今回はDREAMS COME TRUEの音楽チャート動向を採り上げます。というのも、先週公開したエントリーにて紹介したMr.Childrenと共通点を有しながら、そのチャート動向が大きく異なるためです。
DREAMS COME TRUEは3月18日にアルバム『THE BLACK ◯ ALBUM』を、Mr.Childrenはその翌週にアルバム『産声』をリリースしました。共にキャリア30年以上を誇るベテラングループ/バンドであり、いわゆるCDバブル期にヒット曲やアルバムを連発した両名が、同じ3月に最新のオリジナルアルバムを発表しています。
【ビルボード】ストリーミング1億回突破曲一覧更新しました!https://t.co/Th1otVlk8K https://t.co/AoD6jipx5H
— Billboard JAPAN(ビルボードジャパン) (@Billboard_JAPAN) 2026年4月7日
さらなる共通点として、ビルボードジャパンによる最新のストリーミング1億回再生記録曲一覧にて双方が複数の作品を輩出しているのみならず、DREAMS COME TRUEは「大阪LOVER」(2007)、Mr.Childrenは「HANABI」(2008)という2000年代後半のリリース曲が各歌手における最多再生回数を誇っているという点が挙げられます。サブスク時代にあって、CDバブル期後のリリース曲が最も多く聴かれているのは興味深い現象です。
他方、最新アルバムのリリース方法は大きく異なります。DREAMS COME TRUEの最新アルバム『THE BLACK ◯ ALBUM』はフィジカルのみでリリース(ブログエントリー公開日時点でサブスクのみならずダウンロードも未解禁のままです)。他方、Mr.Childrenは最新アルバム『産声』にて初のフィジカル/デジタル(サブスク含む)同時解禁に至っています。
【特集】
— 音楽ナタリー (@natalie_mu) 2026年3月9日
DREAMS COME TRUEの
CD ファースト チャレンジ!
中村正人×映秀。×野村ケンジが紐解く
「THE BLACK ◯ ALBUM」を
CDでリリースする理由💿https://t.co/vVJVs3lhoK#ドリカム #THE_BLACK_ALBUM pic.twitter.com/7Ubg8pCXCQ
本日付 #イマオト、ChatGPTで要約。
— Kei (ブログ【イマオト】/ポッドキャスト/ラジオ経験者) (@Kei_radio) 2026年4月3日
・Mr.Childrenがビルボード主要チャートで好成績
・アルバム『産声』が総合2位を記録
・楽曲「Again」がチャートで再び注目
・ストリーミングが好調で全体順位を後押し
・配信展開が幅広いリスナー層にリーチ
・ロングヒットにつながる動きhttps://t.co/k5e1B8qrCI
最新4月1日公開分のビルボードジャパンアルバムチャートではMr.Children『産声』が初登場、そしてDREAMS COME TRUE『THE BLACK ◯ ALBUM』は登場2週目となります。


(上記CHART insightは有料会員が確認可能なもので、20位未満の指標順位も明示されています(ビルボードジャパンでは有料会員が知り得る情報の掲載を許可しています)。また、以下に紹介するCHART insightも同様に、有料会員が確認可能なものとなります。)
最新チャートでは『産声』が2位に初登場した一方、前週10位初登場の『THE BLACK ◯ ALBUM』は100位未満へ後退。後者はフィジカルセールスは39,166→6,510枚と推移しながら、上記CHART insightにおける累計ポイント構成比から解るようにダウンロード(紫で表示)やストリーミング(青)が未加算となり、総合にて急落した形です。『産声』はストリーミング指標が高く、次週上位をキープする可能性が高いと考えられます。
無論、最新アルバムチャートにおいては収録曲のソングチャートにおけるヒットも影響します。Mr.Childrenは「Again」が2か月以上ランクインしていたことも『産声』において大きいかもしれませんが、その最新アルバム収録曲のみならず先程紹介した2曲の最新ソングチャート動向からもみえてくることがあります。


最新4月1日公開分ビルボードジャパンソングチャートにて各歌手最多のストリーミング再生回数を誇る2曲のCHART insightをみると、ストリーミング指標がMr.Children「HANABI」では100位未満ながらも300位以内に入り加点され続けている一方、DREAMS COME TRUE「大阪LOVER」は300位未満に後退することが少なくありません。特にアルバム初登場週は加点されるもその前後で未加点となっています。
Mr.Children「HANABI」は最新チャートでストリーミング指標100位以内に上昇したわけではないものの、新曲の登場が過去作品をフックアップしたことは最新4月1日公開分のアルバムチャートからも解ります(『I ♥ U』(2005)が71→61位、『HOME』(2007)が77→66位となり、共にストリーミング指標が牽引)。そしてソング/アルバムチャートを合算したトップアーティストチャートにおいてもストリーミング指標の上昇が確認できます。


一方でDREAMS COME TRUEは、『THE BLACK ◯ ALBUM』が初登場した3月25日公開分のアルバムチャートにて他の作品が100位以内に達していません。直近のトップアーティストチャートにおける動向(アルバム初登場週にストリーミングが加点されるもその前後は同指標300位未満)も踏まえるに、聴取行動が最新アルバムから過去作品へ、またフィジカルからデジタルへ波及しているとは言い難いのではというのが自分の見方です。
今回のエントリー前半にて提示した、『THE BLACK ◯ ALBUM』がフィジカルのみでリリースされたことを伝える音楽ナタリーの記事では、インタールードについて触れている箇所があります。このインタールードという発言から想起したのが、直近2週続けてアルバムチャートを制したBTS『ARIRANG』。「2.0」と「SWIM」の間に、韓国の国宝である聖徳大王神鐘の音を用いたインタールード、「No.29」が収録されています。
このインタールードが、『ARIRANG』リリース後初の1週間フル加算となった4月1日公開分のビルボードジャパンソングチャートで総合95位に登場した意義は大きいと考えます。冒頭で鐘の音が響くもその後1分以上静寂が続くこのインタールードは、ともすればスキップされてもおかしくありません。「No.29」は収録曲中最も順位が低かったものの、チャート結果はアルバムをスキップせず聴いた方の多さを示すといえるでしょう。
デジタル時代にアルバムとして聴かれないとの懸念を耳にしますが、しかしながらサブスク時代だとしても”アルバムを通しで聴く”ユーザー(リスナー)を信じるべきではないでしょうか(自身の思い通りに聴かれなかったとしてそれに否定的になるとしたらそれも違うでしょう)。最善はデジタルをきちんと解禁し、コアファンに成り得るライト層を拡げ(または以前のファンを引き戻し)、最終的に通しで聴く方を増やすことだと考えます。
アルバムを通して聴くというサブスク利用者もいれば、好きな曲だけ聴くというCD利用者もいるはず。なぜこれらの方々を(あまり)考慮しないのでしょう。
— Kei (ブログ【イマオト】/ポッドキャスト/ラジオ経験者) (@Kei_radio) 2026年3月9日
そして、このようなデジタル後発が今の日本で未だ多いことが世界の音楽ファンにとってどう思われるか、考える必要があるのではないでしょうか。 https://t.co/etqsc6QIJe
たとえば山下達郎さんや中島みゆきさん、ザ・クロマニヨンズ等は全くもしくは大半をデジタルで解禁していません。またDREAMS COME TRUEやB'z等、フィジカル先発/デジタル後発を採る歌手も少なくありません。そのような姿勢は国内の若手歌手にも影響を及ぼすだろうと考えるに、デジタルの完全解禁、またデジタルサービスに問題があれば率先して議論のテーブルにつくことこそがベテランの理想の姿ではないでしょうか。
