最新7月2日公開分(集計期間:6月23~29日)のビルボードジャパンソングチャートでは前週首位のMrs. GREEN APPLE「breakfast」が3位に後退、櫻坂46「Make or Break」がフィジカルセールス指標初加算に伴い総合首位を獲得しています。
櫻坂46による今年度の首位獲得曲は「UDAGAWA GENERATION」(2月26日公開分)に次ぐ2曲目ですが、今作「Make or Break」が前作とほぼ同様の推移をなぞっていることに注目。フィジカルセールス指標初加算時の獲得ポイントも「UDAGAWA GENERATION」が10,323に対し「Make or Break」は10,428となり、類似しています。
櫻坂46「UDAGAWA GENERATION」および「Make or Break」の、フィジカルセールス初加算時におけるビルボードジャパンソングチャートの記事、およびCHART insightを掲載しますが、累計ポイント構成比における指標構成が似ていることが解るでしょう。なお構成指標は順にフィジカルセールス(黄色で表示)、ダウンロード(紫)、ストリーミング(青)、ラジオ(黄緑)、動画再生(赤)となっており、カラオケ(緑)は加点されていません。
2025年2月26日公開(集計期間:2025年2月17日~2月23日)のBillboard JAPAN 総合ソング・チャート“JAPAN Hot 100”で、櫻坂46の11thシングル「UDAGAWA GENERATION」が前週33位からジャンプアップして首位となった。
森田ひかるがセンターを務める本作は、2月5日公開チャートで総合28位に初登場すると、デジタル指標に後押しされ、3週にわたってトップ40圏内をキープ。2月19日にリリースされたフィジカルCDが533,149枚を売り上げて、チャートイン4週目で総合1位に輝いた。ダウンロードは3,039DLを売り上げて圏外から最高位となる9位に、ストリーミングは4,481,440再生で18位となった。
【ビルボード】櫻坂46「UDAGAWA GENERATION」が総合首位、サカナクション「怪獣」初登場2位 https://t.co/cvXFBiC7dM
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2025年2月26日
2025年7月2日公開(集計期間:2025年6月23日~6月29日)のBillboard JAPAN 総合ソング・チャート“JAPAN Hot 100”で、櫻坂46「Make or Break」が首位を獲得した。
本作は6月25日にリリースされた櫻坂46の12thシングルの表題曲。前作を上回る、初週540,768枚を売り上げてCDセールス1位、ダウンロード13位、ストリーミング10位、ラジオ38位、動画87位で本チャートを制した。
【ビルボード】櫻坂46「Make or Break」が総合首位、LE SSERAFIM「DIFFERENT」が続く https://t.co/xaXBLBiG7E
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2025年7月2日
櫻坂46「UDAGAWA GENERATION」においては記事にて『デジタル指標に後押しされ、3週にわたってトップ40圏内をキープ』とありますが、これは「Make or Break」でもほぼ同様です。同曲は6月4日公開分で46位に初登場後21→24→31位と推移、また指標構成においてもストリーミングの存在が際立っています。
(ビルボードジャパンでは6月4日公開分以降、Streaming Songsチャートのストリーミング指標化時において総合53週以上ランクインする曲に減算処理を施すというリカレントルールを採用。これにより、53週未満在籍曲が指標化後の順位では以前より上昇する形です。櫻坂46「Make or Break」は指標化前の順位が41→16→19→25→14位と推移しており、「UDAGAWA GENERATION」の動向(14→17→25→18位)と類似しています。)
櫻坂46「UDAGAWA GENERATION」および「Make or Break」の類似は、サブスクサービス間の乖離においても同様です。総合首位獲得時のストリーミング表をみると、LINE MUSICでの突出が際立っています。
これは櫻坂46が2曲においてLINE MUSIC再生キャンペーンを採用していることに伴いますが、そのキャンペーン内容も類似しています。
・11thシングル『UDAGAWA GENERATION』リリース記念・LINE MUSICプレゼントキャンペーン実施決定! | ニュース | 櫻坂46公式サイト(1月27日付)より
・12thシングル『Make or Break』リリース記念・LINE MUSICプレゼントキャンペーン実施決定! | ニュース | 櫻坂46公式サイト(5月29日付)より
※ リンク先より画像を引用。キャンペーン終了後にページが消える可能性を考慮し、キャプチャしています(問題があれば削除いたします)。
櫻坂46は「Make or Break」において、「UDAGAWA GENERATION」と同様のチャート推移を辿っています。先行解禁のデジタルにてLINE MUSIC再生キャンペーンを開催し同サービスで上位をキープ、その状況下で53~54万枚の初週フィジカルセールスを加算することで総合1万ポイント超えを果たし、首位に立つという形です。
デジタルに強いライバルが存在しない限り、櫻坂46はこの施策(スケジュール)を踏襲すればビルボードジャパンソングチャートでの週間首位獲得が今後も叶うものと予想されます。一方、「UDAGAWA GENERATION」は上半期ソングチャートで総合100位以内に到達していません。ストリーミングが結果的に強くなかったという点が大きく、LINE MUSIC再生キャンペーン以外での支持が必須となります。
櫻坂46「Make or Break」が前作「UDAGAWA GENERATION」と類似しているならば、その前作がフィジカルセールス指標初加算以降に総合ソングチャートにおいて1→17→90位→100位未満と推移した流れを今回も踏襲する可能性は高いでしょう。とりわけ、「UDAGAWA GENERATION」においてストリーミング指標が総合首位獲得の3週後に300位未満となり加点対象外となっている点は極めて重要です。
歌手のファンではないが曲が気になるというライト層の支持が強く反映されロングヒットの要となるストリーミング指標にて、LINE MUSIC再生キャンペーン採用曲では(プレゼント効果もあり)コアファンの熱量が注がれやすい一方で企画終了後には急落し、所有指標と似た動きをなぞります。「Make or Break」はLINE MUSIC以外のサブスクサービスで一定順位に達しておらず、前作と似た流れを辿ることは想像に難くありません。
週間単位での総合ソングチャート制覇は素晴らしいながら、より大事なのは中長期チャートでの上位進出です。
このブログではCUTIE STREET「かわいいだけじゃだめですか?」に代表されるKAWAII LAB.所属歌手作品のヒットや=LOVE「とくべチュ、して」のストリーミングヒット等を踏まえ、アイドル/ダンスボーカルグループの勢力図が変わってきたことを上半期音楽チャートの主要トピックとして採り上げました。その上でこのジャンルにおける『NHK紅白歌合戦』(NHK総合ほか 以下”紅白”と表記)の人選も変わる可能性を示唆しています。
坂道グループは過去の実績を踏まえれば少なくとも1組は出場を果たすかもしれませんが、楽曲認知度の差を踏まえれば安泰とは言い難いと感じています。櫻坂46における二度の週間チャート制覇は大きいかもしれませんが、しかし「Make or Break」が今後急落するならばライト層への楽曲浸透は十分とは言い難いでしょう。
櫻坂46をはじめとするフィジカルセールスに長けた歌手がたとえば紅白での出場を目指すならば、コアファン以上にライト層の熱量を高い次元で維持させることが重要です。音楽チャート上位進出の方程式にこだわるとしてもあくまで週間単位でのそれであり、方程式以外の施策も今後立案していくことが必要と考えます。