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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングスチャートなどを紹介します。

ビルボードジャパンによる直近のチャートポリシー変更は不完全…BE:FIRST、めいちゃん等の例を踏まえ今一度提案する

5月25日公開分(5月30日付)ビルボードジャパンソングスチャートはトップ3がすべてフィジカル関連指標初加算作品となり、米津玄師「M八七」が総合首位を獲得。フィジカルセールス指標首位のAKB48「元カレです」が総合3位にとどまり、BE:FIRST「Bye-Good-Bye」は2位に入っています。

昨日のブログエントリーではその「元カレです」および「Bye-Good-Bye」について、指標構成からみえてくる特徴を紹介したのですが、今回はその続きとなります。

最後に。「Bye-Good-Bye」は最新のストリーミングソングスチャート(Streaming Songs)を制しながら、ソングスチャートのストリーミング指標では3位となっています。これは2週前のチャートポリシー変更が影響していますが、このチャートポリシー変更は完全ではないと考え、明日のブログエントリーにてビルボードジャパンに対し再度見直しを提案する予定です。

ビルボードジャパンが5月11日公開分(5月16日付)で実施した、ストリーミングに関するチャートポリシー(集計方法)変更は不完全であると考え、その理由と再提案を記載します。

 

ビルボードジャパンは今年度、チャートポリシーをこれまで3回変更しています。今年度初週にフィジカルセールス指標における係数処理適用枚数の引き下げ、4月20日公開分(4月25日付)では一つのサブスクサービス全体に対する係数処理適用、5月11日公開分(5月16日付)では一つのサブスクサービスにおける施策に伴い高い再生回数を獲得しながら他のサブスクサービスと激しく乖離した曲に対して個別係数処理を適用しています。

2回目および3回目はストリーミング指標に関する変更であり、チャージポリシー変更の度にこのブログで解説を行っています。ビルボードジャパンはサブスクサービスの具体名を挙げていないため、これら変更は共にLINE MUSIC独自の再生キャンペーン(再生回数キャンペーン)を意識したものと捉えていましたが、ともすれば4月の変更はAWAを踏まえ、同サービスに施した可能性があります。

チャート分析に長けたあささんのビルボードジャパンとのやり取りにより、あささんも推測されたAWAへの係数処理適用の可能性を実感した次第。そしてこのやり取りで判った重要なポイントが、5月のチャートポリシー変更に伴う個別係数処理の適用がStreaming Songsチャート首位曲にのみ適用されることにあります。

 

Streaming Songsチャートはこちらでチェックできますが、このチャートを制した曲のストリーミング指標化の際の個別係数適用が、チャートポリシー変更後3週連続で行われています。最新週の総合ソングスチャート記事ではこのような表記がみられます。

BE:FIRSTの「Bye-Good-Bye」は、ラジオとTwitter 1位で2冠を記録し、動画再生2位、シングル、ダウンロード、ストリーミング、ルックアップで3位となり、総合2位に。3月16日公開チャートの総合首位以来、11週に亘り100位圏内をキープした本曲は、シングル発売に伴い、シングルとルックアップ指標のポイントが加算され、11週目にして前週41位から総合2位に返り咲きを果たした。ストリーミングは9,997,340再生で1位となったが、“HOT 100”特別ルールにより個別係数が設定され、“HOT 100”上のストリーミング指標では3位となっている(※)。

最新週におけるStreaming Songsチャートの記事は下記に。この個別係数適用によりStreaming Songsチャートとストリーミング指標との順位は一致しなくなるのですが、Streaming Songsチャートの記事には異なる順位となることへの説明がなく、総合ソングスチャートの記事を読まなければ混乱を招きかねないものと危惧します。ビルボードジャパンにはStreaming Songsチャートの記事にも一文を追加することを願います。

 

5月11日公開分(5月16日付)のチャートポリシー変更はLINE MUSIC再生キャンペーンという施策を前提としたものと考えます。BE:FIRSTは最新チャートの集計期間と同一の5月16~22日を対象期間とした「Bye-Good-Bye」再生キャンペーンを実施。リンク先はhttps://befirst.tokyo/news/linemusic_campaign/となりますが、URLを踏まえれば今後も別曲でLINE MUSIC再生キャンペーンを実施する際にこのリンク先で掲載される可能性があるため、今回のキャンペーンについてキャプチャしたものを下記に貼付します。

