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【海外ビルボード】マライア・キャリー「恋人たちのクリスマス」、米でキャリア90週目となる首位獲得

現地時間の12月26日月曜が祝日のため翌27日火曜に発表された最新12月31日付米ビルボードソングスチャート(Hot 100)は、マライア・キャリー「All I Want For Christmas Is You (邦題:恋人たちのクリスマス)」が通算11週目の首位を獲得しました。

マライア・キャリー「All I Want For Christmas Is You」は元々1994年のクリスマスアルバム『Merry Christmas』に収録。ストリーミングが成長し、サブスクサービス等のプレイリストによってクリスマスソングが上昇しやすくなったことにより、同曲は2017年12月に初のトップ10入り、翌年に初のトップ5入りを果たすと、2019年にクリスマスシーズン以降3週、2週、3週首位を獲得。今シーズンは3週目の首位に立っています。

「All I Want For Christmas Is You」はストリーミングが前週比18%アップの4870万(同指標通算18週目の首位)、ラジオが同19%アップの3950万(同指標11位)、ダウンロードが同3%アップの11,000(同指標通算4週目の首位)を記録。ラジオは1994年のクリスマスシーズンに記録した12位を上回る同曲最高位を更新(15位以上は4シーズン連続)、またダウンロードは2005年、2019年(各1週)に続き今シーズン二度目の頂点に立っています。

今回の「All I Want For Christmas Is You」11週首位により、マライア・キャリーボーイズIIメンとの「One Sweet Day」(1995-1996 16週)、「We Belong Together」(2005 14週)に続き3曲目となる11週以上首位を達成。マライアはボーイズIIメン(「One Sweet Day」、「End Of The Road」(1992 13週)、「I'll Make Love To You」(1994 14週))、に次ぐ歴代2組目、女性では初となる記録を達成しました。

ビルボードソングチャート64年の歴史において首位を獲得した1144曲のうち11週以上の首位獲得曲は28曲目となり、「All I Want For Christmas Is You」はわずか2%の中に含まれます。先述した「One Sweet Day」はルイス・フォンシ & ダディー・ヤンキー feat. ジャスティン・ビーバー「Despacito」(2017)共々歴代2位タイとなる16週首位を記録、歴代最長はリル・ナズ・X feat. ビリー・レイ・サイラス「Old Town Road」(2019)の19週となります。

 

「All I Want For Christmas Is You」は初の首位獲得から最新の首位獲得までの最長スパンを更新しました(2019年12月21日付~2022年12月31日付)。さらにはマライア自身においても、キャリアにおける最初の首位獲得から最初の首位獲得までの最長スパンを更新しています(デビュー曲「Vision Of Love」にて1990年8月4日付で初の首位を記録、そこから今回までおよそ32年5ヶ月となります)。

今回の首位獲得により、マライア・キャリーは自身が持つ歴代最長首位獲得週数記録を更新し、史上初となる90週の大台に達しました。

<歴代首位獲得週数記録>

90週 マライア・キャリー

60週 リアーナ

59週 ザ・ビートルズ

54週 ドレイク

50週 ボーイズIIメン

47週 アッシャー

43週 ビヨンセ

37週 マイケル・ジャクソン

34週 アデル

34週 エルトン・ジョン

34週 ブルーノ・マーズ

「All I Want For Christmas Is You」はマライア・キャリーにとって19曲目の首位獲得曲であり、ソロ歌手では最多に。なお全体ではザ・ビートルズが最も多く、20曲を保有しています。またマライア・キャリーは1990年代以降4つのディケイドで首位を獲得しており、異なる4つのディケイドを制した初の歌手となります。

 

マライア・キャリー「All I Want For Christmas Is You」が通算11週目の首位を獲得したことで、自身が持つクリスマスソングにおける最長首位獲得記録を更新。なお米ビルボードソングチャートを制したクリスマスソングは「All I Want For Christmas Is You」およびデヴィッド・セヴィル & ザ・チップマンクス「The Chipmunk Song」(1958年12月以降4週)のみとなります。

