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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

米津玄師「IRIS OUT」のカラオケ制覇、そのアナウンスから考えるオリコンとビルボードジャパンとの差

オリコンは先週、米津玄師「IRIS OUT」のカラオケに関する記録を記事化しています。

オリコンにおける2025年度の週間カラオケランキングにて、この年度にリリースされた作品として初めて「IRIS OUT」が制しています。実はこの記録、ビルボードジャパンソングチャートのカラオケ指標でも同様です。

上記は2025年度(2024年11月25日以降)のビルボードジャパンソングチャート、カラオケ指標における週間上位20曲の推移を示す表。ビルボードジャパンにおける今年度はオリコンより2週早くスタートしていますが、DAMおよびJOYSOUNDのデータに基づくこの指標ではVaundy「怪獣の花唄」、back number「クリスマスソング」そしてMrs. GREEN APPLEライラック」に続き、米津玄師「IRIS OUT」が4曲目の首位獲得となります。

 

米津玄師「IRIS OUT」ではDAMJOYSOUNDの双方にてキャンペーンを展開。楽曲自体の圧倒的な勢いとキャンペーンとが相まって、独特の性質を持つカラオケチャートで今年度リリース曲として初制覇に至ったと捉えています。

またカラオケについては、開催中のキャンペーンも影響したと捉えていいでしょう。

キャンペーン効果はあるにせよ、元来カラオケ指標は『ヒット曲でも上位に進出することが難しく、またリリースから間もなくトップ10入りすることもほぼない』のが特徴。『』内はビルボードジャパンで米津玄師「IRIS OUT」が3連覇…接触のみならず”活用”も人気を支えていることについて(10月9日付)にて記したものですが、そのエントリーでは「IRIS OUT」のカラオケ指標における顕著な伸びについて紹介しています。

 

 

 

さて、今回のオリコンの記事は”巧い”というのが率直な感想です。オリコンの記事はYahoo! JAPANでも転載されるのですが、そのYahoo! JAPANで”オリコン週間カラオケランキング”と検索すると、毎週記事化されているわけではないということが解ります。

(10月19日5時07分現在における「オリコン週間カラオケランキング」の検索結果 - Yahoo!ニュースより。)

この点から、米津玄師「IRIS OUT」の記録について様々な角度から光を当てる、記事化することで楽曲の勢いを示す、そしてそれらにより自身(および自身のランキング)の注目度や信頼度を高めんとするオリコンの巧さを感じます。さらには今回の記事が各種ランキング記事同様に午前4時の発信となっていることで、4時にチェックしようという動機付けにも成ることでしょう。

 

他方、ビルボードジャパンによる最新10月15日公開分のソングチャートは記事が夕方に発信されること自体は通常ながら、今回はその発信が通常より1時間程度遅れています。これは当週における遅延の発生(Xによる案内はこちら)もさることながら、同日に過去分のチャート訂正が行われたことも影響していると思われます。後者についてはビルボードジャパンに問い合わせしましたが、納得できる回答は得られませんでした。

 

 

チャートの”魅せ方”のみならず、発表時間の徹底、そして訂正の有無やその訂正におけるアナウンスの有無が、チャートの信頼度に大きく関わると考えます。その点において、最新チャートではオリコンビルボードジャパンとの差がはっきり示されたのではないでしょうか。