3月まで記載していたこちらのエントリーを、内容を少しリニューアルした上で夏以降再開しています。先週の内容はこちら。
ビルボードジャパンソングチャートの動向を分析する者として、真の社会的ヒット曲とはロングヒットする、年間チャートで上位に進出する作品と位置付けています。週間単位で上位に入ることも素晴らしいですが、他方で所有指標が強い曲は加算2週目、また所有指標的な接触指標をなぞる曲(主にLINE MUSIC再生キャンペーン採用曲)はキャンペーン終了後に指標が急落し、総合でも大きくダウンすることが少なくありません。
急落傾向はここ最近、特に目立っています。ソングチャートのトップ10は5曲近くが毎週入れ替わり、ロングヒットする(その可能性を持ち合わせている)かそうでないかが極端に分かれる状況です。ロングヒット曲は主にライト層の支持が反映されるストリーミング指標が強い一方、急落する曲はコアファンとライト層との乖離が大きいのですが、これらを1週分のチャートから判断することは現状では難しいといえます。
ゆえにこのブログエントリーでは上記提案をビルボードジャパンに対して行っていますが、すぐに叶うことはないかもしれません。ならば、あくまで自分なりであると前置きしつつ、チャートの見方を提示したいと考えたのがエントリー復活の理由です。
<2024年9月18日公開分 ビルボードジャパンソングチャート
前週初めてトップ10入りした作品の、前週および当週におけるCHART insight>
※CHART insightの説明
[色について]
黄:フィジカルセールス
紫:ダウンロード
青:ストリーミング
黄緑:ラジオ
赤:動画再生
緑:カラオケ
濃いオレンジ:UGC (ユーザー生成コンテンツ)
(Top User Generated Songsチャートにおける獲得ポイントであり、ソングチャートには含まれません。)
ピンク:ハイブリッド指標
(BUZZ、CONTACTおよびSALESから選択可能です。)
[表示範囲について]
総合順位、および構成指標等において20位まで表示
[チャート構成比について]
累計における指標毎のポイント構成
(※ この点については後述しています。)
・RIIZE「Lucky」
9月11日公開分 2位→9月18日公開分 6位
・LE SSERAFIM「CRAZY」
9月11日公開分 8位→9月18日公開分 18位
※ 今回表示分のCHART insight以降、円グラフの表示は当週(最新週)ではなく累計に変更されています。この経緯については昨日付ブログエントリーに掲載の上、ビルボードジャパンに対し改善を提案しています。
当週におけるストリーミング等動向表はこちら。
今回のソングチャートでは、RIIZE「Lucky」は2→6位と後退しながらもトップ10内をキープしています。この曲については前週フィジカルセールス指標以外でポイントを獲得できなかった(300位未満だった)ことから、当週デジタルを獲得できなかったならば総合でも急落する可能性は高いのではとブログにて記しました。
最終的に「Lucky」は6位となりましたが、しかしながら指標構成においてはフィジカルセールスおよびラジオの2指標のみが加算対象となっています(過去にストリーミング指標を獲得しているものの、当週は獲得できていません)。そのフィジカルセールスにおいては当週115,422枚を獲得し同指標3位を記録していますが、フィジカルセールスが2週続けて10万枚を突破するのは今年度初という状況です。
イベントやキャンペーンの開催、日本デビュー曲というアドバンテージ等がフィジカルセールス2週目における10万枚超えにつながったものと考えます。これまでこのような状況は、歌手の活動終了やメンバー脱退時、およびそのアナウンス時にみられていましたが、それ以外では極めて珍しいといえます。
フィジカルセールス2週連続10万枚超えは素晴らしいことですが、デジタル(特にストリーミング指標)の未加算はフィジカルセールスが弱まった際に総合チャートでの急落につながります。以前このブログでは主にアイドルやダンスボーカルグループにおける”ヒットの7段階”を掲載しており、RIIZE「Lucky」は第2段階に近づいたといえますが、社会的ヒットに至るには少なくとも第3段階以降に達することが重要です。
最新9月18日公開分のビルボードジャパンソングチャートでは、他にも第2段階といえる曲が存在します。
(上記は韓国語バージョン。)
TREASURE「KING KONG」はフィジカルセールス指標初加算に伴い3位に再登場して以降28→34→37位と好調に推移する一方、フィジカルセールスやストリーミングは徐々にダウン。安定の要因は4週連続でトップ3をキープするラジオ指標であり、この状況はTHE RAMPAGE from EXILE TRIBE「24karats GOLD GENESIS」を思わせます。
仮にラジオ指標でのポイントが見込めなくなったタイミングで総合でも急落するならば、ラジオにおいては歌手側(レコード会社や芸能事務所側)の施策に因るところが大きく、ライト層と乖離しているといえるでしょう。今後の推移を注視すると共に、特にアイドルやダンスボーカルグループの複数週エントリー曲について、各指標の動向をきちんと見極めることが重要だということを今一度記しておきます。