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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

【ビルボードジャパン最新動向】1月4日公開分ソングチャートは年末音楽特番の影響が色濃く反映

通常は毎週木曜に最新のビルボードジャパン各種チャートについてお伝えしますが、ビルボードジャパンの年末年始進行に伴い昨年12月26日~1月1日を集計期間とする最新1月4日公開分は昨日公開。それに合わせて、本日水曜に最新のソングチャートを紹介します。

 

最新1月4日公開分のビルボードジャパンソングチャートはOfficial髭男dism「Subtitle」が5週連続、通算9週目の首位を獲得しました。

星野源「恋」の通算11週に続き、Aimer「残響散歌」と並ぶ歴代2位タイの通算9週目となる首位を獲得したOfficial髭男dism「Subtitle」。指標構成はフィジカル未リリースにつき加算対象外となるフィジカルセールス指標を除き、ダウンロード、ストリーミングおよびラジオで1位、動画再生で2位、カラオケで3位となり、加算対象5指標がいずれも3位以内に入っています。

 

今回の集計期間は元日までであり、年末放送の音楽特番が大きく影響した形です。年末の音楽特番についてはこのブログでも、出演者傾向をまとめています。

ビルボードジャパンソングチャートの記事では、音楽特番はとりわけダウンロード指標に影響を与えたと記しています。そこで記事に登場するトップ10ランクイン曲について、総合ポイントおよび各指標の数値をみてみます。

総合1位 Official髭男dism「Subtitle」

 ポイント前週比 93.5%

 ダウンロード数前週比 107.6%

 ストリーミング再生回数前週比  88.0%

 

 総合3位 Ado「新時代 (ウタ from ONE PIECE FILM RED)」

 ポイント前週比 129.7%

 ダウンロード数前週比 184.3%

 ストリーミング再生回数前週比  115.9%

 

 総合4位 SEKAI NO OWARI「Habit」

 ポイント前週比 166.2%

 ダウンロード数前週比 315.8%

 ストリーミング再生回数前週比  不明 (前週トップ10圏外につき)

 

(上記はリリックビデオ。)

 総合7位 Tani Yuuki「W / X / Y」

 ポイント前週比 119.5%

 ダウンロード数前週比 166.2%

 ストリーミング再生回数前週比  106.9%

 

 

 総合8位 Mrs. GREEN APPLEダンスホール

 ポイント前週比 126.9%

 ダウンロード数前週比 151.4%

 ストリーミング再生回数前週比  112% (前週トップ10圏外につき小数点以下は不明。前週比は後述するStreaming Songsチャートの記事にて判明。)

 

ダウンロード指標はこちら。

ストリーミング再生回数はこちら。

(ただしストリーミングは有料会員による1回再生と無料会員のそれとで指標化の際にウエイトが異なるため、ストリーミング指標においては再生回数とで順位が変わることがあります。)

年末の音楽特番効果は披露曲にはっきりと表れているのみならず、総合ポイントの伸びに対してダウンロード数の伸びが大きいこと、ストリーミング再生回数は総合ポイントほど伸びていないことが解ります。テレビ効果はまずデジタルの所有指標に大きく反映されることはこのブログでも以前から紹介してきましたが、2022年から2023年にかけても同種の事象が続いていることが判ります。

いや、ストリーミング再生回数が総合ポイントの伸びほどには至っていないとは書きましたが、ストリーミング再生回数は元日に大きく下がっていることを踏まえれば健闘したと言っていいでしょう。この元日の動向については、arne代表の松島功さんも指摘されています。

この年末年始は新型コロナウイルスに関する行動制限がないと言われており、ゆえにこれまでの年に比べて元日の下がり幅が大きくなるのではと感じていましたが、2021年から2022年にかけてのグラフと比較すると(下記参照。ただし集計期間の長さは異なります)、今回の年末年始のほうが下落幅は小さいと言えるかもしれません。

 

また興味深いのはラジオ指標の動向。クリスマス曲が一掃されたこともありますが、Official髭男dism「Subtitle」は4→1位、「ミックスナッツ」(総合5位)は45→4位、Ado「新時代 (ウタ from ONE PIECE FILM RED)」は26→6位、SEKAI NO OWARI「Habit」は100位未満(300位圏内)→9位、Aimer「残響散歌」(総合15位)は76→18位に、それぞれ上昇しています。

これは年末にその年を振り返る傾向がみられるためであり、たとえば2022年の大ヒット映画『トップガン マーヴェリック』の主題歌であるレディー・ガガ「Hold My Hand」はラジオ指標で100位未満(300位圏内)→7位、ビヨンセ「Break My Soul」が同100位未満(300位圏内)→17位となっていることからも見て取れます。ラジオ指標はチャート構成比に占める割合は大きくないとして、しかし重要な役割を果たしています。

 

 

さて、年末年始にリリースされる作品は少ないことから、このタイミングでフィジカルセールスを獲得し総合トップ10入りを狙う歌手も見られますが、今回フィジカルセールスで6万枚を超えた2曲は総合トップ10入りを逃しています。

フィジカルセールス指標首位のボイメンエリア研究生「Sleeping Beauty」は総合11位、フィジカル2位のNGT48「渡り鳥たちの空は見えない」は総合12位に。共にフィジカルセールス指標以外を獲得できておらず、次週売上がキープできなければ総合チャートの急落は免れません。

ロングヒットには接触指標を中心としたデジタルの加点が欠かせないということは、前週12万枚以上のフィジカルセールスを武器に総合3位を獲得したモーニング娘。'22「Swing Swing Paradise」が当週100位未満(300位圏内)にダウンしたことが物語っています。例えば『NHK紅白歌合戦』はビルボードジャパンのソングチャートやトップアーティストチャート(Artist 100)を参考にしていることは明白であり、改善は必須です。

 

 

次週1月11日公開分(集計期間:1月2~8日)では、『NHK紅白歌合戦』(NHK総合ほか)の効果がよりはっきりと表れます。既に1月4日公開分にてVaundy「怪獣の花唄」が54→27位に上昇、藤井風「死ぬのがいいわ」は73位に再登場を果たしました。これら作品群の動向に注目しましょう。