「All I Want For Christmas Is You」はクリスマスソングチャート(Holiday 100)が2011年のシーズンに発足して以降今週までの61週のうち、56週において首位を獲得。さらに2015年のシーズン以降は41週連続でその座をキープしています。クリスマスソングによるGreatest Of All Time Holiday 100 Songsチャートでも首位に立っています。

 

ブレンダ・リー「Rockin' Around The Christmas Tree」(1958年リリース)が2位をキープ。2位獲得は2019年12月に初めて到達して以降、通算8週目となります。ストリーミングは前週比19%アップの4850万、ダウンロードは同2%ダウンの5,000、ラジオは同10%アップの2940万となっています。

ボビー・ヘルムズ「Jingle Bell Rock」(1957年リリース)およびバール・アイヴス「A Holly Jolly Christmas」(1964年リリース)は前週よりそれぞれ1ランクアップし、前者は3位、後者は4位に。2曲とも2019年のクリスマスシーズン以降毎年この位置まで上昇しています。

 

ワム!Last Christmas」が1ランク上昇し5位へ。1984年リリース曲は2020年のクリスマスシーズンに初のトップ10入りを果たし昨シーズンは7位まで上昇、そして今シーズンは同曲初のトップ5入りを果たしました。ストリーミングは前週比51%アップの4370万、ダウンロードは同11%アップの3,000、ラジオは同5%アップの2420万を記録しています。

ジョージ・マイケル(奇しくも2016年のクリスマスに死去)とアンドリュー・リッジリーによるデュオは今回の「Last Christmas」が6曲目のトップ5入り。トップ10入りは7曲となりますが、「Wake Me Up Before You Go-Go」「Careless Whisper」および「Everything She Wants」は首位、「Freedom」および「I'm Your Man」は最高3位、「The Edge Of Heaven」は最高10位を、いずれも1984-1986年の間に記録しています。ワム!の最後のトップ5入りは1986年2月8日付における「I'm Your Man」となります。

ジョージ・マイケルはソロとして7曲の首位獲得曲を含む9曲のトップ5ヒットを輩出し、トップ10入りは14曲保有。ソロとしての最後のトップ5入りは1992年2月15日付におけるエルトン・ジョンとの「Don't Let The Sun Go Down On Me」であり、またジョージがソングライトを手掛けた曲による最後のトップ5入りは1990年10月20日付における「Praying For Time」となります。

 

アンディ・ウィリアムス「It's The Most Wonderful Time Of The Year」(1963年リリース)が2ランクアップし6位に。これまでの最高位は2020年のクリスマスシーズンにおける5位となります。今回のトップ10入りにより、アンディは自身が持つ初のトップ10入りから最新までの最長スパン記録を63年2ヶ月と3週に伸ばしています。なおアンディにおける初のトップ10入りは1959年10月12日付における「Lonely Street」です。

最新12月31日付米ビルボードソングチャートはクリスマスソングが6位までを占拠しており、これは2021年1月2日付以来二度目となります(一度目は上記リンク先参照)。

 

クリスマスソング以外での最高位はシザ「Kill Bill」の7位。前週はアルバム『SOS』の首位初登場のタイミングで同曲が3位に初登場を果たしています。なお『SOS』は今週もアルバムチャートを制しています。

1970年リリースのクリスマスソング、ホセ・フェリシアーノ「Feliz Navidad」が3ランクアップし8位に到達し、トップ10返り咲き。この曲の最高位は2020年のクリスマスシーズンに記録した6位となります。

 

