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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

【ビルボードジャパン最新動向】「Subtitle」が強い最新ソングチャートにて、クリスマス曲の特筆すべき点と課題をみる

毎週木曜以降は最新のビルボードジャパン各種チャートについてお伝えします。

12月19~25日を集計期間とする最新12月28日公開分のビルボードジャパンソングチャート、Official髭男dism「Subtitle」が4週連続、通算8週目の首位を獲得しました。

Official髭男dism「Subtitle」のポイント前週比は108.0%。主題歌となったドラマ『silent』(フジテレビ)の最終回放送も伴い、『前週15,910DLから19,013DLへと増加してダウンロード1位、前週17,468,383再生から当週17,913,433再生とこちらも増加してストリーミング1位の2冠を獲得』しています(ドラマのタイトルを除き、『』内は上記ツイート内記事より)。

(上記CHART insightにおいて、総合順位は黒で表示されます。また各指標はフィジカルセールスが黄色、ダウンロードが紫、ストリーミングが青、ラジオが黄緑、動画再生が赤、カラオケが緑で記されています。なおTwitter(水色)およびルックアップ(オレンジ)は2023年度初週に廃止されています。)

注目は構成指標の動向。2023年度に入ってから負け知らずの「Subtitle」ですが、加算対象となる5指標(フィジカルセールスを除く)においては4週続けてすべて10位以内に入っています。つまりはバランスが取れた隙のないヒット曲と言えるのです。

年末年始はストリーミング再生回数がダウンする傾向にありますが、それは他曲においても同様。Official髭男dismは『NHK紅白歌合戦』(12月31日 NHK総合ほか)で「Subtitle」を披露することから、さらなるロングヒットが期待できます。

 

 

Official髭男dism「Subtitle」はカラオケ指標でも5→3位に上昇しましたが、この指標を今回制したのがback number「クリスマスソング」(総合5位)。2019年度にカラオケ指標が開始して以降、「クリスマスソング」はこの指標で初の頂点に立ちました。

(上記CHART insightは最新12月28日公開分までの60週分となります。)

カラオケ指標ではクリスマス曲が20位以内に3作品登場しており、クリスマスを外で楽しんだ方が増えていることが実感できます。またback numberにおいては、新旧の作品群そして歌手自身にスポットを当てた施策が昨年以上の順位に到達する原動力になったものと考えます。

 

クリスマス曲の勢いは他にも。季節を彩る曲は特にラジオ指標で強い性質がありますが、そのラジオ指標においてはトップ10のうち9曲がクリスマス関連作品に(だからこそOfficial髭男dism「Subtitle」がこの指標で4位に入っていることも特筆すべきと言えます)。そしてこのラジオ指標を8年ぶりに制したのが山下達郎「クリスマス・イブ」(総合23位)でした。

(上記CHART insightは最新12月28日公開分までの60週分となります。)

注目は青で表示されるストリーミング指標で、前週の100位未満(300位圏内)から77位へ上昇しています。サブスクを解禁しないと宣言した山下達郎さんの曲がサブスク再生回数に基づくこの指標で上昇した理由は今週アップしたブログエントリーで記した通りであり、この結果を踏まえてストリーミングの全面解禁について考えていただきたいと切に願います。

 

ストリーミングの重要性は竹内まりや「すてきなホリデイ」でも実感できます。

最新12月28日公開分ビルボードジャパンソングチャートのラジオ指標で14位に入った「すてきなホリデイ」のチャート構成比をみると、そのラジオに次いでポイントを獲得したのがストリーミング。ストリーミング指標は100位未満(300位圏内)ゆえ、この指標が下位でもポイント獲得源として十分なものであることが解ります。

「すてきなホリデイ」が収録されたベストアルバム『Expressions』は2年前にサブスク解禁済。ともすればまだサブスク解禁していない印象が強いのかもしれませんが、たとえば日本のSpotifyデイリーチャートにおいては2020年のクリスマスイブにおいて200位圏外だったのが2021年には89位、2022年には25位に上昇しています。クリスマス曲はプレイリスト効果等に伴い、来年以降はさらなる伸びが期待できるでしょう。

竹内まりやさん側においては全音源の解禁もさることながら、サブスク解禁を前面に訴求することも重要です。そして公式動画があまりにも少ないため、YouTubeの徹底も必要と考えます。米ビルボードソングチャートでは往年のクリスマス曲が公式動画の制作に伴いさらに伸びたことを踏まえれば、日本でも動画の重要性が解るでしょう。3年前のブログエントリーで指摘した内容は、まさに今その通りとなっているのです。

この動き、日本でも真似出来るはずですよね。尤もそのためには過去の音源のストリーミング(サブスクリプションサービスおよびYouTube)解禁は必須。多くのユーザーがプレイリストに取り込めば取り込む程再生回数が増え、チャートを駆け上がっていくのです。

 

 

クリスマス曲の動向から、日本の音楽業界の背景が見えてきます。その中でback numberは、この数年で全サブスクサービスへの音源解禁やミュージックビデオのフルバージョン公開等デジタルへの意識が変わり、結果的に今年記録した「クリスマスソング」の週間順位はリリース年に次ぐ高いものとなっています。

課題を前向きに解決しようとするかどうかで、来年以降のクリスマス曲の動向は大きく変わるでしょう。そしてデジタルに強くなれば歌手の影響力もさらに増すはずです。