最高位を獲得したのがback number「クリスマスソング」。1月1日公開分ソングチャートではクリスマス当日が集計期間3日目となり関連曲が不利といえる状況の中、「クリスマスソング」は4位に上昇。2015年12月30日公開分で通算3週目の首位を獲得して以来となる上位進出を果たしています。

その中で首位をキープしたロゼ & ブルーノ・マーズ「APT.」について、総合ソングチャートの記事では『ストリーミングやダウンロードは減少したものの、ラジオとカラオケが約1.5倍増加』と紹介されています。ラジオ指標は20→13位、カラオケ指標は42→26位に上昇しており、ロングヒットが難しいラジオでの安定、そして日本語以外の言語で綴られた曲のカラオケヒットから、「APT.」の人気の大きさが見て取れます。

 

それでもロゼ & ブルーノ・マーズ「APT.」のポイントは7%以上減少。一方でMrs. GREEN APPLEライラック」は13%以上ポイントを伸ばし、19週ぶりにストリーミング1千万回再生を突破しています。主要サブスクサービスの動向(集計期間は前後します)、ビルボードジャパン総合ソングチャート、および同チャートにおけるストリーミング指標の基となるStreaming Songsチャートの順位をまとめたストリーミング表はこちら。

1月1日公開分ビルボードジャパンソングチャートではクリスマス関連曲のほか、『第75回NHK紅白歌合戦』(NHK総合ほか 以下”紅白”と表記)をはじめとする年末の地上波長時間音楽特番出演歌手、またMrs. GREEN APPLEによる各曲等が上昇しています。集計期間は紅白の2日前までながら、今回の集計期間初日に紅白の曲目が発表されたこと、またそれに伴うサブスクプレイリストの人気が影響しているかもしれません。

 

1月8日公開分ビルボードジャパンソングチャートについて

1月8日公開分(集計期間:2024年12月30日~2025年1月5日)のビルボードジャパンソングチャートではロゼ (ROSÉ) & ブルーノ・マーズ「APT.」が2位に後退。Mrs. GREEN APPLEライラック」が昨年9月11日公開分以来、通算3週目となる首位を獲得しています。

年末年始を集計期間とする1月8日公開分ビルボードジャパンソングチャートでは、昨年末の地上波長時間音楽特番が引き続き反映されています。紅白の影響力は特に大きく、とりわけ米津玄師「さよーならまたいつか!」、藤井風「満ちてゆく」そしてB'z「LOVE PHANTOM」「ultra soul」がNHK発のYouTube動画も含めて話題となっていました。その点は昨日のエントリーでも紹介しています。

1月8日公開分におけるストリーミング表には主要サブスクサービス20位未満の紅白歌唱曲も記載していますが、大半の披露曲で順位、および総合ソングチャートのポイントが伸びていることが解ります。

本チャートは、総合ソング・チャート“JAPAN Hot 100”の指標の中から、ダウンロード、ストリーミング、動画再生の3指標の合計ポイントが増加した順に並べた“急上昇楽曲チャート”だ。

特に紅白効果が感じられるのが、ビルボードジャパンが2025年度に立ち上げたHot Shot Songsチャートではないでしょうか。上記ポストのリンク先から確認可能な20位までにおいて紅白で披露されたのが15曲、実に4分の3を占めています。紅白が音楽業界にとって如何に重要なコンテンツかが、ここからよく分かるはずです。

(なお紅白のパフォーマンス映像は、一部フルバージョンを含めNHK MUSIC公式YouTubeアカウントにて昨日まで公開されていましたが、このアカウント発の動画はビルボードジャパンソングチャートにおける動画再生指標の加算対象にはなりません。この点については(追記あり) NHKのYouTubeチャンネル公開動画が米津玄師公式チャンネルでも…この動向を注目する理由(2024年9月26日付)等で紹介しています。)

 

1月8日公開分のビルボードジャパンソングチャートでは紅白に出場したMrs. GREEN APPLEの勢いが際立っています。昨日付エントリーで紹介したSpotifyのみならず他のサブスクサービスでも強さを発揮し、総合ソングチャートでも大きく上昇しています。

ストリーミングは大晦日から3が日にかけてが特に低く、成人の日以降にようやく再生回数が戻るというのがここ数年の傾向です。それを踏まえれば、年末年始を集計期間とする1月8日公開分ソングチャートにてポイント前週超えを達成すること自体が凄いことなのですが、Mrs. GREEN APPLEにおいては先述したストリーミング表掲載分において、最新曲「ビターバカンス」を除きいずれもポイントを伸ばしています。

ビルボードジャパンソングチャートにおいてはストリーミング指標のシェアが最も大きくなりますが、この指標の基となるStreaming Songsチャートでは最新1月8日公開分にてMrs. GREEN APPLEのランクイン数が15→20曲と増加しています。

紅白のみならずその前後も含めた地上波長時間音楽特番の最多出演(この点については2024年年末の地上波長時間音楽特番から、出演歌手傾向およびテレビの動向を読む (最終版)(1月2日付)で紹介しています)、また集計期間最終日に放送された『さんま・玉緒のお年玉!あんたの夢をかなえたろか30周年SP』(TBS)に出演したことも影響しているといえるでしょう。

 

ビルボードジャパンは本日、1月2日公開分(集計期間:2024年12月23~29日)および1月9日公開分(集計期間:2024年12月30日~2025年1月5日)のアルバムチャートを発表します。ストリーミング指標が初めて導入された昨年12月26日公開分にてチャートが大きく変わったことを下記エントリーで紹介していますが、このアルバムチャートで2023年リリースのMrs. GREEN APPLE『ANTENNA』が首位を獲得する可能性は十分でしょう。

加えて次回、1月15日公開分(集計期間:1月6~12日)ではMrs. GREEN APPLEの存在感がより高まると考えます。バラエティ番組出演の反響(見逃し配信に伴う高まりを含む)に加えて、以下の番組も波及するとみられます。音楽番組のレギュラー放送再開がまだ十分ではない中、年明けも露出の多いMrs. GREEN APPLEがソングやアルバムチャートのみならず、両者を合算したトップアーティストチャートで盤石の地位を築くはずです。

 

おわりに

重要なのは、紅白に代表される年末の地上波長時間音楽特番の勢いがどこまで持続するか、またトップアーティストチャートにてどこまで存在感を高められるかを注視することです。

元日付エントリーにて2025年の注目ポイントを紹介し、ひとつ目に『Mrs. GREEN APPLEのライバルは現れるか』と記しましたが、中長期的にMrs. GREEN APPLE超えを果たす歌手の登場は厳しくなったのではと回答できるくらい、Mrs. GREEN APPLEはさらなる高みに昇ったという印象です。

 

一方で、今回紹介した2週分のソングチャートからは、主に接触環境が不十分だったために音楽チャートでさらなる上位に至る機会を逸した作品や歌手が複数確認できます。そのような機会損失が今後生まれないよう、早急な改善を願うばかりです。昨日このようなポストを発信していますが、この点についてはブログエントリーの形にて明日以降解説します。