最新11月1日付米ビルボードソングチャートではオリヴィア・ディーンそしてレオン・トーマスがキャリア初となるトップ10入りを果たしています(なおレオンにおいて、ソングライター/プロデューサーとしては4曲目となります)。
This week's top 10 on the #Hot100 (chart dated Nov. 1, 2025).
— billboard charts (@billboardcharts) 2025年10月27日
Details: https://t.co/93ZIA32BoL pic.twitter.com/m4rkqqyeoy
オリヴィア・ディーンおよびレオン・トーマスについては、以前このブログで採り上げています。
当週においてはテイラー・スウィフト『The Life Of A Showgirl』が登場3週目にあたり、収録曲のトップ10ヒットが10→8→4曲に減少。このこともオリヴィア・ディーン「Man I Need」やレオン・トーマス「Mutt」に有効に作用したことは間違いないのですが、2曲ともストリーミングおよびラジオが前週から伸びていることに注目。また2026年度初週にあたる前週、リカレントルールが強化されたことも有利に作用しています。
2組のキャリア初トップ10入りに特に大きく貢献したといえるのがラジオ。オリヴィア・ディーン「Man I Need」は前週比36%アップ、またレオン・トーマス「Mutt」は既に5970万のインプレッション数を獲得。テイラー・スウィフト「The Fate Of Ophelia」はこの指標が前週比17%アップの4940万(同指標5位)となっており、「Man I Need」は伸び率で、「Mutt」はインプレッション数で「The Fate Of Ophelia」に勝った形です。ここからはラジオ指標の重要性もみえてくるのではないでしょうか。
さて、最新11月1日付米ビルボードソングチャートのトップ10予想(→こちら)を的中させたXアカウントのTalk of the Chartsは、次週11月8日付ソングチャートの初期予想としてケラーニ「Folded」のトップ10入りを挙げています。
Early Billboard Hot 100 Predictions (chart dated November 8th, 2025) pic.twitter.com/s88Nhd6gLT
— Talk of the Charts (@talkofthecharts) 2025年10月27日
6月リリースの「Folded」は、既にケラーニにとって米ビルボードソングチャートにおけるキャリア最高位を更新。この曲については音楽評論家の林剛さんが次のように解説しています。
ケラーニの新曲“Folded”...切ないけどセクシャルでもあるラヴ・バラード。アンドレ・ハリス、クリス・リディック(ラスカルズ)、DK・ザ・パニッシャー、ドン・ミルズの制作で、ディクソンも共作。アッシャーの某曲などを思わせる既聴感の正体は? ストリングスも効果的 https://t.co/At56IUHSXX pic.twitter.com/aWpDisjsaO
— Tsuyoshi Hayashi/林 剛 (@hystys) 2025年6月12日
ケラーニの“Folded”...とにかく人気でイントロのストリングスにも注目が集まっているが、このイントロを聴くたびに日本のTVドラマで主人公が絶望するシーンを思い浮かべてしまう。ストリングスは、私調べだとジョニー・メイ(ビヨンセ、タイラー、SZAなど)https://t.co/Xuuk35Zahl
— Tsuyoshi Hayashi/林 剛 (@hystys) 2025年10月9日
そしてこの「Folded」では、新たな展開が行われたばかりです。
ケラーニ“Folded“のリミックス集...トニ・ブラクストン、ジョジョ、ブランディ、マリオ、Ne-Yo、タンクそれぞれとのヴァージョンをEPに。Y2K〜00年代なゲストの人選から、この曲のそもそもの狙いがわかります。で、ゲストによって曲の表情が変わるのが面白いhttps://t.co/lB68JOlHFi
— Tsuyoshi Hayashi/林 剛 (@hystys) 2025年10月24日
ケラーニ「Folded」のリミックス集は、ビルボードジャパンでも紹介されています。
ケラーニ、トニ・ブラクストン/ブランディ/ニーヨらが「Folded」を再構築 https://t.co/5Pn1fm5OGZ
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2025年10月27日
米ビルボードによる米やグローバルのソングチャートではオリジナルバージョンにリミックスが合算されるチャートポリシー(集計方法)を採用。「Folded」のリミックス集は次週11月8日付の集計期間初日となる10月24日にリリースされており、このこともケラーニにおけるキャリア初のトップ10入りに大きく貢献すると考えていいでしょう。なお、今回客演した6組はそれぞれ異なるアプローチで「Folded」に華を添えています。
ビルボードジャパンの記事では、7月末にリリースされたアコースティックバージョンの「(un)Folded」についても紹介されています。無論こちらもチャート施策の一環と呼べるものですが、余談ながら自分は毎月行う私的トップ10ソングス企画にて、このバージョンを(リリース翌月ながら)8月の首位に挙げています(2025年8月の私的トップ10ソングス、選びました(9月14日付)参照)。
リミックス(の多用)はチャート施策の一環ともいえますが、そのリミックスがたとえば曲の背景を深める等、音楽的な意義を持つならばきちんと支持されるものと考えます。そしてそのリミックスを介してオリジナルバージョンへの理解が深まる、もっといえばオリジナル版に気付くことができるならば好いのかもしれません。リミックス集登場を経て「Folded」がトップ10入りするか、注目です。