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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

デジタル解禁に伴いトップ20入り…KinKi Kids「愛のかたまり」がロングヒットする可能性

2020年からポッドキャストBillboard Top Hits (通称:ポッドチャート)】を発信し、現在は毎週木曜13時に最新エピソードを公開しています。

今回はポッドキャストでも紹介した、最新のビルボードジャパンアルバムチャートやトップアーティストチャートについて採り上げます。

 

 

昨日発表されたビルボードジャパンアルバムチャート(5月14日公開分(集計期間:5月5~11日))では、超特急『Why don't you 超特急?』が首位初登場。またソングチャートとトップアーティストチャートを合算したトップアーティストチャートではMrs. GREEN APPLEが連覇を達成しています。

そのトップアーティストチャートで当週、100位圏外から3位に急上昇したのがKinKi Kids。集計期間初日にデジタルを解禁したことが大きく貢献しており、アルバムチャートにおいても『The BEST』(2017)が総合10位に再登場しています。

 

KinKi Kidsの勢いは、ビルボードジャパンのHot Shot Songsチャートから見て取れます。

本チャートは、総合ソング・チャート“JAPAN Hot 100”の指標の中から、ダウンロード、ストリーミング、動画再生の3指標の合計ポイントが増加した順に並べた“急上昇楽曲チャート”だ。

KinKi Kidsは5月5日から全356曲(シングル47タイトル、アルバム22タイトル)のサブスク解禁&ダウンロード配信が始まった。その中でも2001年11月14日にリリースされた13枚目のシングル『Hey! みんな元気かい?』のカップリング曲「愛のかたまり」が特に大きく動いている。ダウンロード1位、ストリーミング16位と好調なスタートを切って、総合14位に初登場。ほかにもデビュー曲「硝子の少年」(総合42位)、「愛されるより 愛したい」(総合81位)、「ボクの背中には羽根がある」「フラワー」など、計8曲が本チャートに入った。

Hot Shot Songsチャート20位以内にはKinKi Kidsの曲が大挙エントリー。その中で最も勢いがあり、総合ソングチャートでも14位に初登場を果たしたのが「愛のかたまり」です。

CHART insightにおける累計ポイント構成比からは、緑で表示されるカラオケ指標の占有率の高さが解ります。これはカラオケ指標がソングチャートに組み込まれた2019年度以降において加点を続けてきたことが要因ですが、一方でダウンロード(紫)およびストリーミング(青)の2指標にて累計ポイントの5%以上を占めており、デジタル解禁効果の大きさが実感できます。

主要サブスクサービスにおけるKinKi Kidsのデイリーチャート動向を上記に。Apple Music、SpotifyそしてLINE MUSICのすべてで「愛のかたまり」が最も高い人気を誇り、とりわけ日本でシェアの大きいApple Musicにおいて順位が安定していることから、今後はストリーミングがロングヒットし累計ポイントに占める同指標の割合が高まっていくかもしれません。

(KinKi Kidsのデジタル解禁に際してはSpotifyが最も積極的に発信していた印象ですが(Spotify、KinKi Kids 全356曲配信開始を記念して特別企画・限定コンテンツ展開を発表 | スポティファイジャパン株式会社のプレスリリース - PR TIMES(4月30日付)参照)、一方で主要サブスクサービスにおいては最も順位が低くなっています。また若年層利用の多いLINE MUSICで「愛のかたまり」が上位をキープしているのを興味深く感じています。)

 

STARTO ENTERTAINMENT所属歌手の作品においてカラオケ人気が高く、デジタル解禁に伴い総合でもヒットした例としてはNEWS「チャンカパーナ」(2012)が挙げられます。

チャンカパーナ」はストリーミングで最高18位を記録し、総合ソングチャートではデジタル解禁後最高17位、19週連続で100位以内エントリーを達成。加えてカラオケ指標はデジタル解禁後7位まで上昇しています。下記エントリーにてロングヒットを振り返った際に手越祐也さんの地上波テレビ番組出演も影響したと紹介しましたが、デジタル解禁により楽曲の持つパワーに気付いた方が多かったとも捉えています。

KinKi Kids「愛のかたまり」もNEWS「チャンカパーナ」に近い動きをなぞるかもしれません。尤も「チャンカパーナ」のカラオケ指標はデジタル解禁前に100位未満だった一方で「愛のかたまり」は当週50位以内に入っていることから、カラオケはより高い位置に到達する可能性も考えられます。

 

 

KinKi Kids「愛のかたまり」については今後の動向を注視し、真の社会的ヒット曲に成るかを見極めることが必要です。しかしながら四半世紀近く前の作品が総合トップ20入りする状況から、デジタルアーカイブ化の重要性が理解できるでしょう。デジタル未解禁歌手の解禁、解禁範囲の拡大、そして今は歌手活動を行わないものの当時所属した方による作品のデジタルアーカイブ化を、日本の音楽業界が積極的に行うことを願います。