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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

BE:FIRST × ATEEZ「Hush-Hush」がビルボードジャパンソングチャート制覇、強さの理由と今後の注目点

最新7月10日公開分(集計期間:7月1~7日)のビルボードジャパンソングチャートでは、BE:FIRST × ATEEZ「Hush-Hush」が首位初登場を果たしています。

本作は、BE:FIRSTとATEEZによるコラボ曲。ダウンロード(DL)とラジオで首位、動画3位、ストリーミング12位で本チャートを制した。なお初週DL数は25,719DLで、BE:FIRSTが今年リリースした他の配信シングルと比べて約5,000DL増加。また本作をリリースした影響かBE:FIRST「Masterplan」の動画再生数が前週より6%増えたほか(Hot100では100位圏外)、今週のダウンロードチャートでは「Hush-Hush -☆Taku Takahashi (m-flo) remix-」が14位、「Hush-Hush -Instrumental-」が24位を獲得した。

 

BE:FIRST × ATEEZ「Hush-Hush」は配信シングルとして、BE:FIRSTの作品の中で今年最大のダウンロード数を記録(フィジカル/デジタル同週リリースとなった「Masterplan」は初週35,174DLを売り上げています)。そして「Hush-Hush」は「Masterplan」に続きラジオ指標を制しています。この指標の基となる、プランテックによる全国31局のOAチャートは下記に。

7月1日の配信リリースと同時にオンエアが開始されると、今週一週間を通じて調査対象の77.4%となるステーションでオンエアを獲得。帯放送のコーナー/番組など定期枠を中心に大量のオンエアを積み上げ、初登場首位を成した。

ラジオは特に男性アイドルやダンスボーカルグループが強のですが(前週までの動向はビルボードジャパンソングチャート、最新週におけるラジオ指標の傾向から感じたことについて(7月8日付)に掲載)、BE:FIRSTはビルボードジャパンソングチャートを制した「Gifted」「Bye-Good-Bye」「Scream」「Boom Boom Back」「Mainstream」「Masterplan」そして「Hush-Hush」のうち、「Scream」を除き総合首位獲得週にラジオ指標も制覇(「Scream」は同指標最高2位)。定期枠等OAの重要性が見て取れます。

 

BE:FIRSTによるビルボードジャパンソングチャート制覇7作品うち、「Scream」「Boom Boom Back」および今作「Hush-Hush」はデジタルのみでのリリース。フィジカルセールス指標未加算ながら初動が大きい状況は、初週のポイント最大化を目指す歌手側の施策、コアファンのチャート意識の高さ、そして相互の強固な関係性(支え合い)も大きく影響しているといえるでしょう。

 

 

一方で、次週の動向を注視する必要があると考えます。

BE:FIRST × ATEEZ「Hush-Hush」はBE:FIRSTのセカンドアルバム『2:BE』からの先行リリースであり、『BE:1』(2022)における「Scream」と似た位置付けといえます。その「Scream」はデジタル加算2週目(2022年8月10日公開分)にビルボードジャパンソングチャートで首位から15位に後退。デジタルのみのリリース曲で首位獲得の翌週にトップ10圏外となるのは、2022年度以降では「Scream」のみという状況です。

「Masterplan」の首位獲得時、ブログにて『BE:FIRST側はビルボードジャパンソングチャートをより重視し、同チャートでのいわば必勝パターンを身に着けた』と記しました(【ビルボードジャパン最新動向】BE:FIRST「Masterplan」、首位初登場の要因と今後注視すべき点(5月2日付)より)。ただこれは週間単位における形容であり、ロングヒットするにはライト層を惹きつけることが重要です。このことはブログで紹介しています。

 

ライト層の支持が大きく反映されるのはストリーミング指標であり、BE:FIRST × ATEEZ「Hush-Hush」は当週この指標で12位を記録しています。一方、主要サブスクサービスの順位はApple Music(集計期間はビルボードジャパンソングチャートと同一)で100位未満、Spotify(集計期間は7月4日まで)で146位の一方、LINE MUSIC(集計期間は7月9日まで)では首位となり、大きな乖離が生まれています。

LINE MUSICは若年層の利用者が多いゆえこの乖離を自然と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、LINE MUSICにおける10代のトレンドランキングは総合ソングチャートに近い形です(5月分はLINE MUSIC5月の月間ランキングを他サービスやビルボードジャパンのチャートと比較する(6月11日付)にて掲載、6月分は下記ポスト参照)。トレンドランキングが10代ユーザーの再生回数とイコールではないだろうものの(記事等ではトレンドランキングの概要は未掲載)、しかしロングヒット曲の上位進出が目立っています。

 

週間チャートの上位進出やそのインパクトも重要であり、その記録が歌手としての地位を高め、ライト層に歌手の人気を浸透させることもできるでしょう。一方でBE:FIRSTはビルボードジャパンのトップアーティストチャート(ソングおよびアルバムチャートを合算したもの)にて当週は100位圏外となっています(前週は96位)。人気のさらなる浸透にはヒットの継続がより重要ではないかというのが私見です。

(なお最新7月10日公開分のビルボードジャパントップアーティストチャートでは"BE:FIRST × ATEEZ"名義として9位に初登場を果たしています。ただ米ビルボードによるArtist 100ではコラボ名義ではなく歌手別でランクインする形であり(チャートはこちら)、ビルボードジャパンも同様の形を採る必要があると考えます。)

 

 

最後に。BE:FIRST × ATEEZ「Hush-Hush」については、米ビルボードによる次週7月20日付グローバルチャート(Global 200、およびGlobal 200から米の分を除くGlobal Excl. U.S.)にランクインするかに注目です。このチャートは日本時間の7月16日火曜に発表される予定です。

冒頭で紹介したビルボードジャパンの記事にもあるように、「Hush-Hush」の☆Taku Takahashiさん(m-flo)によるリミックス版がダウンロード指標14位、インストゥルメンタル版が同24位に入っています。この2バージョンは7月5日金曜リリース、すなわち次週7月20日付グローバルチャートの集計期間初日に当たります。そしてグローバルチャートにおいては、様々なバージョンが合算されます。

グローバルチャート紹介の際、日本の楽曲はダウンロード指標の高さに伴いランクインする傾向もあると記しました。一方このチャートではLINE MUSICがストリーミング指標の調査対象に含まれておらず、「Hush-Hush」はグローバルチャートランクインの可能性があるとしても難しいかもしれないというのが私見です。

 

なおこのブログではビルボードジャパンに対し、チャートポリシー(集計方法)をグローバルチャートに沿わせる必要性を提案しています。ビルボードジャパンは日本の楽曲の海外進出を支えることも目的として、Global 200をベースとしたGlobal Japan Songs Excl. Japanを開始しています。しかし集計期間開始曜日、また合算の有無において米ビルボードによるグローバルチャートとはチャートポリシーが異なります。

「Hush-Hush」はオリジナル版をビルボードジャパンの集計初日に当たる月曜、リミックス等をグローバルチャートの初日である金曜にリリースするという、日本/海外双方で(言い方は悪いのですが)どっちつかずなスケジュール施策を用意していました。チャートポリシーの相違ゆえそうせざるを得なかったと思われますが、ビルボードジャパンが日本の楽曲の海外進出を推すならばチャートポリシーの変更議論は必須と考えます。