10月14日、ディアンジェロが亡くなりました。その訃報を踏まえ、自分が担当するラジオ番組『imaoto on the Radio』(NFRS RADIO 10月18日放送回)では彼の作品、そして彼のパートナーでもあり今年春に亡くなったアンジー・ストーンの曲も紹介しています。
日本で訃報が飛び込んだ10月15日水曜には『MIDDAY LOUNGE』(J-WAVE 月-木曜13時30分)にて冒頭と最後にディアンジェロの曲がオンエア。音楽特集以外で同じ歌手の曲が複数流れるのは珍しいことです。
主要部門の受賞はないながら、グラミー賞に4度輝いたディアンジェロ。ネオソウル(この言葉での形容を本人は嫌がっていたとのこと)の立役者にしてR&Bのゲームチェンジャーと呼べる彼の死を多くのラジオ局は流した…そう思いたいのですが、しかし流れなかったところがあると知り、驚いています。
名古屋ZIP-FMでは10月15日、ディアンジェロの曲がオンエアされなかったようです。
— Kei (ブログ【イマオト】/ポッドキャスト/ラジオ『imaoto on the Radio』) (@Kei_radio) 2025年10月15日
オンエア曲リストから日付指定し、(その不在を)確認可能です。https://t.co/MKo4mBX4sY
先述したJ-WAVEと同じJFL(JAPAN FM LEAGUE)に加盟する東海地方のZIP-FMではディアンジェロの曲がオンエアされていません(同局の楽曲検索は1日の区切りが0時である一方でradikoでは午前5時(29時)であり、上記ポスト内リンク先にて10月15日のみならず翌16日も確認したのですが履歴はありませんでした)。同系列のFM NORTH WAVE(北海道)では特集が組まれていることもあり尚の事、オンエアゼロという状況に驚いた次第です。
Jazadocumentが19時までお届け 🎵
— GLOW CROSS from north (@glowcross_north) 2025年10月15日
radiko♬ https://t.co/67RcOuhWTE
➡17時台 GLOW SESSION
衝撃のデビューから30年…R.I.P.
本日訃報が届いた #ディアンジェロ(D'Angelo)を特集!
是非お聞きください#ノースウェーブ #glowcross#RIP pic.twitter.com/y5yX0fRv5Y
グラミー賞では「Really Love」(『Black Messiah』(2014)収録)が最優秀レコード賞にノミネート。チャート面では『Voodoo』(2000)が米ビルボードアルバムチャートを制したほか、『Brown Sugar』(1995)収録の「Lady」は米ソングチャートで10位を記録しています。オリジナルアルバムは僅か3枚ながらそのすべてが高く評価され、且つR&Bの潮流を変えた方ならば尚の事、日本でもラジオで流れてよかったのではというのが私見です。
さて、今月のラジオにおいては他にも気になる動きが出ています。

(上記CHART insightは有料会員が確認可能なもので、20位未満の指標順位も明示されています。なおビルボードジャパンでは有料会員が知り得る情報の掲載を許可しています。)
最新10月15日公開分のビルボードジャパンソングチャートでは宇多田ヒカル「Mine or Yours」が総合100位未満ながら複数の指標が300位以内に入り、総合チャートで復活を果たしています。特にラジオ(CHART insightでは黄緑で表示)は18位に入っているのですが、5月リリースのこの曲がこのタイミングにて再浮上したのは、同曲のリミックスが集計期間初日に登場したことが影響したものと考えられます。
しかしビルボードジャパンでは、リミックス等バージョンの異なるものは言語のみの違いを除き基本的に合算されません。”基本的に”と述べたのは、動画再生指標においてはオリジナルバージョンと同じISRC(国際標準レコーディングコード)が別バージョンにも付番されていれば合算されるゆえです。この曖昧さを踏まえ、また日本の音楽が海外進出を狙うならば尚の事、海外チャートに倣い合算を基本とすべきと提案しています。
宇多田ヒカルさんの楽曲では以前にも、ベストアルバム『SCIENCE FICTION』とオリジナル版とでバージョンが異なりながら合算されるという事態が発生していました。ともすればラジオ局側がオンエア曲を登録する際、リミックス等別バージョンである旨を載せなかったことが背景にあるのかもしれません。仮に事務作業の煩雑さが要因だとして、ビルボードジャパンが合算を基本とする形に変更すれば事態は改善するはずです。
無論、リミックスが登場した10月6日以降に「Mine or Yours」がオリジナルバージョンばかり流れた可能性はゼロではありませんが、しかし自然ではないでしょう。そしてラジオにてリミックスが流れたとして、しかしそのバージョンがオンエア曲として掲載されないことはリミキサーに対し失礼ではないでしょうか。
ディアンジェロの訃報に対しその日彼の曲を流さなかったラジオ局があることも含め、ラジオ局側の”音楽への愛情”に対し違和感を抱いています。