4月29日公開分のビルボードジャパンソングチャート(集計期間:4月20~26日)では前週首位に立ったTravis Japan「陰ニモ日向ニモ」が54位へ後退。INI「All 4 U」がフィジカルセールス初加算に伴い、前週の62位から首位に到達しています。
INIは昨年度最終週における「Present」以来、キャリア6曲目の首位を獲得。その「Present」と「All 4 U」において、共通点が多く見受けられます。
<ビルボードジャパンソングチャート
INI「Present」および「All 4 U」の総合首位獲得時におけるCHART insight>
・CHART insightの説明
[色について]
黄:フィジカルセールス
紫:ダウンロード
青:ストリーミング
黄緑:ラジオ
赤:動画再生
緑:カラオケ
濃いオレンジ:UGC (ユーザー生成コンテンツ)
(Top User Generated Songsチャートにおける獲得ポイントであり、ソングチャートには含まれません。)
ピンク:ハイブリッド指標
(BUZZ、CONTACTおよびSALESから選択可能です。)
[表示範囲について]
総合順位、および構成指標等において20位まで表示
[チャート構成比について]
累計における指標毎のポイント構成
・INI「Present」
2025年11月26日公開分 総合首位 (15,916ポイント獲得)
フィジカルセールス 1,213,001枚、ダウンロード 15,230DL
ストリーミング 2,492,814回再生
※ 初の首位獲得時における動向は、INI「Present」、1万5千ポイント超えで総合ソングチャートを制覇…一方で次週以降の動向を注視する(2025年11月27日付)にて分析しています。
【ビルボード】INI「Present」が総合首位、RADトリビュートが上位席捲&原曲も再浮上 https://t.co/e1FopOKWsv
— Billboard JAPAN(ビルボードジャパン) (@Billboard_JAPAN) 2025年11月26日
・INI「All 4 U」
2026年4月29日公開分 総合首位 (12,132ポイント獲得)
フィジカルセールス 725,113枚、ダウンロード 7,149DL
ストリーミング 再生回数不明 (ストリーミング指標50位未満につき記事未掲載)
【ビルボード】INIが「All 4 U」で6作目の総合首位、朝ドラ主題歌ミセス「風と町」が2位に浮上 https://t.co/shpPscG0SI
— Billboard JAPAN(ビルボードジャパン) (@Billboard_JAPAN) 2026年4月29日
INI「All 4 U」はフィジカルセールスやダウンロードにて「Present」より下がっているものの、首位獲得時における累計ポイント構成比(CHART insight内右上の円グラフ参照)においては各指標の比率が大きく変化していないといえることから、いずれの指標も全体的にややシュリンクしていると捉えていいかもしれません。
たとえばフィジカルセールスにおいて、前作「Present」が収録された『THE WINTER MAGIC』にはメンバー11名それぞれをジャケットに据えた"Sweet ver."が存在します(INI OFFICIAL STORE(→こちら)にて確認可能)。今作「All 4 U」が収録された『PULSE』では行われていないことも、初週フィジカルセールスの差につながったといえそうです。
ちなみに。これは仮定と前置きした上で記しますが、INIの前作「Present」は2025年度最終週に初登場していることを踏まえるに、ともすれば歌手側やファンダム(コアファンの中で音楽チャートに意識的な方と定義)の中にフィジカルセールスで年間首位の座を狙うという思いが強く存在していたのかもしれません。これはテイラー・スウィフト『The Life Of A Showgirl』の動向から想起したものです。
テイラー・スウィフト『The Life Of A Showgirl』は2025年度最終週の初登場時に週間最多ユニット数を更新、年間チャートでも首位に立っています。そこには様々な施策(後発含む複数種リリースや単曲ダウンロード不可等)が存在し、週間および年間チャートでの記録達成を見据えて歌手側そしてファンダムが動いたものと捉えています。年度最終週での初登場ゆえ、その熱量がさらに高まったのではというのが自分の見方(仮定)です。
この仮定を踏まえれば、INIは昨年度最終週でフィジカルがミリオンセールスを獲得した「Present」から今作「All 4 U」におけるシュリンクが理解できるかもしれませんが、それでも725,113枚という週間フィジカルセールスは今年度3位の記録であり(なにわ男子「HARD WORK」の737,824枚(2025年2月25日公開分)、乃木坂46「ビリヤニ」の736,722枚(2025年12月3日公開分)に続く)、強さを誇っていることに変わりはありません。
またINIはラジオ指標でも前作同様の強さを発揮しています。「Present」については総合首位獲得時のブログエントリー(→こちら)に貼付した記事で、そして「All 4 U」に関しては同指標の基となるプランテックのオンエアチャート記事(→こちら)で紹介されているように、帯番組等固定枠でのオンエアの多さが功を奏した形です。
一方で、ストリーミング指標が気になります。INIの前作「Present」はストリーミング指標44位/Streaming Songsチャート61位だったのに対し、「All 4 U」ではそれぞれ75位/100位未満となっています。前作の総合首位獲得時にはSpotify、Apple MusicおよびLINE MUSICで週間100位以内に入っていたのですが(各サブスクサービスにて集計期間は前後します)、今作ではいずれのサービスでも未ランクインという状況が気掛かりです。
また、ストリーミングと同じく接触指標である動画再生において、INIは総合首位獲得時に順位を落としています。前作「Present」では28→80位、今作「All 4 U」では41位→100位未満(300位圏内につきポイント加算対象)と推移。フィジカルリリースを機にコアファンがフィジカル同梱の映像盤再生等に移行し、その分をライト層(歌手のファンではないが曲が気になる方)が埋めることができなかった可能性が考えられます。
大事なことは上位進出もさることながらそれ以上に、中長期的にヒットし複合指標から成る年間チャートでランクインすることであるというのが音楽チャート分析者としての見方です。INI「Present」は総合首位到達後に5→59位と推移した後、首位から3週後には総合100位未満へ後退しています。「Present」と似た動きを辿る「All 4 U」がライト層を獲得しロングヒットに至ることができるか、注視することが必要です。

