(※追記(5月17日16時43分):ビルボードジャパンはソングチャートの記事リンクが掲載されたX(旧Twitter)上のポストを、記事の訂正に伴い削除しました。それを踏まえ、このブログエントリーでも再度ポストされた分に差し替えを実施しています。)
最新5月15日公開分(集計期間:5月6~12日)のビルボードジャパンソングチャートはCreepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」が2週連続、通算15週目となる首位を獲得しています。
通算15週目の首位を獲得した「Bling-Bang-Bang-Born」について、ビルボードジャパンはこのように紹介しています。
本作は、今週で通算15度目の首位を獲得。通算首位獲得記録は史上2位で(1位はYOASOBI「アイドル」の22回)、ダウンロードとストリーミング、動画再生、カラオケの4指標で1位となり本チャートを制した。いずれのポイントも前週より減少しているが、ダウンロードは前週比91%、ストリーミングは88%、ラジオは74%、動画は87%、カラオケは87%といずれも微減に留めている。
【ビルボード】Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」通算15度目の首位、&TEAM「五月雨 (Samidare)」が続く(5/17訂正) https://t.co/7g6InTIjmn
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2024年5月17日
ビルボードジャパンでは"微減"と紹介している一方で、所有指標よりも接触指標のダウン幅が大きい状態から"下落幅が小さくない"と感じたというのが率直な私見です。
前週および当週は大型連休期間に該当し、前週は平日が3日、当週は同4日という状況。ストリーミング指標の基となる再生回数(ビルボードジャパンの記事でもこの再生回数における比率を掲載)は平日よりも土日祝日のほうが伸びる傾向にあるため、平日の多い当週のほうがダウンすることは自然なことです。しかしながらその再生回数比率において、Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」は下落幅が比較的大きくなっています。
当週におけるビルボードジャパンStreaming Songsチャートトップ10ランクイン曲はいずれもロングヒット、またはロングヒットが見込める作品で占められていますが、Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」はYOASOBI「アイドル」と同じ8割台となっています。また総合ソングチャートのポイント前週比においても2曲共に8割台となっている点を注目しています。
(なお、総合ソングチャートのポイント前週比が最も小さいMrs. GREEN APPLE「ライラック」(当週4位)は前週ラジオ指標が大きく上昇しており、その反動が表れた形です。前週ついては【ビルボードジャパン最新動向】「BBBB」首位返り咲き、「ライラック」1万ポイント超え…大型連休効果を考える(5月9日付)にて紹介しています。またポイント前週超えを果たしたaiko「相思相愛」はフィジカルセールス指標初加算となります。)
Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」およびYOASOBI「アイドル」はいずれも社会的ヒットと成った曲であり、その背景に"活用"でのヒットがあることをこのブログにて記しています。
ソングチャートの構成指標であるカラオケ、また構成指標ではないもののTikTokやUGC("歌ってみた"や"踊ってみた"に代表されるユーザー生成コンテンツ)での人気が総合ソングチャートにおける大ヒットにつながると捉えており、実際「Bling-Bang-Bang-Born」や「アイドル」はこれらにおいて強さを発揮していました。
興味深いのは、デイリー200位までの再生回数が可視化されるSpotifyの動向において、「Bling-Bang-Bang-Born」が平日から土日祝日にかけての上昇幅がとりわけ大きいこと。たとえば行楽に向かう際のドライブ、また運動会の行事等にてこの曲が用いられていることの表れと捉えています。ヒップホップジャンルでは珍しくソングチャートのカラオケ指標を制したのも、このことが一因ではないでしょうか。
ゆえに、集計期間における平日が3日→4日となった当週のソングチャートにおいてCreepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」のダウン幅が大きくなったのは自然なことだと捉えています。同曲はTikTokチャート(TikTok Weekly Top 20)で2→3位に、またYOASOBI「アイドル」はソングチャートのカラオケ指標で4→6位に後退。活用も背景に大ヒットした曲は、その一方で下落幅が大きくなるということを実感した次第です。
では次週はどうなるでしょう。5月22日公開分においては集計期間が5月13日からの1週間となり、平日は5日となります。ゆえに全体的なポイントは下がるものと思われ、Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」はポイントの下落幅を1割以内に抑えられるかが総合首位キープの鍵ではないかと捉えています。
次週はSTARTO ENTERTAINMENTに社名変更後初のフィジカルデビューを果たしたAぇ! group「《A》BEGINNING」がソングチャート初登場予定。同曲はフラゲ日である5月14日火曜の段階でハーフミリオンを大きく超えるセールスを記録しています。
【先ヨミ速報】Aぇ! group『《A》BEGINNING』フラゲ日でハーフミリオン突破 https://t.co/vBEnG7Wn3c
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2024年5月15日
"CDデビュー"を謳い様々なメディアに出演、また自身のラジオ番組を関西ローカルながら2つ抱える(ひとつは隔週ながら次週の集計期間においては番組を担当した)こともありラジオ指標も大きく伸びるでしょう。動画再生指標次第では1万ポイントを超える可能性も考えられ、Creepy Nuts「Bling-Bang-Bang-Born」を追い越すかもしれません。
(Snow Manの直近のフィジカルシングル「LOVE TRIGGER」は12,458ポイントを記録しています(【ビルボードジャパン最新動向】Creepy NutsとSnow Man、双方ともポイントを伸ばせただろうことについて(2月22日付)参照)。122万ものセールスが主要因ですが、ビルボードジャパンはフィジカルセールス指標に係数処理を行うことから他指標のカバーがあればAぇ! group「《A》BEGINNING」は1万ポイント超えも狙えると考えます。)
他方、現時点で「《A》BEGINNING」はデジタル未解禁ゆえロングヒットは難しいと思われます(私見と前置きしますが、YouTube公開のミュージックビデオにて"Streaming Ver."と記したのはデジタル未解禁が決まっていたゆえ、と腑に落ちた次第です)。ロングヒット曲はポイント全体に占めるストリーミング指標の割合が過半数になるという前提を踏まえ、サブスク未解禁の同曲がソングチャート最上位に就くかに注目しましょう。