イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

LINE MUSIC5月の月間ランキングを他サービスやビルボードジャパンのチャートと比較する

このブログでは春以降、主要サブスクサービスにおけるソングチャートの順位をビルボードジャパンのストリーミング指標(その基となるStreaming Songsチャート)のそれと比較した表を作成し、掲載しています。

その主要サブスクサービスのうち、LINE MUSICにおいては月間ランキングが発表されます。今回は、昨日発表された5月の総合および10代トレンドランキングにおけるトップ10を紹介します。

(※ 画像はリンク先より引用しました。問題があれば削除いたします。)

 

LINE MUSICはApple MusicやSpotifyに比べて若年層の比率が高い模様です。加えて、一定以上の再生回数を超えるとプレミア度の高いプレゼントが抽選でもしくは全員に当たるLINE MUSIC再生キャンペーンが行われるため、(そのキャンペーンを採用した曲は以前ほどではない印象ですが)プレゼントを希望するアイドルやダンスボーカルグループのコアファンが多く加入しているものとみられます。

LINE MUSIC再生キャンペーン採用曲は開始当初に再生回数が大きく上昇し、大ヒット曲から首位の座を奪取することもありますが、再生回数ハードルをクリアした方から抜けるためにキャンペーン後半には順位を落とし、終了後には大きくダウンする傾向です。またキャンペーンの開催有無に関係なく、音楽チャートの重要性を熟知するコアファンの多い歌手の作品が上位に登場することも目立ち始めています。なおLINE MUSIC5月のトップ10作品のうち「Mania」「CyberHelix」はキャンペーンを採用しています。

 

一方で、10代トレンドを示すランキングはビルボードジャパンのストリーミング指標(その基となるStreaming Songsチャート)に近い順位となります。興味深いのは、乃紫「初恋キラー」やDa-iCE「I wonder」のトレンドランキングトップ10入り。ビルボードジャパンソングチャートではヒットの兆しをみせていた曲であり(下記エントリー参照)、ランキングが若年層の流行をいち早く示していることの証明といえるでしょう。

 

では、LINE MUSICと主要サブスクサービス(Apple MusicおよびSpotify)、そしてビルボードジャパンによるストリーミング指標(の基となるStreaming Songsチャート)および総合ソングチャートの動向はどうだったでしょう。LINE MUSICにおける5月の動向が反映された5週分の表を以下に掲載します。なおこちらの表はこれまでブログエントリーにて掲載したものを基に、総合ソングチャートのポイントやその推移を割愛しています。

先ほど再生キャンペーンを採用していると紹介した2曲は、他のサブスクサービスとの差が大きい状況です。つまり、LINE MUSICでも他のサブスクサービスでも強いかどうかが、総合ソングチャートでヒットし、またロングヒットに至るかのを見極めるポイントだということが解るはずです。なおロングヒット曲において、ビルボードジャパンソングチャートの週間獲得ポイントに占めるストリーミングの割合は過半数に達します。

 

再生キャンペーンはコアファンの高い熱量を取り込む一方で、曲は気になるが歌手のファンというわけではないライト層にはリーチが難しく乖離が生じていること、そして10代のトレンドをみれば若年層を取り込めるわけではないことも解るでしょう。ビルボードジャパンソングチャートでのヒットは歌手がより長く活動できることの支えに成るものと考えれば、キャンペーンに頼らない形でのヒットの輩出が重要となります。