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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

KinKi Kids「愛のかたまり」、デジタル解禁後にカラオケ指標が最高位を更新したことについて

5月5日にデジタルを解禁したKinKi Kidsについては、ダウンロードやストリーミングがはじめて反映された5月14日公開分におけるビルボードジャパン各種チャートの動向を以前紹介しました。

ソングチャートでは、デジタル解禁前からカラオケでヒットしていた「愛のかたまり」(2001)がKinKi Kidsの作品の中で最も高い位置に再登場。最新5月21日公開分では総合チャートで14→26位に後退するも、カラオケ指標は46→26位に上昇し同指標最高位を更新しています。

上記はビルボードジャパンソングチャートにおけるKinKi Kids「愛のかたまり」の、有料会員が確認可能なCHART insight。カラオケ指標は緑で表示され、デジタル解禁後の急上昇が読み取れます。他方、最新5月21日公開分においてはダウンロード(紫)が1→6位、ストリーミングが16→25位に後退していますが、急落というほどではないといえそうです。

(なお、総合チャートおよび構成指標における20位未満の順位はCHART insight有料会員のみが確認できます。ビルボードジャパンでは有料会員のみ知り得る情報の掲載を可能としています。)

ここからは、デジタル解禁がKinKi Kidsによる音楽の需要を喚起させたと捉えていいでしょう。そしてこの流れは、以前のブログエントリーで「愛のかたまり」を採り上げた際に先行事例として紹介したNEWS「チャンカパーナ」(2012)をやはり想起させます。

ビルボードジャパンソングチャートにおけるNEWS「チャンカパーナ」の、有料会員が確認可能なCHART insightを上記に。NEWSは昨年9月15日以降にデジタルを解禁し、初のデジタル1週間フル加算となった9月25日公開分にて総合100位未満から35位へ上昇していますが、カラオケ指標は同日公開分で100位未満だったものの翌週は64位に上昇し、以降は43→32→20→10→7位と推移しています。

NEWS「チャンカパーナ」のカラオケ指標上昇はデジタル解禁直後に表れたわけではないかもしれませんが、一方で同曲は昨年6月までこの指標が300位前後を推移し、加点するかしないかのラインに居続けていました。常時加点されるようになったのは昨年6月19日公開分からとなりますが、そこから100位以内に上昇、そしてトップ10入りを果たしたのはやはりデジタル解禁とそれに伴う需要喚起が影響しているものと考えます。

翻って、KinKi Kids「愛のかたまり」ではカラオケ指標導入以降はほぼ毎週、同指標100位以内にランクインしていました(またビルボードジャパン総合ソングチャートではカラオケ指標初加算時となる2019年度初週に100位未満ながら初めてランクインを果たしています)。この曲が話題に成ることでカラオケ指標が上昇することは以前から予想できていたのですが、デジタル解禁はその点にて大きな役割を果たしたといえます。

 

今後は、KinKi Kidsが音楽番組にて「愛のかたまり」を披露すればデジタル指標群、そしてカラオケ指標にも大きく反映されるかもしれません。またNEWS「チャンカパーナ」においては6月2日月曜に英語詞版がリリースされます。ビルボードジャパンソングチャートではアレンジが同一で歌詞の言語のみが異なる場合は合算されますが、下記ティザーを踏まえれば英語詞版はオリジナルとアレンジが同一であるものと考えられます。

NEWS「チャンカパーナ」英語版のデジタル初加算は6月11日公開分となり、その際は解禁から1週間分がフルで加算されます。同曲が1月29日公開分(総合100位)以内の返り咲きを果たすか、そしてカラオケ指標が再び上昇するか注目です。

 

 

デジタル解禁が既発曲への気付きをもたらし、急落しにくい性質を持つカラオケ指標にて支持を集めることでソングチャートでロングヒットするという事例が、STARTO ENTERTAINMENT所属歌手の作品でもみられるようになっています。これは何より、デジタルに前向きに、明るくなったことに伴う結果であると考えれば、未解禁歌手のデジタル解禁、デジタルアーカイブの強化、そして解禁後の施策が重要だと理解できます。