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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

"日本はヒップホップが伸びる"…その可能性が高まっていると感じる2024年の変化について

日本時間の昨日発表された最新7月13日付米ビルボードソングチャートにて、ミーガン・ザ・スタリオン feat. 千葉雄喜「Mamushi」が68位に初登場。千葉雄喜さんはこのチャートでキャリア初の100位以内エントリーを果たしています。

記事によるとミーガン・ザ・スタリオン feat. 千葉雄喜「Mamushi」は最新の米ビルボードソングチャートにてストリーミング730万、ダウンロード1,000を記録。また米ビルボードによるホットラップソングチャートで18位、ホットR&B/ヒップホップソングチャートで21位に初登場を果たしています。記事では千葉さんのバイオグラフィー、ならびに「Mamushi」にて日本語が披露されていることも、簡単ながら紹介されています。

「Mamushi」の歌詞はこちら。

今回のエントリーは収録アルバム『Megan』の初登場に伴うものですが、リリース以降もSpotifyの順位を伸ばしていること、また次週は強力な初登場曲が多くないだろう状況を踏まえるに、次週も100位以内に滞在する可能性は十分考えられます。またアルバムの次のシングルとしてリリースされる可能性も出てきたと捉えています。最新7月8日付Spotifyデイリーチャートにおける「Mamushi」の動向は以下のポストで確認できます。

 

「Mamushi」のリリース、そして米ソングチャート初登場という結果から思い出したのがTuneCoreを傘下に持つBelieve社、グローバルミュージックヘッド兼ヨーロッパ社長であるロマン・ヴィヴィアンさんの発言でした。この春のインタビューにてロマンさんは、日本はヒップホップが伸びると明言されているのです。

実際、ヒップホップが日本で今年躍進していると感じています。

 

 

日本におけるヒップホップの躍進、そのひとつはなんといってもCreepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」の大ヒットではないでしょうか。

ビルボードジャパンをはじめ複合指標から成るソングチャートで今年度上半期を制した「Bling-Bang-Bang-Born」は、アニメタイアップの枠を超えて広く浸透しています。子どもが口ずさむということを社会的ヒット曲のひとつの証明と考えるならば、この曲はまさに日本の老若男女にヒップホップを普及させた立役者といえるでしょう。

 

2つ目は冒頭でお伝えした「Mamushi」の原点といえる、千葉雄喜「チーム友達」のバズ発生です。

TikTokSNSのバズはビルボードジャパン等の複合指標から成るソングチャートでは上位進出が難しいのですが(ゆえにビルボードジャパンが検討を示唆したショート動画の組入れについては早急に結論を出す必要があると考えます)、様々なメディアが実施する上半期流行ランキングに「チーム友達」が登場しています。

「Mamushi」は「チーム友達」と同じくKoshyさんが手掛けていることから、「チーム友達」の存在が「Mamushi」にとって欠かせない、きっかけになった作品であることが音楽ライターの渡辺志保さんによるラジオでの発言からも想起できます。

 

3つ目は、「Mamushi」でもみられる日本語の採り入れ方について。

たとえばNewJeansの日本デビュー曲である「Supernatural」は、従来K-POP歌手が日本向けに用意する曲とは大きく異なる英語、韓国語そして日本語のトライリンガル作品であり、各々の言語がシームレスにつながっています。「Mamushi」、またミーガン・ザ・スタリオン単独の「Otaku Hot Girl」(歌詞はこちら)もまた日本語が組み入れられており、この傾向は近年目立っています。「Supernatural」の歌詞は下記に。

"日本はヒップホップが伸びる"ということが必ずしも日本人歌手による作品に限らないと考えれば、日本進出したり日本のカルチャーに精通する歌手が日本語を採り入れた作品をリリースし、日本でも人気となる可能性は今後高まるかもしれません。

 

そして4つ目は、アイドルやダンスボーカルグループにおけるヒップホップアプローチの増加、そしてヒットの拡大です。

メンバーにラップ担当を含むグループは増えており、ジャンル自体はヒップホップでないとしてもラップへの親和性は若年層を主体に高まっているといえるでしょう。そして今年、Number_iによる「GOAT」がビルボードジャパンソングチャートで週間1位/上半期11位、同じく「BON」が週間2位を記録。ヒップホップにより深くアプローチした曲が上位に進出しています。

7月6日放送の『THE MUSIC DAY』(日本テレビ)では"世界的ラップソングトリビュートコラボメドレー"が披露。マルチに活躍するSixTONESの田中樹さん、また朝ドラ『虎に翼』(NHK総合ほか)に出演するBE:FIRSTのRYOKIさんによるラップを初めて見た方もいらっしゃるでしょう。さらに櫻井翔さんもパフォーマンスに参加し(今年の番組テーマである"サプライズ"の最たるものでしょう)、大きなインパクトに成ったと感じています。

 

 

ヒップホップジャンルのヒットのみならず、ポップジャンルにラップを採り入れその曲がヒットすること、ヒップホップジャンルにおいてもポップ的なアプローチが施されること、そしてお茶の間で人気の方がラップを披露すること…これらがいずれも2024年に起きており、そして「Mamushi」のヒットも踏まえれば、ロマン・ヴィヴィアンさんが仰っていた"日本はヒップホップが伸びる"という可能性の示唆に納得した次第です。

 

一方で、ヒップホップジャンルのファンでポップジャンルの歩み寄りを好まない方、逆にアイドルやダンスボーカルグループのファンでドープなヒップホップへのアプローチに違和感を覚える方も、ともすればいらっしゃるかもしれません。ただ、今回採り上げた千葉雄喜さんそしてNumber_iは共に10月開催の『WIRED MUSIC FESTIVAL'24』に登場することから、歌手側においてはそのような隔たりが小さいものと思われます。

ヒップホップの中にも様々なジャンルがあり、ラップスタイルもトラックも多様と考えるのが好いでしょう。

 

 

最後に。今後日本でヒップホップ人気をさらに育てるためには、たとえばミーガン・ザ・スタリオン feat. 千葉雄喜「Mamushi」のヒットが日本でも紹介され同曲が逆輸入的にヒットすることが必要と考えます。その紹介もさることながら、先述したようにビルボードジャパンのソングチャートがTikTokSNS等でのバズ曲をより反映したものになることもまた必要です。