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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

【ビルボードジャパン最新動向】YOASOBI「アイドル」4位に後退の理由、そして上位3曲の強さと改善すべき点とは

最新9月13日公開分ビルボードジャパンソングチャート(集計期間:9月4~10日)では、初登場から21週連続で首位を記録していたYOASOBI「アイドル」が4位に後退。Snow Man「Dangerholic」がフィジカルセールス初加算に伴い首位を獲得しています。

ミュージックビデオは後ほど紹介します。

 

まずはYOASOBI「アイドル」の動向を確認します。

YOASOBI「アイドル」はポイント前週比75.7%と大きくダウン。ダウンロード、ストリーミング(指標の基となる再生回数)は共に1割以内のダウンに留めていますが、動画再生指標は1→60位に急落しています。前週のCHART insightを下記に貼付しますが、赤で表示される動画再生指標の割合が大きく下がっていることが解ります。この指標のダウンについては前週予想していましたが(→こちら)、こちらの想定以上と感じています。

この動画再生指標の急落は、ビルボードジャパンソングチャートで時折みられる欠測もしくは欠損という状況ではないかと考えられます。ビルボードジャパン、データ提供元のYouTube、それともYouTubeにアップするYOASOBI側のどこに問題が在るのかは分かりかねますが、時折見られるこの現象自体を早々に解決させなければ、音楽チャート自体への信頼度は上昇しないでしょう。

(ゆえに、欠測という状況が時折発生することについて、その仕組みや解決策をビルボードジャパン側に一度提示していただきたいというのが私見です。それが動画の重要性を高める、また今後この状況が起きないよう未然に防ぐための意識付けにもなるはずです。)

 

 

さて、今回はトップ3がすべて入れ替わっています。YOASOBI「アイドル」を上回った3曲の動向を、CHART insightを用いて紹介します。なおCHART insightについては下記ポスト(ツイート)にて紹介しています。

<2023年9月13日公開分ビルボードジャパンソングチャート トップ3の動向>

 

・1位 (再登場) Snow Man「Dangerholic」(12,111ポイント)

・2位 (前週4位) King Gnu「SPECIALZ」(11,771ポイント)

(上記は「SPECIALZ」が使用されたテレビアニメ『呪術廻戦』のノンクレジットオープニングムービー。現時点で歌手側による公式動画はありません。)

・3位 (再登場) ENHYPEN「Bite Me」(8,872ポイント)

(上記は”Japanese Ver."のミュージックビデオ。)

下記は最新ソングチャートにおける4位までの指標構成となりますが、曲によって強い箇所は大きく異なる状況です。そしていずれの曲もフィジカルセールスが初加算となっています。



Snow Man「Dangerholic」は90万近いフィジカルセールスを獲得し総合首位に。ラジオも制していますが、そのラジオ指標の基となるプランテックのOAチャートではXG「NEW DANCE」が上回っていました(下記リンク先参照)。

ラジオOA回数は、放送局毎の聴取可能人口等を加味した上で指標化されます。この指標化時にSnow Man「Dangerholic」が勝ったのは、XG「NEW DANCE」がパワープレイ(ヘビーローテーション)が多くOAされる局に偏りがあっただろうことが想起された一方、「Dangerholic」はまんべんなくOAされたゆえと捉えていいかもしれません。

(ただし、前週のジャニーズ事務所の会見以降、メディアや市井の見方は厳しくなっていると実感します。それを踏まえて昨日にはこのようなエントリーを用意しましたが、男性アイドルやダンスボーカルグループが強いラジオ指標においてジャニーズ事務所所属歌手の作品は、十分に変革が行われそれが認められるようになるまで、ともすればしばらくの間OA回数が減り、またそれに基づき指標も弱まる可能性が考えられます。)

そして動画再生指標も2位となっていますが、3週前にはこの動画再生およびラジオの2指標だけで総合100位以内に入っています。このことは以前もお伝えしましたが(→こちら)、動画再生が強くなっているジャニーズ関連作品にあって「Dangerholic」は主題歌となったドラマのファンもチェックしていると考えるに、デジタルを解禁すればストリーミング指標の加点(ライト層の取込)、そしてロングヒットも予想できたでしょう。

 

2位のKing Gnu「SPECIALZ」は初の1週間フル加算、そして3万2千を超えるフィジカルセールスに伴い前週から2ランクアップ。加えて「SPECIALZ」は、金曜を集計期間初日とする米ビルボードのグローバルチャートのうち、Global Excl. U.S.で8位に初登場を果たしています(Global Excl. U.S.に米の分を加えたGlobal 200では28位にランクイン)。

一方でビルボードジャパンソングチャートにおいて、「SPECIALZ」は動画再生指標が未加算の状況です。これはアニメのノンクレジットオープニング動画が加算対象外であることもさることながら(この点は以前お伝えしています→こちら)、ミュージックビデオが現段階で未公開のため。グローバルチャートでは動画再生がストリーミング指標に含まれるため、解禁していれば双方にて、さらなる上位進出もあり得たはずです。

