イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

(追記あり) MUSIC AWARDS JAPAN 2026 エントリー発表会開催…内容から抱いた違和感、および改善提案を記す

(※追記(3月24日7時40分):MUSIC AWARDS JAPANによる公式Xアカウントが、一部ポストについて削除した上で訂正版を投稿しています。それを踏まえ、このエントリーでも訂正版(→こちら)に差し替えています。)

 

 

 

MUSIC AWARDS JAPANの公式YouTubeチャンネルではエントリー発表会の模様が公開されています。今回は昨日開催されたエントリー発表会、そしてエントリー自体に関する自分の見方を記しますが、違和感が拭えないというのが率直な私見です。

 

<MUSIC AWARDS JAPAN 2026 エントリー発表会に関する違和感について>

 

① そもそもどのような形で発表するかが明確ではなかった

MUSIC AWARDS JAPANではX等にてエントリー発表までのカウントダウンを行っていましたが、当日はどのような形で発表するのか、生配信はあるのか等が明らかにならないままでした。

 

② 主催者側とメディア等とでの情報解禁時間がバラバラである

MUSIC AWARDS JAPAN実行委員会によるプレスリリースを上記に。こちらでは発表時間が昨日16時30分となっていますが、その前に発表されているものが少なくありませんでした(下記ポスト群参照)。メディアとの意思疎通が取れていないのではないかと感じた次第です。

ともすれば上記等は一般投票部門ゆえ、公式発表前の発信が許されているのかもしれませんが、やはり情報解禁時間は統一すべきと考えます。まして、エントリー発表会のメディア発信時間もバラバラであるのみならず、冒頭で紹介したMUSIC AWARDS JAPANの公式Xアカウントでもその発信が遅れています。下記は音楽賞を主催するCEIPAによるメディア、OTOMOによるアカウント発ですが、こちらも遅れている状況です。

 

③ ノミネートされる可能性のある歌手が登壇している

エントリー発表会では複数の歌手が登壇しており、特に昨年からヒットを続ける「好きすぎて滅!」を輩出したM!LKは、ノミネートにも至る可能性が考えられます。しかしながら、無論M!LKに限らずですがノミネートに至る可能性のある(さらにいえば可能性が高い)歌手を登壇させることは、MUSIC AWARDS JAPANがフェアではないと思われておかしくないのではないでしょうか。

 

④ ノミネートの前段階であるエントリーを発表する

ノミネート発表は4月30日であり、今回はその前段階であるエントリーの発表です。米グラミー賞が自薦方式でエントリーするのに対しMUSIC AWARDS JAPANは音楽チャート(その多くがビルボードジャパンに基づく)をエントリーの前提としていることからこのような発表が行われているだろうとは理解できても、しかしエントリー発表を行う必要はそもそもあるのだろうかということを強く感じています。

そしてこの発表会の存在が、昨年も散見された"エントリーをノミネートと勘違いする"方を増やすものと危惧します。実際、メディアでもこの勘違いはみられています。

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上記は昨日19時02分にポストしたものですが(ポストはこちら)、実はその後モデルプレスがタイトルを変更し、ポストを挙げ直しています。しかしながらタイトル変更や挙げ直しに関する言及は記事等にてみられません。

MUSIC AWARDS JAPAN側は、メディアでも発生している勘違いを起こさせないよう音楽賞の周知徹底を行うべきと考えます。

 

⑤ エントリーがチャートを重視しすぎている

日本レコード大賞が問題を解決することないまま続けていること(昨年の問題点は日本レコード大賞の結果に対する納得度の高さと、一方で全体的な違和感が拭えなかったことについて(2025年12月31日付)にて指摘)、世界に誇れる日本の音楽賞がなかったといえる状況を踏まえれば、MUSIC AWARDS JAPANが透明性を掲げて立ち上げられたことは非常に好いと考えます。

そのMUSIC AWARDS JAPANは先述したように、音楽チャート(主にビルボードジャパン)をベースにエントリー作品や歌手を決定します。ただし問題があることは否めません。

