イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

前週トップ10初登場曲の最新動向と、歌手別チャートからみえてくるXGのコアファン増加について

昨年夏以降再開したこのエントリーですが、先週よりタイトルを”前週トップ10初登場曲の最新動向”に変更した上で、副題を新たに設けています。前週の内容はこちら。

 

ビルボードジャパンソングチャートの動向を分析する者として、真の社会的ヒット曲とはロングヒットする、年間チャートで上位に進出する作品と考えます。週間単位で上位に入るのは好いことですが、他方で所有指標が極度に強い曲は加算2週目に、また接触指標が所有指標的な動きをなぞる曲(主にLINE MUSIC再生キャンペーン採用曲)はキャンペーン終了後に指標が大きく後退し、総合でも急落することが少なくありません。

この急落は毎週のようにみられます。ソングチャートのトップ10は多いときで5曲程度が毎週入れ替わり、ロングヒットするか否かが極端に分かれる状況です。主にライト層の支持が反映されるストリーミング指標がロングヒット曲では強い一方、急落する曲はコアファンとライト層との乖離が大きいのですが、これらを1週分のチャートの順位およびポイントのみで判断することは、現状では難しい状況です。

そのため、このブログエントリーではビルボードジャパンに対しチャートポリシー(集計方法)の改善も提案していますが、あくまで自分なりのと前置きしつつもチャートの見方を提示したいと考えたのがエントリー掲載の理由です。

 

<2025年5月28日公開分 ビルボードジャパンソングチャート

 前週初めてトップ10入りした作品の、前週および当週におけるCHART insight>

 

※CHART insightの説明

 

[色について]

黄:フィジカルセールス

紫:ダウンロード

青:ストリーミング

黄緑:ラジオ

赤:動画再生

緑:カラオケ

濃いオレンジ:UGC (ユーザー生成コンテンツ)

 (Top User Generated Songsチャートにおける獲得ポイントであり、ソングチャートには含まれません。)

ピンク:ハイブリッド指標

 (BUZZ、CONTACTおよびSALESから選択可能です。)

 

[表示範囲について]

総合順位、および構成指標等において20位まで表示

 

[チャート構成比について]

累計における指標毎のポイント構成

 

・FRUITS ZIPPER「KawaiiってMagic」

 5月21日公開分 1位→5月28日公開分 100位未満

 

XG「MILLION PLACES」

 5月21日公開分 6位→5月28日公開分 30位

 

当週のストリーミング表はこちら。

 

FRUITS ZIPPER「KawaiiってMagic」、およびXG「MILLION PLACES」は共にフィジカルセールス初加算に伴い前週トップ10入りした一方、ストリーミング加算の有無が翌週の順位に影響を与えています。そしてこの動向は、ソングチャートとアルバムチャートを合算したトップアーティストチャートにも反映されています。

上記はビルボードジャパントップアーティストチャートにおけるFRUITS ZIPPERおよびXGの、有料会員が確認可能なCHART insight。総合チャートおよび構成指標における20位未満の順位はCHART insight有料会員のみが確認できますが、ビルボードジャパンでは有料会員のみ知り得る情報の掲載を可能としています。

 

FRUITS ZIPPERは「KawaiiってMagic」のフィジカルセールス指標加算2週目において総合トップアーティストチャート11→41位に後退。ストリーミングは35→36位と横ばいですが、ともすれば今作のフィジカルリリースがストリーミングに影響を与えたとは言い難いといえるかもしれません。

他方、XGは「MILLION PLACES」のフィジカルセールス指標加算2週目に総合13→22位と推移し、下落幅はFRUITS ZIPPERほど大きくありません。そしてストリーミングは24→20位となり、この指標で最高位を更新しています。ツアーそしてコーチェラ・フェスティバル出演を成功に導き、コーチェラおよび東京ドーム公演の双方でYouTube生配信が行われたことも、アーティストパワーの着実な上昇につながったと考えます。

(なおXGは5月28日放送の『報道ステーション』(テレビ朝日)に出演し、その模様がテレビ朝日関連の公式YouTubeチャンネルにて公開されています。コーチェラ・フェスティバルや東京ドーム公演をはじめとするワールドツアーについても紹介されています。)

 

アーティストパワーの上昇は、フィジカルセールスの動向からも読み取れます。先ほどのCHART insightは直近60週分を表示していますが、この間にリリースされたのはミニアルバム『AWE』(2024年11月)、シングルの「WOKE UP」(2024年5月)および今回の「MILLION PLACES」のみ。一方でフィジカルセールス指標は特に今年に入って以降、波はあるものの幾度となく100位以内にランクインしています。

ストリーミング時代にあっては所有行動、特にフィジカルの購入がコアファン化のひとつの証明といえます。XGにおけるフィジカルセールスの好調は、コアファンの増加を示すに十分ではないでしょうか。

 

さて、XGは昨日、『CDTVライブ!ライブ!』(TBS)5月19日放送回で披露した「MILLION PLACES」および「IS THIS LOVE」のパフォーマンス映像をXG側の公式YouTubeチャンネルで公開しています。

(XGの公式YouTubeチャンネル、動画一覧はこちら。共に6月27日金曜17時59分までの期間限定公開につき、公開された旨を示す意味でキャプチャにて掲載しています。)

XG側がこのタイミングでテレビ局側から映像を拝借するという施策の実行は、ライト層増大の手応えを感じていること、および彼らをコアファンへ昇華させんとする姿勢の表れではないでしょうか。その流れを強化できれば、最新曲「MILLION PLACES」も含む作品のロングヒット化につなげることができるかもしれません。