King Gnu側はミュージックビデオの公開を延期した模様であり(SNSにて情報をいただきました)、仮に当初の予定通り公開していれば最新ビルボードジャパンソングチャートでの首位獲得もあり得たでしょう。考え方を変えれば、フィジカルセールス指標は加算2週目に大きくダウンする傾向があり、ミュージックビデオの後日公開はそれを補う形で加点されるため、ロングヒットに至る可能性も考えられます。

 

3位のENHYPEN「Bite Me」は、フィジカルシングル(『結 -YOU-』)の1曲目に日本語版が収められており、以前リリースされたオリジナルバージョンと合算されています。これは先日リリースされたLE SSERAFIM feat. ナイル・ロジャース「UNFORGIVEN」においてフィジカルシングル1曲目にAdoさんをさらに追加した形での日本語版を据えたことでオリジナルバージョンに加算されなかった事態とは異なる動きです。

ビルボードジャパンでは言語のみが異なる場合は合算しますが、共演やフィーチャリングが追加されたバージョンやアレンジが異なる場合は(基本的に)オリジナルバージョンと分けられるため、このような事態が発生します。

(※なおブログでは、米ビルボードソングチャートや米ビルボードによるグローバルチャートに倣いリミックス等様々なバージョンを合算すること、また金曜を集計期間初日にする等、ビルボードジャパンに対し以前よりチャートポリシー(集計方法)変更提案を行っています。)

一方で、オリジナルバージョンは総合ソングチャートでの100位以内登場が2週にとどまっています。K-POP男性歌手では特に目立つ動きですが、これはLINE MUSIC再生キャンペーンを実施したことが大きく影響していると捉えていいでしょう。オリジナルバージョンにおけるキャンペーンはこちら。

4th Mini Album『DARK BLOOD』のリリースを記念し、LINE MUSICで期間中にタイトル曲「Bite Me」を300回以上聴いていただき、ご応募いただいた方全員に「未公開カットを使用した特製待ち受け画像」をプレゼント!

さらに、500回以上再生されてご応募いただいた方の中から抽選で14名様をオンラインイベントにご招待するキャンペーンを実施いたします!

より多く再生していただくと当選確率がアップ!!是非ご応募ください!

(中略)

■再生対象期間

5月22日(月)18:00~5月30日(火)23:59

ENHYPEN 4th Mini Album『DARK BLOOD』 デジタルキャンペーン実施決定! - ニュース | ENHYPEN JAPAN OFFICIAL SITE(5月22日付)参照

そして今回の日本語版リリース時において、内容に若干の差はあれど、ほぼ同種のキャンペーンが用意されています。

日本3rdシングル「結 -YOU-」のリリースを記念し、LINE MUSICで期間中にタイトル曲「Bite Me [Japanese Ver.]」を300回以上聴いていただき、ご応募いただいた方全員に「特製待ち受け画像」をプレゼント!

さらに、700回以上再生されてご応募いただいた方の中から抽選で35名様に「メンバー直筆サイン入りCDブックレット」をプレゼントするキャンペーンを実施いたします!

より多く再生していただくと当選確率がアップ!!是非ご応募ください!

(中略)

■再生対象期間

9月5日(火)0:00~9月12日(火)23:59

日本3rdシングル「結 -YOU-」配信開始!また、デジタルキャンペーンの実施も決定! - ニュース | ENHYPEN JAPAN OFFICIAL SITE

LINE MUSIC再生キャンペーンの終了以降もストリーミングでヒットする曲が総合ソングチャートでも長く残り、真の社会的ヒット曲に成る傾向が高いのですが、それはコアファン以外にも曲が認知浸透されているゆえ。そのライト層の動向が大きく影響する接触指標にコアファンの熱量を動員しても、ロングヒットに至りにくいことはこのブログで幾度となく指摘していることです。

初週46万ものフィジカルセールスは凄いことですが、このコアファンの熱量をライト層の獲得に結びつけられれば(そしてライト層をコアファンに昇華させることができるならば)、来日回数が増える等日本での中長期的な活動も高まるのではないでしょうか。キャンペーンは次週のチャート集計期間序盤に終了することもあり、「Bite Me」はソングチャートでトップ10をキープすることは難しいと考えます。

 

 

蓋を開けなければ次週の動向は分かりませんが、いずれの曲にも秀でた点がある一方、言葉は強いかもしれませんが改善すべき点があることは否めません。デジタルをまんべんなく解禁する、ミュージックビデオをきちんと公開する、LINE MUSIC再生キャンペーンに頼りすぎない(もしくは実施しない)…これらをきちんと行った曲こそ、日本を代表するヒットとなりGlobal Excl. U.S.も制したYOASOBI「アイドル」ではないでしょうか。

(なおLINE MUSIC再生キャンペーンにおいて、ユーザー毎に再生回数ハードルを設けることのほか、最近ではユーザーの総力により週間チャートで一定以上の順位になればプレゼント贈呈という手法も最近みられます。この点については後日紹介する予定です。)