イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

ビルボードジャパンで時折登場する動画再生指標”欠測”の改善を願い、必要なことを考える

2月20~26日を集計期間とする最新3月1日公開分のビルボードジャパンソングチャートでは、百足 & 韻マン「君のまま」が13位に初登場を果たしています。

百足 & 韻マン「君のまま」は2月19日にリリースされ、最新チャートにおいて初めて1週間フル加算対象に。上記CHART insightで特筆すべきは4位を獲得したストリーミング指標(青で表示)。この指標はリリースタイミングでとりわけ注目を集めた曲もしくはLINE MUSIC再生キャンペーン採用曲を除いて初動では高くない曲が少なくないのですが、ビルボードジャパンは今回の好位置初登場についてこのように分析されています。

当週4位に初登場したのは百足&韻マン「君のまま」で、再生回数は6,588,244回を記録。『高校生RAP選手権』の優勝経験もある百足と同じく『高校生RAP選手権』への出場で知名度を拡げた韻マンの3作目となるコラボレーションで、2月19日に配信がスタートした。2022年12月に公開されたミュージック・ビデオは、現在800万回再生を超えており、音源配信に先駆けて楽曲の注目度を高めていたことがわかる。

 

ミュージックビデオのみならずSoundcloudや歌詞での先行公開が人気を集めていたことについては、このブログでも以前紹介しました。

3月3日午前5時の時点で百足 & 韻マン「君のまま」ミュージックビデオの再生回数は822万に達しており、上記ブログエントリー掲載から10日間で113万回増加していることになります。しかしながらCHART insightを見る限り、赤で表示される動画再生指標は300位以内に達しておらず、加算されていません。いわゆる欠測という状態です。

(このブログでは以前”欠損”という表現を用いていましたが、今後は欠測で統一するようにします。)

尤も、YouTubeの楽曲ランキングでは最新チャート(集計期間:2月17~23日 リンクはこちら)において「君のまま」は100位以内に入っていませんが、100位の再生回数が40万6千回であることを踏まえれば、ボーダーラインに「君のまま」が登場していたと想起していいかもしれません。

 

百足 & 韻マン「君のまま」の動画再生指標における欠測は、この指標のカウント対象となるISRC(国際標準レコーディングコード)が採番されていないことに基づくと思われます。詳細は下記ツイートをご参照ください。またISRCについては日本レコード協会にて説明文が掲載されています(→こちら)。

動画再生指標の欠測は最近でも、なとり「Overdose」やTani Yuuki「もう一度」で見られたものでした。その際ブログではこのように分析しています。

この問題の解決を急ぐ必要がありますが、Tani Yuukiさん、なとりさん共に自主レーベル発ゆえ、ともすれば解決へ早急に動けるのか、欠損を解決できるだけの動画(アップロード等)に関する知識は持ち合わせているのかを不安視する自分がいます。

この問題は、メジャーレーベルや所属芸能事務所から発信された曲のほうが、経験等に基づき早急な解決に至れると考えます。Tani Yuukiさんの作品は音楽配信代行業者であるTuneCore Japanを介してリリースされているため、音楽配信代行業者、ならびにそれらを活用する個人単位でも、動画再生指標を欠損させない知見を持つ必要があるでしょう。欠損させない仕組みを学べる環境があるならば、より好いでのはないでしょうか。

百足 & 韻マン「君のまま」もTuneCore Japanより発信されていることから、今後はTuneCore Japanをはじめとするディストリビューションサービス側も動画再生指標欠測を防ぐべく積極的にアドバイスをしていく必要があるのではないでしょうか。この漏れが防げたならばビルボードジャパンでより高い位置への進出が可能となり、最終的にはディストリビューションサービスの認知度上昇につながるはずです。

 

最新3月1日公開分ビルボードジャパンソングチャートで15位につけているback number「水平線」は音源リリースの1年前にYouTubeで動画を公開し、その分がビルボードジャパンにてカウントされ続けていました。この動画先行公開が、2010年代前半以前にデビューした歌手が強くないとされるサブスクでback numberが人気を獲得したひとつの要因と考えており、動画が歌手のさらなるステップアップに寄与していると言えます。

動画の人気が高いならば、それがきちんと加算されない状況は損だと言っていいでしょう。歌手側の早急な改善、そしてディストリビューションサービス側のサービス拡充を願うばかりです。