最新5月25日公開分(5月30日付)ビルボードジャパンStreaming SongsチャートではBE:FIRST「Bye-Good-Bye」の再生回数が『前週比441%となる9,997,340回を記録し、前週の53位からジャンプアップを果たし』ています(『』内は【ビルボード】BE:FIRST「Bye-Good-Bye」9週ぶり3度目のストリーミング首位 『シン・ウルトラマン』主題歌の米津玄師「M八七」は4位 | Daily News | Billboard JAPAN(5月25日付)より)。

一方で、「Bye-Good-Bye」は最新ビルボードジャパンソングスチャートと同一の集計期間において、Spotifyで14位、Apple Musicでは51位を記録(上記ブログエントリーより)。なおLINE MUSICは水曜からの1週間をウイークリーの集計期間としており、5月24日までの最新週では「Bye-Good-Bye」が首位を獲得しています。

BE:FIRST「Bye-Good-Bye」の再生回数については、確かにLINE MUSICと他のサブスクサービスとは乖離が目立ちますが、前週まで2週続けてStreaming Songsチャートを制した曲ほどの乖離はみられません。ビルボードジャパンはこの「Bye-Good-Bye」に対し個別の係数処理を適用したことになりますが、ここで問題となるのが【Streaming Songsチャート首位曲のみに個別係数処理を適用することへの不公平さ】です。

 

前週までStreaming Songsチャートを制したのは、めいちゃん「ラナ」でした。2週続けて1千万回再生を突破した「ラナ」ですが、ストリーミング指標では2週とも20位以内未達。それが今週、501万回以上の再生を記録しStreaming Songsチャート10位に入ると、ストリーミング指標でも同じ位置につけたのです。

CHART insightでの楽曲単位の推移は、総合もしくは構成8指標のいずれかが20位以内に入った場合に確認可能(有料会員はいずれかが100位以内に入った場合に確認可能。このブログでは、有料会員のみが知り得る情報を提示することはルール違反という観点から、無料会員でも知り得る情報のみ提供しています)。ストリーミング指標は青で表示され、めいちゃん「ラナ」は同指標で39→42→10位と推移していることが判ります。

「ラナ」はLINE MUSIC再生キャンペーンを5月2日月曜から22日日曜まで開催。そのキャンペーン初日からを集計期間とする5月11日公開分(5月16日付)のビルボードジャパンStreaming Songsチャートで「ラナ」は1千万回超えを果たしましたが、Spotifyでは一度として、これまでデイリー200位以内に到達していません。Apple Music週間チャートでもこれまで100位以内未達の状況です。

ゆえに「ラナ」はLINE MUSICの強さが、それもBE:FIRST「Bye-Good-Bye」より極端に際立っているのですが、最新のStreaming Songsチャートで首位ではないため前2週に施された個別係数が未適用となり、そのまま指標化されています。Streaming Songsチャート首位曲以外に個別係数を適用しないことがビルボードジャパンの回答から明らかではありましたが、偏りがより著しい曲に未適用というのは強い違和感を覚えます。

 

ストリーミングはロングヒットの要となる需要な指標であり、一般的には安定した動きをみせるのですが、LINE MUSIC再生キャンペーン採用曲はフィジカルセールス並に高位置での登場→キャンペーン終了後もしくは落ち着きを見せた後の急落が目立ち、チャートを歪にします。ゆえにキャンペーン採用曲への個別係数処理適用等を以前から唱えていましたが、これがごく一部のみというのはあってはならないというのが私見です。

最高9999回というハードルを用意した私立恵比寿中学「青春ゾンビィィズ」は、配信開始(と同時にLINE MUSIC再生キャンペーンがスタートした)後初の1週間フル加算となった5月18日公開分(5月23日付)でStreaming Songsチャート13位、ストリーミング指標12位となり、総合でも23位に。そして一定数のコアファンがハードルをクリアしたゆえでしょう、最新チャートではいずれも比較的大きくダウンしています。

