イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

(追記あり)【ビルボードジャパン最新動向】総合首位獲得のSixTONES「わたし」、4指標を制した理由を探る

(※追記(19時18分):ビルボードジャパンソングスチャートの記事ツイートを掲載し忘れており、申し訳ございません。冒頭にて掲載しました。)

 

 

 

毎週木曜以降は、最新のビルボードジャパン各種チャートについてお伝えします。

6月6~12日を集計期間とする6月15日公開(6月20日付)ビルボードジャパンソングスチャート(Hot 100)。フィジカルセールス初加算に伴いSixTONES「わたし」が同曲初の首位を獲得しました。

(上記はショートバージョン。)

注目すべきは、SixTONES「わたし」の指標構成。フィジカル関連2指標およびラジオ、Twitterの計4指標で首位を獲得しています。

「わたし」のフィジカルセールスは前作「共鳴」より7万枚以上増加。そしてルックアップについては、獲得した18,837ポイントの3割以上を占めています。チャート予想と分析に長けた紅蓮・疾風さんは、このようにツイートされています。

SixTONESについては以前からルックアップが強かったと言えますが、それを大幅に上回った形です。前作「共鳴」総合首位獲得週のCHART insightは下記に。オレンジで示されるルックアップは、パソコン等にCDを取り込んだ際にインターネットデータベースのGracenoteにアクセスする数を示し、売上枚数に対する実際の購入者数(ユニークユーザー数)やレンタル枚数等の推測を可能とします。

「わたし」におけるルックアップの強さについて、ユニークユーザー数の増加も推測できますが、その他に考えられるのは2つ。ひとつはレンタルの高さ。メンバーの松村北斗さんが出演するドラマの挿入歌ということ、さらには発売から3日後のレンタル解禁により需要が高かった可能性があります。

もうひとつはファンダム(一人ひとりのコアファン)による前向きなチャート意識。デジタル未解禁ゆえストリーミング指標を押し上げることができない「わたし」は不利とも言える状況でしたが(なおYouTubeのオーディオストリーミングも加算対象のため、動画の人気次第ではストリーミング指標も加点されます)。フィジカルセールス以外でどの指標を伸ばせるかをファンダムが考え、CDの取り込みを徹底したことも予想できます。

所属レコード会社によるSixTONESTwitterアカウントではビルボードジャパンソングスチャート制覇や、先週金曜には同上半期アルバムチャートを『CITY』が制したことについてもアナウンスしています(『CITY』についてのアナウンスはこちら)。このような発信がチャートでトップを獲得することの重要性を示し、ファンダムのチャート意識をさらに高めることにつながったと考えます。

 

ラジオについても強さを発揮。この指標はプランテックが提供するOAデータに対象局の聴取可能人口等を加味してビルボードジャパンが独自に算出したものですが、指標の基となるOAデータでもSixTONES「わたし」が首位を獲得しています。

メンバー・松村北斗が出演するドラマ「恋なんて、本気でやってどうするの?」挿入歌として、4月18日放送の第一話でサプライズ解禁された同曲。ラジオでは4月23日放送の冠番組SixTONESオールナイトニッポンサタデースペシャル」(ニッポン放送)内で初解禁されて以降、5月に入ってから関西エリアを中心にオンエアが開始され、5/23~5/29チャートで172位に初登場。その後、オンエアは徐々に広がり前週いっきに48位へと浮上すると、リリース週を迎えた今週、83.9%と広範囲ステーションでのオンエアを獲得し首位となった。

毎週ドラマ放送内において印象的なシーンで使用されていること、そして今週は積極的なゲスト/コメント出演も確認されていることから幅広い層へと訴求したことだろう。その証拠にリクエストも多数寄せられており、新曲ではOfficial髭男dism「ミックスナッツ」(11位→7位)、あいみょん「初恋が泣いている」(16位→5位)に次ぐ数だった。

認知度の着実な上昇、さらにフィジカルリリース週のゲスト出演等がラジオ指標制覇につながったと言えます。後者は他の作品でもみられる傾向ですが、前者においてラジオがじわじわと上昇するというのは珍しいタイプと言えるかもしれません。

 

注目すべきは他指標でも。前作「共鳴」では総合首位獲得時にこの指標が4位となりましたが、「わたし」はこの指標を制しています。

2021年度第3四半期以降のTwitter指標トップ20を上記に。ジャニーズ事務所所属歌手による作品の同指標制覇はKing & Prince「恋降る月夜に君想ふ」(2021年10月13日公開分(10月18日付))以来およそ8ヶ月ぶりとなります。

Twitter指標をジャンル別に色付けすると見えてくるのが、ジャニーズ事務所所属歌手以外の男性アイドルやダンスボーカルグループによる作品の台頭。彼らのファンダムにおけるチャート意識の高まりが感じられる中にあってSixTONES「わたし」がこの指標を制したことは、ラジオにおける新曲リクエスト数3位という事実も含め、ファンダムの後押しの大きさ、さらにはチャートへの意識の高さを思わせるに十分でしょう。

無論ここには、先述したSixTONESの音楽活動情報を紹介するTwitterアカウント(SixTONES / ソニーミュージック (@SixTONES_SME) | Twitter)での、ラジオ情報等のフォローアップも影響していることでしょう。そして動画における細やかさもまた、プラスに作用しているはずです。

「わたし」における田中樹さんのフレーズを他のメンバーが遮るというYouTubeショート動画が6月4日以降5日連続でアップされました(上記は松村北斗さん編)。このセルフパロディが、実際の「わたし」はどんな感じだろうとしてミュージックビデオの視聴やフィジカル購入にもつながった可能性が考えられます。現に「わたし」の動画再生指標は前作「共鳴」のフィジカル初加算時(53位)を大きく上回る12位を記録しているのです。

SixTONESYouTubeチャンネル(→こちら)における6月16日午前6時現在のチャンネル登録者数は163万であり、ショート動画、さらにはカップリング曲のヴィジュアライザー動画(ショートバージョン)の公開が登録者を主体に、ミュージックビデオやフィジカル(購入およびレンタル)への意識上昇をもたらしさと言えるでしょう。

 

 

最新ソングスチャートにてSixTONES「わたし」が獲得した18837ポイントは、今年度のソングスチャートにおいて米津玄師「M八七」の20881ポイント(5月25日公開分(5月30日付))に次ぐ歴代2位の高水準。今後のチャートアクションにも注目ですが、まずこの点は見事な結果であると考えます。