【エントリー作品について】

 今回発表されたのは延べ約2,000のエントリー作品・アーティストです。主要6部門では、最優秀楽曲賞に100曲、最優秀アーティスト賞に100アーティスト、最優秀ニュー・アーティスト賞に50アーティスト、最優秀アルバム賞に100作品、Best Global Hit from Japanに100曲、最優秀アジア楽曲賞に21曲が選ばれました。

(中略)

「MUSIC AWARDS JAPAN」エントリー作品を発表!「MUSIC AWARDS JAPAN 2026アンバサダー」に中島健人、畑芽育が決定 | MUSIC AWARDS JAPAN 実行委員会のプレスリリース - PR TIMES(3月19日付)より

主要部門のエントリー一覧をみると、最優秀アジア楽曲賞以外はエントリー対象期間内の順位と合致しているだろうと想起可能です(最優秀アジア楽曲賞においては世界的にヒットしたHUNTR/X(イジェ、オードリー・ヌナ & レイ・アミ)「Golden」が中段に登場していることから、チャート順位に即した掲載ではないと考えられます)。

投票権を有する方に対しどのようにエントリー一覧が提示されるかは解りかねますが、しかし上記のような掲載順で示されるならばチャートヒットの上位を重視しかねないものと危惧します。フラットな視野を持ちにくいのではないでしょうか。

 

もうひとつ。音楽チャートを重視することで、良質ながらチャートインしなかった作品がエントリーにすら至ることができないという問題が発生します。

たとえば今月開催された第18回CDショップ大賞2026で大賞に選ばれたHi-STANDARD『Screaming Newborn Baby』(赤)およびkurayamisaka『kurayamisaka yori ai wo komete』(青)は共に、最優秀アルバム賞にはエントリーされていません。特に後者は様々な音楽雑誌で年間ベスト上位に選ばれています。音楽チャートだけでは拾いきれない作品や歌手が存在することは、この点だけをみても明らかです。

 

この問題については、音楽業界関係者の"良質な作品を如何に広めるか"という手腕も問われるものと考えます。他方、たとえばインディ等の歌手を称える音楽賞"TuneCore Japan INDEPENDENT ARTIST 100 - 2026"の開催に際し同賞を推奨する音楽関係者のコメントの中には"音楽チャートが全てではない"的なものもみられます。音楽チャート分析者としてその発言や姿勢に強い違和感を覚えるということを、記しておきます。

(上記音楽賞についてはTuneCore Japan、「INDEPENDENT ARTIST 100 - 2026」ノミネートアーティスト200組が決定 | チューンコアジャパン株式会社のプレスリリース - PR TIMES(3月18日付)をご参照ください。)

 

 

昨日開催のMUSIC AWARDS JAPAN 2026 エントリー発表会、エントリーの中身や発表の仕方、そして音楽賞自体に至るまで、筆者が抱いた違和感を上記に掲載しました。この5つの項目について、改善案を以下に記します。

 

 

① そもそもどのような形で発表するかが明確ではなかった

→ 『3月19日◯時にエントリー発表会を開催し、同日◯時にYouTubeで配信します』と明記するだけでも状況は変わったでしょう。またYouTubeでの後出しではなく、授賞式当日にも生配信を行うプラットフォームにて生配信を実施する(アーカイブとしてYouTubeを用いる)のが好かったのではないでしょうか。ノミネート発表の際はそれを徹底するよう願います。

 

② 主催者側とメディア等とでの情報解禁時間がバラバラである

→ 情報解禁時間は確実に設定することを願います。一斉に発表することで情報のインパクトは高まり、同時に音楽賞が統率の取れたものであると理解可能です。

 

③ ノミネートされる可能性のある歌手が登壇している

→ これは純粋に、その可能性のある歌手(特にエントリー対象期間内に作品をリリースした方)を呼ばないことが理想と考えます。

 

