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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

THE RAMPAGE from EXILE TRIBE「24karats GOLD GENESIS」が首位到達、一方で指標構成からみえてくるものとは

最新7月31日公開分(集計期間:7月22~28日)のビルボードジャパンソングチャートでは、前週初登場で首位を獲得したback number「新しい恋人達に」が5位に後退、THE RAMPAGE from EXILE TRIBE24karats GOLD GENESIS」が前週から48ランク上昇し首位に立っています。

上記画像は記事に掲載された「24karats GOLD GENESIS」のCHART insight。この曲の強さ、および気になる点がみえてきます。

 

THE RAMPAGE from EXILE TRIBE24karats GOLD GENESIS」はデジタル先行でリリースされ、当週はフィジカルセールスが初加算。326,342枚という売上は前作「CyberHelix」が5月15日公開分で記録した85,059枚を大きく上回ります。ともすればSTARTO for you「WE ARE」と同日リリースだったことが売上増加の一因かもしれません(なお「WE ARE」はフィジカルセールス209,847枚を記録)。

上記は最新7月31日公開分における「24karats GOLD GENESIS」のCHART insight。無料会員向けのものであり、先述したキャプチャは有料会員が確認可能な100位までのグラフとなります。注目はポイント構成比を示す円グラフで、フィジカルセールス(黄色で表示)、ストリーミング(青)およびラジオ(黄緑)が300位以内に入り加点された一方、ダウンロード(紫)、動画再生(赤)およびカラオケ(緑)は加点されていません。

(ちなみにCHART insightが春にリニューアルされて以降、円グラフは最新週ではなく累計ポイントの構成比に変更されたとアナウンスされています。ただしTHE RAMPAGE from EXILE TRIBE24karats GOLD GENESIS」については登場1週目にダウンロード、3週目に動画再生指標がわずかながら加点されているため、CHART insightのリニューアル以降も累計ではなく最新週の表示が続いているのではと捉えています。)

 

加点された指標においても気になる点があります。ストリーミングについては指標の基となるStreaming Songsチャートで「24karats GOLD GENESIS」が68位に再登場。これは同曲が新たなLINE MUSIC再生キャンペーンを展開したことに伴います。

(※再生キャンペーン掲載ページが企画終了に伴い削除となる可能性を踏まえ、キャプチャしました。問題があれば削除いたします。)

再生回数は2,400回および4,800回以上に設定されていますが、このキャンペーンが始まる前日までは別の再生キャンペーンが行われており、再生回数は1,600回および3,200回以上に設定されていました。

(※再生キャンペーン掲載ページが企画終了に伴い削除となる可能性を踏まえ、キャプチャしました。問題があれば削除いたします。)

24karats GOLD GENESIS」は最新のLINE MUSIC週間チャートで6位に入った一方、Apple Musicでは100位、Spotifyでは200位に達していません(各サブスクサービスで集計期間は若干異なります)。LINE MUSIC以外のサブスクサービスで聴かれていないわけではないものの、ライト層の支持が大きく反映されるストリーミング指標においてコアファンとライト層との乖離が目立っているという印象を抱きます。

 

そしてラジオでは「24karats GOLD GENESIS」が首位に。この指標の基となるプランテックのOAチャートでは2位となっています。

6月10日の先行配信から更に先がけ、同7日放送のBAYFM「WEEKEND THE RAMPAGE」にて初解禁された同曲は、6月10日〜6月16日チャートで54位に初登場後、interfmを中心とする局地的な大量オンエアをキープし、42位、41位、27位と推移。他局へもオンエアが波及し始めた前週に6位へと急浮上し、7月24日にシングルリリースを迎えた今週さらにオンエア142%増となった。

リリース週とあり、JFN系列の長寿番組「ディア・フレンズ」をはじめ、複数番組でのゲスト/コメント出演も確認されるなど、積極的な露出や長期オンエアが奏功してかセールスも好調の様子だ。

フィジカルセールスに次いでランクダウンが速いラジオ指標において「24karats GOLD GENESIS」が上位で安定し、且つフィジカルセールスのタイミングで急上昇しているのが興味深い点。一方でデジタルリリースの当初は局地的なOAであったこと、また当週はゲスト出演等に伴う上昇であり、上記記事ではリクエスト(に基づく)OAについて触れていなかったことが気になります。

 

 

ラジオ指標では男性アイドル/ダンスボーカルグループのフィジカルリリース週における急伸が目立ちますが、THE RAMPAGE from EXILE TRIBE24karats GOLD GENESIS」ではそのラジオを含めデジタルリリース時から施策を用意し、フィジカルリリース週に徹底させたという印象です。2回目のLINE MUSIC再生キャンペーンが最新ビルボードジャパンソングチャートの集計期間初日に始まったことも、チャート意識の表れでしょう。

今回の「24karats GOLD GENESIS」から想起したのは、昨年8月30日公開分ビルボードジャパンソングチャートでのLDH新人3組(WOLF HOWL HARMONY、THE JET BOY BANGERZおよびKID PHENOMENON)同時トップ5入りでした。ランクイン結果に基づき新たな施策が可能となることもあり、上位進出を意識した施策が徹底されていました。

一方で、その3組による各曲(順に「Sweet Rain」「Jettin'」および「Wheelie」)はトップ5入りの翌週にいずれも100位未満(300位圏内)に急落しています(前週および当週の上位初進出曲におけるCHART insightから、真のヒット曲に成るかを読む (2023年9月6日公開分)(2023年9月8日付)参照)。施策の反動が表れた形であり、ロングヒットに至らないならば真の社会的ヒットとは呼び難いというのが厳しくも私見です。

 

THE RAMPAGE from EXILE TRIBE24karats GOLD GENESIS」はLINE MUSIC再生キャンペーンの影響が続くことで次週も100位以内にランクインすることが予想される一方、ダウンロードや動画再生指標が当週300位未満というのは気になります。社会的ヒットと呼べる曲はフィジカルリリースのタイミングでダウンロードも上昇する傾向にあります。

そして動画再生はストリーミングと順位が比例することが一般的です。「24karats GOLD GENESIS」はフィジカルリリースの前週に下記動画も用意していますが、当週この指標が300位以内に達していない点からはライト層の接触行動があまり起きておらずコアファンとの乖離が発生していること、そしてコアファンの中でもフィジカルの購入やLINE MUSIC再生キャンペーンへ集中していることが読み取れます。

 

 

THE RAMPAGE from EXILE TRIBE24karats GOLD GENESIS」の首位獲得は素晴らしいことです。ならば今回の首位獲得をどう次に活かすか、そのために強くない点をどう克服するかが重要であり、同曲の次週以降の動向、そして今後リリースされる作品の推移を見守る必要があります。首位獲得という称号を、新たなコアファンに昇華可能なライト層の獲得や拡大につなげることが重要です。