イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

ORANGE RANGE、『KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ』…最新アルバムチャート上位作品の動向に注目する

最新7月16日公開分のビルボードジャパンアルバムチャートはMrs. GREEN APPLE『10』が首位初登場。ストリーミング指標が組み入れられて以降初めて、構成3指標すべてで首位を獲得しています。

一方で当週のアルバムチャートトップ10には、他にも注目の作品が並んでいます。

(7月16日公開分ビルボードジャパンアルバムチャート、総合10位までにおける指標構成を示したCHART insightを上記に。こちらは有料会員が確認可能なもので、20位未満の指標順位も明示されています。なお、ビルボードジャパンでは有料会員が知り得る情報の掲載を許可しています。今回のエントリーで採り上げる各作品のCHART insightも同様に、有料会員が確認可能なものとなります。)

 

 

10位にはジャスティン・ビーバー『Swag』が初登場。ダウンロード(CHART insightでは紫で表示)、ストリーミング(青)の2指標が共に9位をマークした同作品は、集計期間5日目の13時にデジタル解禁。サプライズ的な形でのリリースだったのですが、ともすればそのサプライズが注目度を高めることにつながったのかもしれません。『Swag』はK-POPを除く洋楽の注目度の高さを示したともいえるのではないでしょうか。

 

 

9位には『Kpop Demon Hunters (邦題:KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ)』サウンドトラックが登場。初の1週間フル加算時に総合100位以内に初登場したこの作品は、44→17→9位と推移し当週初のトップ10入り。注目はストリーミング指標の高さであり、この3週で45→12→8位と推移しています。

『Kpop Demon Hunters』サウンドトラックおよび収録曲は海外で既にヒットのフェーズへと突入しており、最新7月19日付米ビルボードアルバムチャートでは2位に上昇。また収録曲のうちイジェ、オードリー・ヌナおよびレイ・アミが歌唱キャストを務めるハントリックスによる「Golden」は、米ビルボードによるふたつのグローバルソングチャートで共に初の首位を獲得し、米チャートでも初のトップ10入りを果たしています。

他方「Golden」は、日本のSpotifyデイリーチャートで現時点において一度も100位以内に入っていないのですが、アルバムとして聴かれていることが今回のチャート動向、とりわけストリーミング指標の高さから読み取れます。

 

 

ORANGE RANGE『ALL the SINGLES』が22→7位に上昇。2015年6月に始まった総合アルバムチャートにおいて、2010年リリースのベストアルバムが今夏トップ10入りを果たした形です。

ORANGE RANGEについては前週のブログエントリーにて、前週のビルボードジャパン主要3チャート動向を紹介しました。そこから1週間後、ソングチャートでは「イケナイ太陽」(2007)が17→16位に上昇、またアルバムチャートではベストアルバムのみならず「以心電信」等を収録したオリジナルアルバム『musiQ』(2004)も68→46位に上昇しています。そしてトップアーティストチャートでは25→13位に至っています。

イケナイ太陽」は新たなミュージックビデオ公開がソングチャートでの上昇に寄与した一方、当週はストリーミング指標が53→30位に上昇しています。次週のチャートでは『ミュージックステーション SUPER SUMMER FES 2025』(テレビ朝日 7月18日放送)でのパフォーマンス、および同日22時のTHE FIRST TAKE公開も相まって、「イケナイ太陽」はソングチャートでトップ10入りを果たす可能性も十分です。

その流れがアルバムチャートにも波及することで、ORANGE RANGEは今夏の音楽シーンで特別な存在と成ることでしょう。『NHK紅白歌合戦』(NHK総合ほか)出場の可能性も高まるのではと考えます。

 

 

timeleszのデジタルコンピレーションアルバム『Hello! We're timelesz』が10→6位に上昇。ストリーミング指標が5→5位と安定しており、前週上位に進出した作品の後退に伴いこの作品が総合チャートで浮上できたものと捉えています。

timeleszは8人体制でのコンサートツアーを6月28日に開始しており、観客が予習復習の意味でチェックしていることがうかがえます。加えて現在ではSNSにてコンサート後の様子が確認できることも、聴取行動の刺激になっているのかもしれません。コンサートの話題性がチャートに反映された例としては、同じSTARTO ENTERTAINMENTに所属する山田涼介さんのアルバム『RED』(”Ryosuke Yamada”名義)が挙げられます。

『RED』の好調について紹介したエントリーでは、timelesz8人体制下での初のアルバム『FAM』がデジタル未解禁に伴いアルバムチャートで急落したことを紹介しています。しかしながら『FAM』は現時点でもデジタルを解禁しておらず、仮に公開されればデジタル後発ながらその初加算以降前週までストリーミング指標を制し続けたSnow Man『THE BEST 2020 - 2025』級に成る可能性はあったのではというのが自分の見方です。

 

前週総合首位を獲得したなにわ男子『BON BON VOYAGE』はtimelesz『FAM』同様にリード曲はフィジカルに先駆けて解禁しながら、しかしアルバム全体としてはデジタルを解禁せず、登場2週目となる当週は100位未満に急落しています。今週水曜にデジタルが解禁されたことで次週のチャートで復帰を果たすならば尚の事、timeleszは『FAM』のデジタル解禁に前向きになっていいのではないでしょうか。

 

 

Mrs. GREEN APPLE『10』の凄さが際立った最新7月16日公開分のビルボードジャパンアルバムチャートですが、総合トップ10内にランクインした作品の大半はストリーミングの上昇や安定が好調の要因となっています。昨年末以降にストリーミングが組み入れられて以降、ビルボードジャパンアルバムチャートはますます興味深い内容に成ったと感じています。