テイラー・スウィフトAnti-Hero」は2ランクダウンし9位となりましたが、同曲はラジオ指標において初の首位に到達しています(前週比3%アップの7940万を記録)。テイラーのラジオ指標制覇は「You Belong With Me」(2009 2週)、「I Knew You Were Trouble」(2013 4週)、「Shake If Off」(2014 4週)、「Blank Space」(2014-2015 6週)、「Bad Blood (feat. ケンドリック・ラマー)」(2015 5週)、「Wildest Dreams」(2015 2週)に続く7曲目。1990年12月に始まったラジオソングチャートにおいてテイラーはマルーン5ケイティ・ペリーおよびアッシャーと並び歴代4位タイに。なお首位はリアーナの13曲、次いでマライア・キャリー(11曲)、ブルーノ・マーズ(9曲)の順となります。

テイラー・スウィフトはラジオ指標において2000年代、2010年代および2020年代の3つのディケイドを制した初の歌手となり、主演曲が3つのディケイドで頂点に立っています。なおクリスティーナ・アギレラは1990年代(「Genie In A Bottle」(1999))、2000年代(リル・キム、マイヤおよびピンクとの「Lady Marmalade」(2001))、2010年代(マルーン5に客演参加した「Moves Like Jagger」(2011))の3つのディケイドを制しています。

 

最新のトップ10はこちら。

[今週 (前週) 歌手名・曲名]

1位 (1位) マライア・キャリー「All I Want For Christmas Is You」

2位 (2位) ブレンダ・リー「Rockin' Around The Christmas Tree」

3位 (4位) ボビー・ヘルムズ「Jingle Bell Rock」

4位 (5位) バール・アイヴス「A Holly Jolly Christmas」

5位 (6位) ワム!Last Christmas

6位 (8位) アンディ・ウィリアムス「It's The Most Wonderful Time Of The Year」

7位 (3位) シザ「Kill Bill

8位 (11位) ホセ・フェリシアーノ「Feliz Navidad」

9位 (7位) テイラー・スウィフトAnti-Hero

10位 (9位) サム・スミス & キム・ペトラス「Unholy」

 

 

ビルボードが一昨年新設したグローバルチャートもチェック。200を超える地域の主要デジタルプラットフォームによるストリーミングとデジタルダウンロードで構成され、歌手のホームページでの販売分を含まないグローバルチャート。12月31日付ではマライア・キャリー「All I Want For Christmas Is You」がGlobal 200、Global Excl. U.S.共に連覇を達成しました。

マライア・キャリー「All I Want For Christmas Is You」はGlobal 200においてストリーミングが前週比16%アップの1億810万、ダウンロードが同6%アップの17,000を、Global 200から米の分を除いたGlobal Excl. U.S.ではストリーミングが前週比14%アップの6510万、ダウンロードが同11%アップの6,000を記録しています。

グローバルチャートがローンチされた2020年秋以降、Global 200においては「All I Want For Christmas Is You」が3シーズン続けて4週首位を獲得。通算12週目の首位を達成したことで同曲は首位獲得週数においてザ・キッド・ラロイ & ジャスティン・ビーバー「Stay」(2021 11週)を上回り単独2位に(なお最長首位獲得曲はハリー・スタイルズ「As It Was」(今年4月以降通算15週首位)となります)。またGlobal Excl. U.S.においては2020年のクリスマスシーズンに1週、2021年に3週そして2022年に3週の計7週、首位を獲得しています。

Global 200においてはホセ・フェリシアーノ「Feliz Navidad」が13→10位に。ストリーミングは前週比22%アップの5000万、ダウンロードは同18%アップの5,000を記録しています。同曲は2020年のクリスマスシーズンに最高9位を記録しています。

またGlobal Excl. U.S.においてはアリアナ・グランデ「Santa Tell Me」(2014年リリース)が11→8位へ(最高位は2020年のクリスマスシーズンにおける7位)。ストリーミングは前週比16%アップの3240万、ダウンロードは同52%アップの2,000を記録しています。またシザ「Kill Bill」は26→10位へ上昇。ストリーミングが前週比62%アップの3400万を記録しています。シザはドージャ・キャットに招かれた「Kiss Me More」で2021年5月に最高5位を記録しており今回がGlobal Excl. U.S.2曲目のトップ10入り、また主演曲では初となります。