前週のStreaming Songsチャートでは私立恵比寿中学「青春ゾンビィィズ」がめいちゃん「ラナ」に敗れるも、「ラナ」はストリーミング指標化の際の個別係数適用により同指標42位に急落。しかし「青春ゾンビィィズ」は「ラナ」同様にApple Music週間チャート100位以内、Spotifyデイリーチャート200位以内未達にもかかわらず、前週のストリーミング指標および総合で「ラナ」を上回ることに違和感を覚えるのです。

この前週のチャートにおける"「青春ゾンビィィズ」>「ラナ」"への違和感については前週ブログでも採り上げましたが、「ラナ」のCHART insightが可視化されたことであらためてチャートポリシー変更の不完全さを痛感しています。

LINE MUSIC再生キャンペーン等の施策実施により他のサブスクサービスや他指標と著しく乖離する曲は、Streaming Songsチャートで首位に至っていない曲であっても個別係数を施す必要があると考えます。

(中略)

LINE MUSIC再生キャンペーン採用曲についてはその全作品に対し、集計期間におけるキャンペーン実施日数に応じた個別係数処理を施すべきではないかという考えが、自分の中でさらに強くなっています。フィジカルセールス同様、このチャートポリシー見直しは早急の課題だと考えます。

5月11日公開分(5月16日付)におけるビルボードジャパンのチャートポリシー変更アナウンスの翌日、自分はLINE MUSIC再生キャンペーン採用曲に対する個別係数適用自体には賛同する一方で、しかしこの変更では違和感が拭えないことを踏まえ、5つの改善策を提示しました。なおこの段階では、Streaming Songsチャート首位曲のみに個別係数が施されることは判明していません。

※5月11日公開分(5月16日付)実施、ビルボードジャパンストリーミング指標におけるチャートポリシー変更についての、5つの改善策の提案

(5月12日付でのブログ掲載時より、文言を解りやすい形に変更しています。)

 

・個別係数適用についてのルールを単純化、明確化すること

・LINE MUSIC再生キャンペーン採用曲に対しては、キャンペーン終了後においても幾分の係数処理を施すこと

・市場全体の平均バランスから大きく乖離している/いないにかかわらず、一律に個別係数を適用すること

・LINE MUSIC再生キャンペーンはチャートを歪にするものとして問題であることをビルボードジャパンが断言すること

・Streaming Songsチャートとストリーミング指標とで順位が異なるのは解りにくいため、ふたつの順位を一本化する、もしくはStreaming Songsチャートの記事にて順位が異なる旨を記載すること

施策はラジオにおける局等への営業(その成果によるパワープレイ獲得)、動画再生におけるプレミア公開や複数動画の投入等、いわばどの指標でも可能なものです。ただし社会的ヒットと著しく乖離する場合には是正される必要があり、それがたとえばフィジカルセールス指標における係数処理適用の導入理由だったはずです。

フィジカルセールスでの係数処理適用が一定枚数以上の売上に対し行われるため、ストリーミング指標においても一定以上の再生回数獲得曲がLINE MUSIC再生キャンペーンを採用していたならば同様に施すというのがビルボードジャパンの考えかもしれませんが、BE:FIRST「Bye-Good-Bye」とめいちゃん「ラナ」ではLINE MUSIC以外のサービスにおけるヒット規模が異なりながら今週前者にだけ係数処理が行われ、その「ラナ」と私立恵比寿中学「青春ゾンビィィズ」では前週前者にだけ実施というのは、偏りと言わざるを得ません。

 

 

ビルボードジャパンは基本的に四半期初週にチャートポリシーを変更します。今年度のストリーミング指標における二度のチャートポリシー変更は四半期初週とは別のタイミングで行われましたが、それだけサブスクサービスでの施策が(言葉は悪いですが)目に余るようになったことが緊急対応につながったものと考えます。しかし対応が緊急であったとしても、ルールに不完全さがあることは許されてはならないでしょう。

次のチャートポリシー変更は第3四半期(下半期)初週の可能性が高いと思われ、ビルボードジャパン側もそのタイミングが最も行いやすいはずです。ならばLINE MUSIC再生キャンペーン採用曲一律に、集計期間におけるキャンペーン実施日数に応じた個別係数処理を施すこと、およびそのルールの明確化を求めます。このままではStreaming Songsチャート首位未達のほうが得だという、おかしな考え方を植え付けさせかねません。