イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

アルバムチャート総合首位のtimelesz、フィジカル首位のM!LK…それぞれのチャート動向を読む

2020年からポッドキャストBillboard Top Hits (通称:ポッドチャート)】を毎週発信。ビルボードジャパンがアルバムチャートの発表を木曜に変更したことを踏まえ、ポッドキャストにおいても今年から公開時間を木曜19時に設定しています(YouTubeでの公開はわずかですが遅れます)。

今回はポッドキャストでも紹介した、最新のビルボードジャパンアルバムチャートについて分析します。

 

 

昨日発表されたビルボードジャパンアルバムチャート(3月12日公開分(集計期間:3月3~9日))では、timelesz『Hello! We're timelesz』が2連覇を達成しています。

本作は、デジタルコンピレーションで、Sexy Zone時代の楽曲も含んだ12曲が収録されている。ダウンロード数1,025DL(前週比13%)でダウンロード2位を獲得。ストリーミングでは2週連続で1位となった。なお、timelesz(Sexy Zone含め)が本チャートで2週連続で首位となったのは、今回が初となっている。

(上記CHART insightではフィジカルセールスが黄色、ダウンロードが紫、ストリーミングが青で表示。なおtimelesz『Hello! We're timelesz』はフィジカル未リリースとなります。)

 

timelesz『Hello! We're timelesz』が初めて首位を獲得した際、下記エントリーにて分析を掲載しています。

timeleszはオーディションを経て8人組となり、新体制として初の作品「Rock this Party」をリリース。『Hello! We're timelesz』はその新曲と同時にリリースされた、Sexy Zone時代の作品を含むデジタルコンピレーションアルバムとなります。これが初のデジタル解禁であり、また新曲およびコンピレーションアルバム以外の解禁がないことから、収録曲はすべてこのアルバムのストリーミング指標に加点される状況です。

それゆえ『Hello! We're timelesz』が強いという側面もありますが、しかしストリーミング指標の2連覇は特筆すべきでしょう。ビルボードジャパンは昨年最終週にストリーミング指標を組み入れるチャートポリシー(集計方法)変更を実施していますが、この指標でトップに立つのはMrs. GREEN APPLE『ANTENNA』に次いで『Hello! We're timelesz』が2作品目であり、チャートポリシー変更後の総合連覇もこの2作品のみとなります。

timeleszのデジタル解禁は2月28日金曜であり、当週は初の1週間フル加算となったことも影響しています。ストリーミング指標の基となるStreaming Songsチャートでは、「Rock this Party」を含む8曲が100位以内に登場しています。

『Hello! We're timelesz』収録曲はApple Musicで比較的好調をキープしている印象ですが、LINE MUSICでは減少傾向にあり、Spotifyでは高くはありません。今後ストリーミングを維持できるかもさることながら、これまでの作品をきちんとデジタル解禁するかについても注視していきます。

 

 

さて、当週はM!LK『M!X』がフィジカルセールス62,177枚を記録し、総合10位に初登場を果たしています。

一方で気になるのは、ダウンロードおよびストリーミング指標の動向。ダウンロードは加点されるも100位未満であり、ストリーミングは300位に達せず加点されていません。その中にあって、アルバムリード曲の「イイじゃん」は最新3月12日公開分のビルボードジャパンソングチャートでストリーミング指標41位、総合でも48位にランクイン。双方において100位以内エントリーは3週連続であり、好調に映ります。

その「イイじゃん」はLINE MUSICと他のサブスクサービスとで大きく乖離していますが、これは先行配信分にてLINE MUSIC再生キャンペーンが行われているため。最新のLINE MUSIC週間チャートではアルバム収録版が100位以内に入っていないことから、「イイじゃん」はアルバムからではなく先行配信版が多く聴かれ、ゆえにアルバムのストリーミング指標には加点されていないと考えられます。

M!LKは『M!X』収録の3曲を対象としたLINE MUSIC再生キャンペーンを開始し、3月11日までを集計期間とするLINE MUSIC週間チャートでは「On your mark」が67位、「LUCKY CALL」が95位に初登場していますが、他の収録曲との乖離がLINE MUSIC内でも起きているものと想起されます。キャンペーンに関係なくアルバム全体が聴かれるようになれば、次週以降ストリーミング指標が加点される可能性はあるでしょう。

 

 

最後に。timeleszに話を戻すならば、こちらの発信が非常に興味深いのです。

timeleszのX公式アカウントがビルボードジャパンのチャートについて記載することは稀であり、またSTARTO ENTERTAINMENT所属歌手が音楽チャート動向について触れる際は、ビルボードジャパンよりもオリコンを重視する傾向があるという印象です。今回の発信は、事務所と音楽チャートの関係性(どちらをより強く意識しているか)の変化を示しているのではないかと感じています。