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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

櫻坂46「Start over!」が早くもトップ10入り…チャート施策が高まる可能性、そして重要な見方について記す

最新6月28日付ビルボードジャパンソングチャートでは、櫻坂46「Start over!」が10位に初登場。8位にランクインしたストリーミング指標がその原動力です。

櫻坂46「Start over!」は総合10位に初登場。6月28日にシングル発売を迎え、先行解禁した動画に続き、ダウンロードとストリーミングが当週解禁された。ダウンロード16位、ストリーミング8位、動画67位と、3指標とも前作「桜月」を上回る展開で次週のジャンプアップは確実だ。

獲得ポイントの実に4分の3をストリーミング(上記CHART insightでは青で表示)が占め、次週のフィジカルセールス初加算を前にトップ10入りを果たした櫻坂46「Start over!」。重要なのはこの曲がLINE MUSIC再生キャンペーンを採用しているということです。

6thシングル『Start over!』リリース記念・LINE MUSICプレゼントキャンペーン実施決定! | ニュース | 櫻坂46公式サイト(6月20日付)より

※キャンペーン終了後にページが消去される可能性を踏まえ、キャプチャした画像を貼付しました。問題があれば削除いたします。

上記のほか、1回以上再生(つまりは一度聴いて参加)すれば応募者全員に向けたプレゼントも用意されています。実は前作「桜月」でも同様のスケジュール且つ同種のキャンペーンが用意されていましたが(内容はこちら)、「桜月」においてLINE MUSIC再生キャンペーンが初めて影響した2月15日公開分ではストリーミング指標44位、総合43位(2,018ポイント)となっており、「Start over!」は前作を上回っています。

「桜月」のCHART insightをみると、フィジカルセールス指標(黄色で表示)が初加算された週にストリーミング(青)およびダウンロード(紫)が伸び、またラジオ(黄緑)も急上昇しています。

ゆえに櫻坂46「Start over!」は次週(7月5日公開分)において、フィジカルセールス指標初加算時に他指標も上昇する可能性が高いものと考えます。フィジカルセールスは昨日公開の速報値において前作「桜月」の週間セールス(395,075枚)を大きく上回る472,227枚を記録していることから、「桜月」のフィジカルセールス初加算時における9,703ポイント(2月22日公開分)を超えることは間違いないかもしれません。

 

LINE MUSIC再生キャンペーンについては、ストリーミング指標の基となるStreaming Songsチャートで首位を獲得した曲がキャンペーンを採用していた場合に限り、LINE MUSIC以外のサブスクサービスと乖離があればそれを踏まえて指標化時に係数処理が施されます。ただし係数処理はStreaming Songsチャート首位曲のみに適用されるため、YOASOBI「アイドル」が強い現状では「Start over!」は適用対象外が確実と言えます。

LINE MUSIC再生キャンペーン実施、フィジカルセールス初加算、Streaming Songsチャートにて首位を逸したことで係数処理適用外…これらにより高ポイントを獲得したのがBE:FIRST「Smile Again」でした。5月3日公開分で19,494ポイントを獲得し総合2位に初登場を果たしたこの曲は、同週首位となったYOASOBI「アイドル」の登場2週目から最新週までの10週分(いずれも1位)に次ぐ今年度11位の週間ポイントを記録しています。

「Smile Again」の瞬発力を踏まえれば、フィジカルセールスに長けた多くの歌手、特にアイドルやダンスボーカルグループが社会的ヒットの鑑たるビルボードジャパンソングチャートで結果を残すべく、「Smile Again」をひとつの理想形として手法を踏襲するのは自然と言えます。櫻坂46については以前からキャンペーン展開を行ってはいますが、今後このような動きをさらに強化してくるかもしれません。

 

今後日本において、フィジカルセールスに強い歌手がビルボードジャパンのソングチャートを意識するようになるかもしれません。それ自体は歓迎します。他方、チャート施策がコアファン向けのものばかりでは瞬発力は高まっても持久力アップにはつながらず、ヒットしたとは言い難いというのが厳しくも私見です。

「Smile Again」の2位発進を紹介したエントリー(→こちら)でも述べましたが、ビルボードジャパンに対してはLINE MUSIC再生キャンペーン採用曲全てに対し係数処理を施すことが必要だと提案し続けています。コアファンの熱量を用いた再生キャンペーンは所有指標的動向(キャンペーン終了後の急落)を辿り、ライト層の需要をより大きく示すストリーミング指標のなだらかなダウンと矛盾するためです。

チャートアクションの真の理想形はLINE MUSIC再生キャンペーンを採用せずとも初週から高い再生回数を維持することですが、キャンペーンを用いるならば終了後も勢いが続くことが重要であり、それこそがライト層への浸透を示します。ゆえにキャンペーン採用曲のチャート動向をその終了後も追いかけ、真の社会的ヒット曲になったかを見極める必要があります。