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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

【ビルボード最新動向】ジャニーズWEST「サムシング・ニュー」のルックアップをどう捉え、次に繋げるか

毎週木曜は、前日発表されたビルボードジャパン各種チャートの注目点を紹介します。

5月3~9日を集計期間とする5月12日公開(5月17日付)ビルボードジャパンソングスチャート(Hot 100)。ジャニーズWEST「サムシング・ニュー」がフィジカルセールス初加算に伴い首位を獲得しました。

前作「週刊うまくいく曜日」に続く今年度2曲目の首位を獲得したジャニーズWEST「サムシング・ニュー」。注目は、前作が初週フィジカルセールス227,615枚で27,244ポイントを獲得したのに対し今作では211,396枚/28,963ポイントという点。前作と今作の間にチャートポリシーが変更され、フィジカルセールスやTwitter指標のウェイトが下がっている中で、このポイント増は注目に値します。

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2曲の首位獲得週におけるチャート構成比をみれば、「サムシング・ニュー」はフィジカルセールス(黄色で表示)がダウンした一方でルックアップ(オレンジ)が大きくなっています。ルックアップはおよそ25→40%とシェアを拡げているのです。またラジオ(緑)も前作が100位未満(300位圏内)→23位となりポイントやシェアを伸ばしています。

 

ルックアップに関しては昨夜配信したポッドキャストBillboard Top Hits】第65回でも触れていますが、チャート分析や予想を手掛けるあささんが具体的に指摘されています。

(引用させていただきました。問題があれば削除いたします。)

ルックアップはCDをパソコン等に取り込んだ際にインターネットデータベースのGracenoteへアクセスされる回数を指し、売上枚数に対する実際の購入者数(ユニークユーザー数)、そしてレンタル枚数の推測を可能とします。ジャニーズWESTジャニーズ事務所所属歌手の中でも珍しくシングルCDのレンタル解禁を17日後に設定しており、最新チャートでは「サムシング・ニュー」のルックアップにレンタルは加味されません。

ゆえに今作におけるルックアップの増加をユニークユーザー数の増加ゆえとみることができますが、一方でファンによる活動の強化とみることも可能でしょう。「サムシング・ニュー」は大型連休中の5月5日リリースでしたが、仮にフラゲ日が最新チャートの集計期間前(5月2日まで)となるならばルックアップは前週(5月5日公開(5月10日付))に回るので気をつけてほしいというツイートがみられました(ちなみにそのツイートで参照していたのが、ルックアップに関する自分のブログエントリーでした→こちら)。これはルックアップをフィジカルセールス加算初週にきちんと加算させ、「サムシング・ニュー」のポイントをより伸ばしたいとするファンの気遣いと思われます。

近年のジャニーズ事務所所属歌手のシングルにおけるルックアップは大きく伸びている印象がありましたが、あささんのツイートがそれを裏付けるに十分です。他にもルックアップの重要性を同事務所所属の各歌手のファンの方々が共有しているのをみるに、コアなファンがきちんと取り込みを行っていること(や、それを推しの歌手のチャートアクションのさらなる強化につなげる一環として行っていること)を想像することが可能です。

 

一方で、初週のルックアップの高さは翌週以降のポイント急落をより大きくさせないかという懸念があります。ジャニーズWESTの前作「週刊うまくいく曜日」は首位獲得の翌週にはポイント前週比10.5%、39位に後退しています。

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今年度の首位獲得曲における翌週の順位、ポイントおよび前週比は上記表の右側に掲載。首位獲得の翌週に50位を下回った曲はポイントおよび前週比不明につき前週比10%未満の可能性がありますが、その3曲を除けば「週刊うまくいく曜日」のポイント前週比が最も低くなっています。レンタルに伴うルックアップの加算開始が2週後(そしてこの週は土日2日分のみが加算)となれば、それまでに勢いをキープできるかが課題。仮にファンの取り込みが徹底されたことによるルックアップ増加である場合、2週目以降もルックアップが高く推移しなければ「サムシング・ニュー」は次週、ポイントを9割以上落とす可能性もあるのです。

 

 

【フィジカルセールス加算初週に急上昇し首位を獲得した曲は2週目の動向で真の社会的ヒットかを見極める必要がある】と幾度となく述べています。そして【フィジカルセールス加算2週目のポイント前週比が3割を超えるならば社会的ヒットに至る可能性がある】と考えます。上記表を見れば、フィジカルセールスを武器に首位を獲得した曲の多くがロングヒットに至れていないことが見て取れます。

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その点で言えば、前週首位のJO1「Born To Be Wild」もロングヒットは難しいと言えます。カラオケ以外の各指標をまんべんなく取り込み、また3指標でトップ10入りとなりながらも21位に後退しています。

前週記した予想は当たっており、特にストリーミングと動画再生という接触指標群が強くなくフィジカルセールスのダウンを補完できなかったことが失速の原因と言えます。とはいえストリーミング指標(青で表示)が100位未満(300位圏内)ながらもチャート構成比の1割以上を占めていることを踏まえれば、如何にこの指標が大きなポイント源になるかは自明であり、コアなファンが聴き続けることは勿論のことライト層への浸透こそ大きな課題であることは間違いないでしょう。

 

さて今週、フィジカルセールスは総じて大きくダウンしています。

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連休中で新譜が少なかったこともあるでしょうが緊急事態宣言下で実店舗を閉めざるを得ない現状が大打撃となり、フィジカルセールス10位および50位共に今年度最低を記録しています。その中にあってジャニーズWEST「サムシング・ニュー」の初週セールスが前作の92.9%というのは、好調をキープした証拠と言えるかもしれません。コアなファンの購入もさることながら、あいみょんさん提供曲(さらに初回盤AのカップリングにはSUPER BEAVERの柳沢亮太さんが提供した「僕らの理由」が収録され、こちらも『ミュージックステーション』(テレビ朝日)で初披露)ということでライト層にも届いたと捉えることも可能です。前作「週刊うまくいく曜日」はサンボマスター山口隆さんが手掛け、且つ『CDTVライブ!ライブ!』(TBS)で共演を果たしたこともあり、ジャニーズWESTのロックアプローチがより広く認知されてきている、その結果としてのフィジカルセールス好調やルックアップ増加とも言えそうです。

 

ならばそのリーチは、レンタル解禁が発売の3日後だったならばルックアップのさらなる増強へ、デジタル解禁していたならばテレビ出演直後にダウンロード急増そして評判を受けてストリーミング指標増加へと、ライト層を巻き込むことでより大きな影響を及ぼしたのではないかと考えます。デジタル解禁は決してフィジカルセールスを大きく阻害するものではなく共存可能と考えるゆえ、デジタル解禁で3万ポイントの大台に乗せることやフィジカルセールス加算2週目の急落防止にもつながるはずです。今作がライト層獲得につながったと考えるならば、その好機を次作でのデジタル解禁という決断につなげてほしいと願っています。