イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

【ヒットの予感】TikTok先行公開、Wurts「分かってないよ」のミュージックビデオが見事

最新5月12日公開(5月17日付)ビルボードジャパンソングスチャートで79位に初登場を果たしたWurts「分かってないよ」に注目(ワーツ、と読みます)。ストリーミングは77位に入り総合チャートランクインの原動力となっていますが、次週この指標がさらに伸びると推測されます。

Spotifyでも勢いが増しています。

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上記表は5月10日付ブログエントリーを基とし、昨日『ミュージックステーション』に初登場を果たした変態紳士クラブ「YOKAZE」、そしてWurts「分かってないよ」を追加したもの。

「YOKAZE」はテレビ出演決定に加えてTHE FIRST TAKEへも出演したことで大きく伸びましたが、「分かってないよ」は木曜前週比234.7%と驚異的なのです。

 

 

「分かってないよ」のリリースは5月5日。Spotifyでは解禁日におそらく200位未満だったと推測されます。

とはいえこの解禁日はあくまでダウンロードやサブスクでの話。TikTokでは既に1月の段階で発表されていました。

@nia_n_

##オリジナル曲

♬ 分かってないよ - WurtS

この曲は徐々に認知度を高め、5月15日朝の段階で7千近い動画に使用。サビ頭の”分かってないよ”がインパクト強く、TikTokユーザーならば聴いたことがある方は少なくないでしょう。この「分かってないよ」をはじめとするオリジナル曲のヒットにより、3月に初のデジタルEPをリリースするに至ります。

「分かってないよ」はセカンドEPからの先行曲であり、TikTokユーザー等にとっては待望と言えるでしょう。実際、3月8~14日を集計期間とするTikTok週間楽曲ランキングでは19位に登場し、人気を博していたことが解ります。

TikTokからサブスク再生に流れ着き人気が高まっていることが考えられますが、「分かってないよ」のサブスク加速に寄与しているのはこれだけではありません。

ミュージックビデオのティザーと公式オーディオをきちんと用意し(WurtsさんのYouTubeアカウント参照→こちら)、プレミア公開も実施した「分かってないよ」。これら施策も重要ですが、注目したいのは2点。ひとつはミュージックビデオが縦型ということ。アメリカではヴァーティカルビデオと呼ばれているこちらは著名な作品に用いられ、ソングスチャートにも影響を及ぼしていますが(チャートアクションに影響を与えた縦型ミュージックビデオ集、そして邦楽への渇望(2019年8月21日付)参照)、TikTokユーザーならばこの縦型に違和感なく入り込めると思うのです。スマートフォンの画面をキャプチャしてみましたが、最大化をせずとも最初から大画面で観られるのは嬉しいですね

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そしてもうひとつは、ミュージックビデオの開始直後に”分かってないよ”のサビが登場すること。15秒弱のダイジェストはまるでTikTokを観ているような感覚に陥ります。この冒頭のつかみによって動画をスキップせず最後まで観る方も少なくないでしょう。

 

ミュージックビデオが縦型であること、そして冒頭のダイジェストの配置は、「分かってないよ」とTikTokとの関連性をより強く意識させるに十分なのです

昨年の緊急事態宣言発令後に人気が格段に高まったTikTok。その人気は動画やサブスクに波及しますが、その流れをよりスムーズにするWurtsさんの手法に唸らされます。YouTubeの概要欄のリンクを辿るとTikTokアカウントが登場するのも見事。まずはTikTokユーザーをガッツリ掴み、さらなる高みを目指します。

【ビルボード最新動向】藤井風「きらり」が2位…躍進の理由、およびロングヒットにつながる施策と”希望”

最新5月12日公開(5月17日付)ビルボードジャパンソングスチャートはトップ10に3曲が初めて登場。フィジカルセールス初加算に伴いチャートを制したジャニーズWEST「サムシング・ニュー」については昨日紹介しています。

そして2位には藤井風「きらり」が初登場。自己最高位を更新しました。

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【ビルボード最新動向】ジャニーズWEST「サムシング・ニュー」のルックアップをどう捉え、次に繋げるか

毎週木曜は、前日発表されたビルボードジャパン各種チャートの注目点を紹介します。

5月3~9日を集計期間とする5月12日公開(5月17日付)ビルボードジャパンソングスチャート(Hot 100)。ジャニーズWEST「サムシング・ニュー」がフィジカルセールス初加算に伴い首位を獲得しました。

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【マイベスト】2021年4月の私的トップ10ソングス、選びました

昨年1月からはじめている【私的トップ10ソングス+α】企画、今回は2021年4月分です。前の月にリリースされた曲を中心に、しかしその縛りは出来る限り緩くした上で選んでみました。ミュージックビデオ等動画がない曲は巻末のプレイリスト(Spotify)でチェックしてみてください。

過去の私的トップ10ソングス、および2020年上・下半期の邦楽ベストソングスについてはこちらに。ちなみに個人的に毎回チェックしているプレイリストは現時点において主に、New Music WednesdayNew Music Friday JapanNew Music FridayおよびMonday Spinとなっています。

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(訂正あり)【海外ビルボード】「Save Your Tears」米2連覇&リル・ナズ・Xがグローバルを制す

(※訂正(13時57分):米ビルボードが日本時間の本日12時台にチャートの訂正を実施しました。ダウンロードの訂正に因るもので、それに伴いザ・キッド・ラロイ & マイリー・サイラス「Without You」が10→8位、リル・ナズ・X「Montero (Call Me By Your Name)」が8→9位、ビリー・アイリッシュ「Your Power」が9→10位に変更となりました。なおこの訂正についてはチャート予想者がいち早く気付きツイートしていますが、米ビルボードでは訂正した旨のツイートを現段階までに行っておらず、その点を疑問に抱いたことを表明します。)

(※訂正(16時25分):米ビルボードが本日夕方までにグローバルチャートの訂正を実施しました。同じくダウンロードの訂正に因るもので、数値を訂正しています。また記事の最後には、米ビルボードソングスチャートについては『UPDATE: The Hot 100 dated May 15 has been updated with new numbers.』、グローバルチャートについては『UPDATE: The Billboard Global 200 and Billboard Global Excl. U.S. charts dated May 15 have been updated with new numbers.』と、訂正アナウンスが記載されています。)

(※訂正(5月12日5時34分):米ビルボードソングスチャートトップ10の画像が訂正されましたので、訂正版を貼付しました。)

(※追記(5月23日5時57分):グローバルチャートの記事(米ビルボードによるツイート)を追加しました。)

 

 

 

ビルボードソングスチャート、現地時間の5月10日月曜に発表された最新5月15日付ソングスチャート(Hot 100)。ザ・ウィークエンド & アリアナ・グランデ「Save Your Tears」が2週連続で首位を獲得しました。

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【ヒットの予感】Mステ紹介のブレイク候補曲&メディアの”青田買い”シフト

5月9日放送の『ミュージックステーション』(テレビ朝日)の企画の切り口が興味深かったのでメモ。

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米ビルボードがTwitter関連チャートを新設…日本のTwitter指標はどうすべきか

ビルボードジャパンソングスチャートを構成する指標のひとつであるTwitterは総合順位との乖離が大きいことから、個人的にはこの指標の除外を含め検討する必要があると幾度となく記載してきました。この指標に今後、大きな変化が生まれるかもしれません。

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