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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

【ビルボードジャパン最新動向】SixTONES「共鳴」が今年度歴代2位のポイント獲得、その理由は

最新のビルボードジャパンソングスチャートから注目点を紹介します。

2月28日~3月6日を集計期間とする3月9日公開(3月14日付)ビルボードジャパンソングスチャート(Hot 100)。SixTONES「共鳴」が初登場で首位を獲得しました。

 

2022年度第2四半期初週にあたる今週、2020年度第4四半期から6期連続で行われていたチャートポリシー変更が今回も行われるのではと考えていました。しかし今回はその形跡が見当たらず、記事やツイートでもアナウンスがありません。ゆえに2022年度第1四半期のチャートポリシーが踏襲されることとなります。

その点を踏まえて第1四半期の作品と比較すると、今回ソングスチャートで首位に立ったSixTONES「共鳴」が、フィジカルセールスで勝るSnow Man「Secret Touch」(2021年12月8日付首位)およびJO1「僕らの季節」(2021年12月22日付首位)を総合ポイントで上回っているのは特筆すべきことです。

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SixTONES「共鳴」はフィジカルセールスが40万枚を突破しながら、前作「マスカラ」から10万枚以上ダウン。またSnow Man「Secret Touch」には倍近く、JO1「僕らの季節」には10万枚以上差がつけられています。しかしながらポイントでは「共鳴」が上回っているのです。

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3曲の総合ソングスチャート制覇時におけるCHART insightを上記に。注目はチャート構成比を示す円グラフで、JO1「僕らの季節」以外はデジタル未解禁のためチャート構成が似通う形。その中でSixTONES「共鳴」はSnow Man「Secret Touch」に動画再生(赤で表示)で敗れながらもルックアップ(オレンジ)やラジオ(緑)で勝り、総合ポイントで逆転しているのです。

 

ルックアップはパソコン等インターネット接続機器にCDをインポートした際、インターネットデータベースのGracenoteにアクセスされる数を指し、売上枚数に対する実際の購入者数(ユニークユーザー数)やレンタル枚数を推測可能とするもの。この指標は2021年度第4四半期にウエイトがダウンしていますが、ユニークユーザー数等の推測を難しくするほどコアなファンの積極的な取込が少なくなかったゆえと捉えています。

チャートポリシー変更を経ても、Snow Man「Secret Touch」そしてSixTONES「共鳴」におけるルックアップの強さには驚かされます。Twitterにはコアなファンの方が運営していると思しきSixTONESのチャートに関するアカウントがあるのですが、ファン一人ひとりができることが非常に解りやすく記載されています。そのような内容も刺激になったかもしれませんし、そもそもチャートへの意識向上は好いことだと考えます。

 

コアなファンの呼びかけの中にはラジオへのリクエストも挙げられますが、ラジオの選曲権は局側に委ねられており、接触指標の中でも受け手(リスナー)の意向がダイレクトに反映されにくいものです。そのラジオ指標でSixTONES「共鳴」が首位を獲得したのは見事と言えます。

TVアニメ「半妖の夜叉姫」弐の章1月クールオープニングテーマとなる同曲。冠番組SixTONESオールナイトニッポンサタデースペシャル」(ニッポン放送他)の1月22日放送回にてラジオ解禁後、2月10日に他局・番組で少数確認されたものの、オンエアが本格化したのは前週からだ。そしてシングルリリース週を迎えた今週、オンエアが一気に急増し2位以下と100回以上の大差をつけて初登場首位となった。

前作同様、様々な要素を取り入れた高度な音楽性も相まって、FM局を中心に広い範囲でのオンエアを獲得している点も特筆すべきだろう。多数リクエストも集まっており、ジャニーズファン以外のリスナー層にもアピールし得たと推測される。

ビルボードジャパンソングスチャートのラジオ指標にデータを提供するプランテックでは、『リクエスト数はSixTONESを凌ぎ今週最多数を集めている』King Gnu「カメレオン」をOA回数でSixTONES「共鳴」が上回ったと紹介しています(『』内は上記記事より)。ビルボードジャパンはラジオOA回数をラジオ局の聴取可能人口等を加味して指標化しますが、そこで「共鳴」は「カメレオン」の倍近いポイントに至っています。

前週のビルボードジャパンソングスチャート振り返りエントリーでは、9週目の首位を獲得したAimer「残響散歌」のラジオ指標急伸においてレコード会社側の営業もみられたと推測。チャートへの意識が歌手側においても高まっていることの証明だと捉えています。

SixTONES「共鳴」についても、ともすればそのような動きがあったかもしれません。近年のジャニーズ事務所所属歌手におけるシングル曲のラジオ指標は上昇傾向にあることから、働きかけはゼロではないと思われます(下記ブログエントリー等参照)。とはいえOAを最終的に決定するのはラジオ局側であるゆえ、SixTONES「共鳴」がAM/FMに関係なく好まれたことが大量OAにつながったと言えるでしょう。

 

 

SixTONES「共鳴」が総合ポイントでAimer「残響散歌」(2021年12月15日付 16978ポイント)に次ぐ今年度歴代2位を獲得したのは素晴らしいことです。これが翌週も続くならば、「共鳴」は真の社会的ヒットとして認知されていくことでしょう。一方でKing Gnu「カメレオン」が仮に今回の集計期間中にミュージックビデオを用意していれば、またフィジカルセールスがあったならば、「共鳴」の首位は危うかったでしょう。

ともすればそのKing Gnu「共鳴」のデジタルの強さ、そして第2四半期初週でのチャートポリシー変更の可能性も考慮してSixTONESのコアなファンの方々が努力されたことも伺えるような、そんなチャートアクションになったと言えます。

ビルボードジャパンは時代の変化に沿って柔軟にチャートポリシーを変更することでしょう。またデジタルに強い曲との対決も出てくるはずで、ジャニーズ事務所所属歌手の曲がビルボードジャパンで首位を逃す事態は増えるかもしれません。ならば彼らのデジタル解禁は必須ではないでしょうか(SixTONESはTHE FIRST TAKEに登場しているため尚の事です)。それを踏まえ、上記ツイートを関係者の方々に提案させていただきます。