④ ノミネートの前段階であるエントリーを発表する

→ おそらくは来年以降もこのようなエントリー発表という形が採られ続けるものと思われます。ならばエントリーがイコールノミネートと勘違いされないよう、音楽賞の周知徹底を行うことが好いはずです。その点においてMUSIC AWARDS JAPANによる以下のポストは非常に好いと考えますが、周知徹底のためには今後も定期的に発信することが必要と考えます。

 

⑤ エントリーが音楽チャートを重視しすぎている

→ エントリー作品/歌手一覧については音楽チャート上位順ではなくあいうえお順(Best Global Hit From Japanおよび最優秀アジア楽曲賞はABC順)で表記することが好いと考えます。またそもそもノミネートの前提となるエントリーの条件について、音楽チャートだけでは拾いきれない作品や歌手があることを踏まえて再検討することも必要です。

(これは強く私見と前置きして記しますが、MUSIC AWARDS JAPANにおいては日本レコード大賞にて一部歌手(やその団体)が音楽賞を回避していると思しき状況を考慮し、音楽チャートに基づいたエントリー制度を設けたのではと推測します。ならばMUSIC AWARDS JAPANが周知され、賞の価値が浸透したタイミングでエントリーの条件を再検討することが好いのではないでしょうか。)

 

 

MUSIC AWARDS JAPAN 2026 エントリー発表会に対する私見および改善提案を記しましたが、ネガティブな見方ばかりになったことをお詫び申し上げます。一方で情報発表の不徹底等は以前から申し上げていることであり、改善ができていないゆえの違和感の発信であることをご了承ください。そして改善を申し上げるのは、老舗音楽賞に対し自省を促すためでもあります。

音楽賞は複数あっても問題ないというのが私見ながら、アジア版グラミー賞的な意味合いを持つMUSIC AWARDS JAPANの開始に伴い、日本レコード大賞が自問自答した上で自ずとブラッシュアップするのではと捉えていました。しかしながら今回の状況を踏まえるに、改善提案に意味はあったのかと感じずにはいられません。

(なお、昨年開催の日本レコード大賞は19時以降の視聴率が11.2%だったのに対し、MUSIC AWARDS JAPANはGrand Ceremonyの視聴率が第1部6.1%、第2部4.9%となっていました(いずれも関東地区、ビデオリサーチ調べ)。この視聴率の差を踏まえ、日本レコード大賞側がMUSIC AWARDS JAPANを意に介す必要はないと捉えたのかもしれません。)

受賞(ノミネート)作品が発表されるも、日本レコード大賞への違和感が解消されなかったことについて(2025年11月22日付)より

MUSIC AWARDS JAPANが日本を代表する音楽賞として君臨するには自身の問題点の解消等を経て、多くの方が日本を代表する音楽賞として今も挙げるであろう日本レコード大賞に視聴率面でも追い抜くことが重要です。それによってはじめて、変わる気配のない老舗音楽賞が自ら省みるようになるのではと考えます。

 

その視聴率面において、MUSIC AWARDS JAPANのGrand CeremonyがNHK総合で生放送される状況に危機感を抱いています。昨年は同局にてMUSIC AWARDS JAPANに関する紹介等を十分に行っていないと捉えているためです。民放のように番宣を行うことが今年も難しいならば尚の事、MUSIC AWARDS JAPAN側による周知徹底は必須でしょう。ゆえに情報発表等におけるメディアとの連携、意思疎通が重要なはずです。

 

 

最後に。MUSIC AWARDS JAPANにおいては昨年同様にビルボードジャパンが大きく関わることもあってか、この時期はビルボードジャパンによるチャート等の情報発信が遅れる傾向にあります。

通常は木曜16時に発表されるビルボードジャパンのグローバルチャート記事が、昨日は18時21分に公開されています。この遅れがMUSIC AWARDS JAPAN関連に伴うものならば、改善が必要と考えます。オリコンはこの情報公開時間を徹底しているため、ビルボードジャパンが日本を代表する音楽チャートに成るにはこの点の改善が重要でしょう。MUSIC AWARDS JAPANと同種の課題を抱えていると言っても過言ではないはずです。