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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

【ビルボード最新動向】藤井風「きらり」が2位…躍進の理由、およびロングヒットにつながる施策と”希望”

最新5月12日公開(5月17日付)ビルボードジャパンソングスチャートはトップ10に3曲が初めて登場。フィジカルセールス初加算に伴いチャートを制したジャニーズWEST「サムシング・ニュー」については昨日紹介しています。

そして2位には藤井風「きらり」が初登場。自己最高位を更新しました。

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「きらり」はダウンロードおよびラジオを制し、カラオケ以外の5指標で30位以内にランクイン(フィジカル未リリースにつきフィジカルセールスおよびルックアップはカウント対象外)。前作「旅路」が3月10日公開(3月15日付)で初のトップ10入りを果たした藤井風さんですが、勢いの凄まじさを感じずにはいられません。

前作「旅路」が総合10位スタートとなった藤井 風は、今作「きらり」で自己最高となる総合2位スタート。両楽曲の初週を比較すると、ダウンロードは前作24,337DLで今作は38,418DL、ストリーミングでは前作2,494,342再生で今作は5,071,563再生と、今年に入り確実に知名度を拡大させている。

ストリーミングはトップ10入りを逃しながらも、こちらも好調に推移。

当週12位で初登場したのは、藤井 風が5月3日にリリースした「きらり」。Honda「VEZEL」の新テレビCMのために書き下ろされた新曲で、CMは4月22日から全国オンエアがスタートしている。これまで当チャートにおける藤井の最高位は、3月10日公開チャートで「旅路」がマークした43位で、今回大きく自己最高記録を更新した。

そしてラジオでは、「旅路」で果たせなかった首位の座に就いています。

Honda「All-New VEZEL e:HEV」CMに書き下ろした同曲は、5月3日のデジタル配信リリースと同時にラジオ解禁されると各局がオンエアを開始。パワープレイ選出が無いなかオンエア数は純増し、結果9割を超えるオンエア獲得ステーション率でFM/AM問わず全国範囲へ広がりをみせた。人気車種のCMタイアップに相応しい爽やかなグルーヴはラジオとの相性もバツグンで、楽曲自体の魅力もオンエア伸長に大きく影響したことだろう。さすがの注目度と楽曲パワーの相乗効果により、さっそく多数のリクエストも集まっている。

(このプランテックのOA回数データはビルボードジャパンのラジオ指標の基となりますが、ビルボードジャパンでは指標化の際に対象局の聴取可能人口等を加味するため、OA回数データとラジオ指標では順位が異なります。)

 

 

ビルボードジャパンもプランテックも、CM効果が大きいとしてタイアップ先を記載しているのが特徴。このタイアップを含めた3点について、【ヒットの予感】として前週ブログに記しました。

楽曲リリースに至るまでの認知度の絶え間なき上昇、タイアップによる箔付け、音楽フェスやYouTube配信で見せつけた非凡な才能…これらが藤井風「きらり」を押し上げるものと記載しましたが、まさにその通りになりました。加えてリリースが月曜だったことで集計期間をフル活用できたのも大きいと言えます。

 

 

この勢いはアルバム『HELP EVER HURT NEVER』にも波及していると言えるでしょう。

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『HELP EVER HURT NEVER』は登場51週目にして14→6位となり、昨年8月26日公開(同年8月31日付)以来となるトップ10返り咲きを果たしています。またダウンロード指標は2位に入り、アルバムが初登場を果たした昨年5月27日公開(同年6月1日付)と並びました。尤も初登場時はフィジカルセールス20,737枚、ダウンロード2,587DL(共に2位 総合1位)でしたが、最新週はフィジカルセールス1,773枚(同指標7位)、ダウンロード692DL(同指標2位)と、数字的には大きく異なります。フィジカルセールスについては連休中で新譜が少なかったことに加えて緊急事態宣言下で実店舗を閉めざるを得ない状況のため全体的な売り上げはダウンしていますが、それが旧譜に有利に働いたと言えます。

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アルバムチャートが全体的に低調だったとはいえ、トップ10返り咲きは立派な記録であることは間違いありません。

 

 

気になるのは「きらり」の今後の動向。ダウンロードはフィジカルセールスほど急落には至らないとしても、所有指標ゆえ初動型と言えます。ゆえに今後はストリーミングや動画再生指標で好調をキープしロングヒットの条件に近づけていくかが焦点となります。

現在のチャートにおけるロングヒットの条件はストリーミング指標5割以上、動画再生指標およそ10%以上と言えるでしょう。

藤井風「きらり」は未だミュージックビデオが公開されていません。VEZEL e:HEVのブランドムービーがある程度補っていると言えるかもしれませんが、ミュージックビデオを公開すれば動画再生指標(やそこから流れ着くストリーミング指標等)が押し上がるため、この公開タイミングが気になります。

また、『HELP EVER HURT NEVER』初回限定盤に同梱され、長らく手に入らない状態となっていたカバー集『HELP EVER HURT COVER』が5月20日に復刻されます。藤井風さんの原点と言えるカバー作品群に触れたいけれど手に入れられなかった方にとっては垂涎の作品であり、サブスクも解禁されれば「きらり」等の再生回数増加に波及するでしょう。

 

そして、ここまで”藤井風熱”が高まるとなれば、テレビ出演がいつになるかが注目されます。藤井風さんは『報道ステーション』(テレビ朝日)でテレビ初出演&生歌唱を果たしていますが、地上波の音楽番組には未だ登場していません。たとえばカバーアルバムが復刻される週に2時間特番が組まれる『ミュージックステーション』(テレビ朝日)へ出演するならば、より大きなバズが生まれるのではないでしょうか。生パフォーマンス披露を強く希望する方はファンならずとも多いはずです。

 

無論、テレビ出演は藤井風さん側の裁量に任されていますが(おそらく様々なテレビ番組が出演をオファーしているはずです)、出演するならば今月が最適ではないかと思われます。テレビ出演は接触指標群もですがそれ以上に所有指標を動かします。最新5月12日公開(5月17日付)ビルボードジャパンソングスチャートでは優里「ドライフラワー」が、『めざまし8』(フジテレビ)出演効果が起爆剤となりサブスク再生回数前週比103.4%、ダウンロードに至っては同237.0%を記録し、総合でも5→3位に上昇しているのです。

 

待望のテレビ音楽番組出演が叶うならば、「きらり」や『HELP EVER HURT NEVER』およびカバー集『HELP EVER HURT COVER』の実績につながり、そして来たるべきセカンドアルバムへの期待も高まることは間違いないでしょう。