今年初開催された音楽賞、MUSIC AWARDS JAPANは5月21日にPremiere Ceremony、5月22日にはGrand Ceremonyが開催され、後者は一部を除きNHK総合で生放送が実施。他方、5月19日には演歌・歌謡曲部門の最優秀楽曲賞授賞式が開催され、NHK総合ではなくテレビ東京やBSテレ東で後日放送されています。
その 『MUSIC AWARDS JAPAN 2025 演歌・歌謡曲 LIVE[最優秀演歌・歌謡曲楽曲賞 授賞式]』が先週、YouTubeで公開されています。注目は、日本でも視聴可能という点です。
MUSIC AWARDS JAPAN 2025
— MUSIC AWARDS JAPAN公式 (@MAJ_CEIPA) 2025年7月17日
演歌・歌謡曲LIVE[最優秀演歌・歌謡曲 楽曲賞 授賞式]
YouTubeで配信開始🎉
錚々たるアーティストによる
華やかな祭典をお楽しみください!https://t.co/965tWxvT3J#MAJ2025 #MUSICAWARDSJAPAN pic.twitter.com/i2TeZlTaXK
『MUSIC AWARDS JAPAN 2025 演歌・歌謡曲 LIVE[最優秀演歌・歌謡曲楽曲賞 授賞式]』のレポートは、下記リンク先をご参照ください。
実はMUSIC AWARDS JAPANのPremiere CeremonyおよびGrand Ceremonyについては開催から1ヶ月以上遅れる形で配信がスタートしていますが、しかしYouTubeでの公開は海外限定となっています。
◤ #レミノ でアーカイブ配信開始 ◢
— Lemino|レミノ (@Lemino_official) 2025年6月24日
国内最大規模の音楽賞🏆
《 MUSIC AWARDS JAPAN 2025 》が見放題!
レッドカーペットから授賞式、
ライブパフォーマンスまでを全網羅⚡
>> https://t.co/jlleHuLaFn
この機会をお見逃しなく👀#MUSICAWARDSJAPAN #MAJ2025 @MAJ_CEIPA pic.twitter.com/Jz4bgxd6lP
国内向けにMUSIC AWARDS JAPAN Premiere&Grand Ceremonyを配信するLeminoは同賞のゴールドパートナーであるNTTドコモが提供するサービスゆえ、配信においてスポンサーへの配慮が最優先になっていると考えるのは自然なことでしょう。しかしここ数年の音楽業界の変化が芸能事務所枠やフィジカル/デジタルの垣根を超えること、いわば保身の排除によって生まれていると考えれば、今回の配慮にはやはり違和感を抱きます。
その旨は上記エントリーでも述べており、MUSIC AWARDS JAPANや運営するCEIPAに対しては来年以降の改善を強く願います。一方で、MUSIC AWARDS JAPANが演歌・歌謡曲部門を今回国内向けにも公開したのならば、演歌・歌謡曲の魅力を動画を介して伝えることに徹することを願います。演歌・歌謡曲ジャンルのデジタル発信の徹底は急務と考えるため、尚の事です。
時代に即して変化を続け、デジタル(主に接触)の人気を可視化したことでビルボードジャパンソングチャートが社会的ヒット曲の鑑となった一方、演歌・歌謡曲ジャンルは未だフィジカルセールスにこだわり続けている(ように映る)状況です。上記エントリーで掲載したCHART insightからも解るように、フィジカル複数種リリースを複数回行うという演歌・歌謡曲界のリリース施策に伴い、フィジカルセールスの波が目立っています。
しかし、現在の音楽業界で演歌・歌謡曲界発のヒット曲は生まれているでしょうか。たとえば坂本冬美「また君に恋してる」(2009)はヒットしながらもジャンルとしては演歌と異なるため、やはり演歌・歌謡曲発のヒットとなると厳しいというのが率直な私見です。
演歌・歌謡曲を好む中高年層はデジタルに疎い等の問題はあるとして、一方では演歌・歌謡曲歌手が登場する番組(主に『うたコン』(NHK総合))での同ジャンル歌手の出演割合は減少、そしてCDショップ(実店舗)自体も減少しています。それらを踏まえ、MUSIC AWARDS JAPANが演歌・歌謡曲の火を絶やしてはならないと考え、それに基づき国内向けにもYouTubeを公開したならば尚の事、この動画公開を活用すべきでしょう。
そこで、実験的な意味合いとして、今回の 『MUSIC AWARDS JAPAN 2025 演歌・歌謡曲 LIVE[最優秀演歌・歌謡曲楽曲賞 授賞式]』でのパフォーマンス映像を、各歌手の公式YouTubeチャンネルに(できる限り無償で)貸与することを提案します。たとえばグラミー賞やアメリカン・ミュージック・アワードではそれが自然なことであり、後者でのアレックス・ウォーレン「Ordinary」の映像貸与は今年における最良の例です。
仮に歌手側に映像を貸与しても、ビルボードジャパンソングチャートにおける動画再生指標が300位以内に入り加点される可能性は低いかもしれません。しかし貸与の実例を用意し、実績が生まれるならば尚の事、演歌・歌謡曲がデジタルに明るくなったと感じる方は増えるでしょう。ライト層の増加のみならず、既に演歌・歌謡曲ジャンルのファンがデジタルに触れるという機会も増えるはずです。
MUSIC AWARDS JAPANや運営するCEIPA側には映像貸与を提案しますが、演歌・歌謡曲も世界に誇れる日本の音楽ならば、本来はPremiereもしくはGrand Ceremony内で最優秀演歌・歌謡曲楽曲賞を発表するほうがより好いと考えます。また演歌・歌謡曲部門のジャンル分けにはオリコンやUSENのデータが用いられますが、この部門でデジタルヒットが生まれ、ビルボードジャパンのデータを基にするようになることを願います。