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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

ストリーミング首位曲の週間再生回数が700万を割り込む可能性…現状および解決策を提示する

ビルボードジャパンソングチャート、ストリーミング指標の基となるStreaming Songsチャートで首位を獲得した曲の再生回数が減少傾向にあります。

上記は筆者作成による、2019年度以降の週間Streaming Songsチャート1位および10位の再生回数推移を示したグラフ。青で表示された首位曲の最新4月29日公開分(M!LK「爆裂愛してる」)における再生回数は7,096,376回となり、今後首位曲の週間再生回数が700万を割り込む可能性も考えられます。今回のエントリーでは現状を提示した上で、解決策を提案します。

 

<直近における日本のストリーミング動向、および解決策について>

 

 

週間ストリーミング首位曲、1千万回超え、およびM!LK「爆裂愛してる」の動向

2026年度のビルボードジャパンStreaming Songsチャートを制したのは米津玄師「IRIS OUT」(2025年12月3日~2026年1月14日、同年1月28日~3月4日公開分)、Mrs. GREEN APPLE「lulu.」(2026年1月21日公開分)、嵐「Five」(2026年3月11日~3月18日公開分)およびM!LK「爆裂愛してる」(2026年3月25日~4月29日公開分)となります。

また期間中に週間ストリーミング再生回数が1千万を超えたのは米津玄師「IRIS OUT」(2025年12月3日~2026年2月18日公開分)、Mrs. GREEN APPLE「lulu.」(2026年1月21日~2月11日公開分)、King Gnu「AIZO」(2026年1月21日公開分)および嵐「Five」(2026年3月11日公開分)となります。

 

M!LK「爆裂愛してる」は初登場以降、ビルボードジャパンのストリーミング再生回数が7,106,475→7,932,704→7,784,037→7,793,940→8,016,705→8,162,114→7,851,548→7,778,163→7,518,733→7,099,215→7,096,376回と推移。現時点での累計再生回数は84,140,010回となります。

ちなみに「爆裂愛してる」のストリーミング累計再生回数は、オリコンでは9300万を超えています(上記記事参照)。ビルボードジャパンと小さくない差が生じているのは、YouTube(動画再生)を動画再生指標として別途表示するかそれともストリーミング指標に組み入れるかという取扱の違いに伴います。

(なおオリコンにおけるストリーミング再生回数をこちらで細かく掲載していないのは、オリコンが無断転載を強く禁じているためです。また米ビルボードによる各種チャートでは現在YouTubeからのデータ提供が停止されていますが、YouTubeのデータはストリーミング指標に組み入れられています。)

 

直近における週間ストリーミング首位曲の再生回数について

現時点では5週連続で、Streaming Songsチャート首位曲の再生回数が700万回台となっています。

ビルボードジャパンは4年前、ストリーミングに関するチャートポリシー(集計方法)の変更を二度実施。最初は一部サービス全体に対し、二度目は一部サービスにて施策に伴いStreaming Songsチャートを制した曲に対し個別に、係数処理を適用しています(前者はAWA、後者はLINE MUSICが対象と言われています)。その前者の変更直後に首位を獲得したTani Yuuki「W / X / Y」(2022年4月20日公開分)の再生回数(7,116,443回)を、M!LK「爆裂愛してる」は直近2週分にて下回っているという状況です。

仮にこのチャートの首位曲における再生回数が700万を下回るならば、2020年5月20日公開分における瑛人「香水」(6,998,978回再生)以来となります。日本では土日祝日の再生回数が平日より伸びる傾向にあり、大型連休が集計期間に含まれる5月6~13日公開分では700万を下回る可能性は低いとみられますが、しかしながら気になるところです。

 

今年度、ストリーミング上位曲の再生回数が高い週は

一方で、2026年度において上位曲のストリーミング再生回数が高かったのは1月14日~21日公開分となります。1月14日公開分では米津玄師「IRIS OUT」が前週の12,757,194回から15,816,059回へ数値を大きく伸ばし、翌週公開分ではその「IRIS OUT」を初登場のMrs. GREEN APPLE「lulu.」が上回って首位に。同曲は14,579,987回再生を記録しています。

さらにはこの2週において、Streaming Songsチャート10位の再生回数が6,417,311回→6,431,861回と高水準で推移。これは1月14日公開分において『NHK紅白歌合戦』(NHK総合ほか)効果が継続したこと、翌週には先述した「lulu.」の初登場のみならずKing Gnu「AIZO」がリリース後初の1週間フル加算となったことで週間ストリーミング再生回数1千万回超が「IRIS OUT」を含め3曲誕生したことが、それぞれ大きいといえます。

 

ストリーミング人気曲の誕生、そして『NHK紅白歌合戦』等多くの方の注目を集めるイベントの登場が、普段からサブスクを利用しているわけではない層のサブスク利用を促進し、ストリーミング上位曲の水準上昇に至るものと捉えています。

 

ストリーミング全体においては再生回数が高まっている可能性

ストリーミング人気曲の誕生や多くの方の注目を集めるイベントの登場が、上位曲のみならずストリーミング全体の再生回数を高めているという可能性を、日本のSpotify定点観測データから見出すことができます。

上記は日本のSpotifyデイリーチャート1位、50位および200位の再生回数推移を示したグラフですが、200位の推移からは日本のストリーミング全体の上昇が推測されます。200位の再生回数は米津玄師「IRIS OUT」のリリース8日後(ポストはこちら)、クリスマスイブ(→こちら)にそれぞれ最高を更新。また今年はBTS『ARIRANG』収録曲がすべてこのチャートに登場していますが、来日公演の翌日にも再生回数が最高を更新しています。

 

さらに、この1週間では4月26日付(59,863回)、4月29日付(59,379回)および5月2日付(59,547回)の三度に渡り、日本のSpotifyでは200位の再生回数が5万9千回台に。これは4月27日にNumber_iのシングル「3XL」がフィジカルリリース(カップリング曲が同日デジタル解禁)、またM!LK「アイドルパワー」や大森元貴「催し」がデジタルリリースされ、コアファン主体に盛り上がりをみせたことが影響したものと捉えています。

(日本のSpotifyデイリーチャートにおける一日の区切りは午前9時頃とみられており、4月26日付ではフライングの形での初登場や上昇が確認できます(→こちら)。)

 

再生回数増加のための、ひとつの解決策提案

ヒットにおいてはコアファンのみならずライト層やグレーゾーンにも浸透し、聴かれ続けることが最も大事なことだと捉えていますが、しかし瞬発力もまた重要です。その瞬発力を高めるために、コアファンのみならずライト層やグレーゾーンにおいてもリリース初日から聴取する習慣を身につけることが必要ではと考えた次第です。

そのために、日本でバラバラな新曲リリースタイミングを一曜日にまとめ、新曲リリース曜日を印象付けることが有効ではないかと考え、提案します。海外は音楽チャート集計初日である金曜のリリースが非常に多いことから、日本でも金曜をリリース日に据えることが、米ビルボードのグローバルソングチャートで有利になるという意味でも重要と考えます。その際は、ビルボードジャパンの集計期間見直し議論も必要です。

(日本の音楽の金曜リリース化提案については、2026年度開始を前に、ビルボードジャパンへの改善提案をまとめる (その1:チャートポリシー変更に関して)(2025年11月24日付)等で紹介しています。)

そのような意識付けが、日本の音楽ファンが普段から(少なくとも新曲リリース曜日に)サブスクをチェックする習慣を身に付けることにつながるのではないでしょうか。このことはストリーミング再生回数全体の増加のみならず、よりヒットしている曲の上昇幅を高めることにもつながるかもしれません。